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北  岳

2000年(平成12年) 7月28日(金)-29日(土)


コース・タイム
7月27日(木)
 自宅(20:55) ⇒ 鹿沼IC ⇒ 川口JCT(22:00) ⇒ 大泉IC ⇒ 調布IC(22:40) ⇒ 甲府昭和IC(0:20) ⇒ 広河原(1:28-仮眠)
7月28日(金)
  広河原(5:21) → 大樺沢二股(8:02) → 八本歯のコル(11:00) → 北岳山荘(12:15-泊)
7月29日(土)
  北岳山荘(6:47) → 北岳(8:25-9:02) → 肩の小屋(9:50) → 分岐 → 白峰御池小屋(12:45-55) → 広河原(14:50)
 広河原(15:15) ⇒ 甲府昭和IC(16:20) ⇒ 高井戸IC(18:10) ⇒ 大泉IC(19:15) ⇒ 川口JCT(20:25) ⇒ 蓮田P(20:40-50) ⇒ 自宅(21:50)

同行者
 妻

7月27日

○ 広河原まで
 今日は夜9時頃には出発したいと考えていた。5時20分に妻を職場に迎えに行き, スーパーで2日目の昼食になるパンを買い,帰宅した。夕食を食べて,準備をしているうちに時間 が経ってしまい,そそくさと出発した。時計は9時に5分ほど前を示していた。自宅から 宇都宮環状線, さつき道路 を通って 東北道鹿沼IC から東北道に入った。さすがに道路は空いている。順調に 川口JCから東京外環に 入り,内回りの終点 大泉ICで環八に でた。中央高速に入ろうとしたが, 高井戸IC から降り方向へは入れない。八王子方面 は, 調布IC から入る。そのために,甲州街道を左折し,しばらく進んでやっと 調布ICから中央道に入った 中央高速入口で首都高の通行料600円を取られた。
 車は順調に進み,出口の2つ手前の 釈迦堂PA で休憩し, 甲府昭和IC で高速道を下りた。ここからは地図と標識が頼りだが, 「南アルプス街道」 という表示があり,わかりやすかった。道はだんだんと山道に入り,高度を上げていく。 さすがにこの時間では対向車には合わない。トンネルがいくつか有り,幅員が狭く対向車があれば 交換には苦労するだろうと思った。甲府昭和ICからほぼ1時間で 広河原 に着いた。

7月28日

 駐車場はほぼ 満車に近い状態 だったが,バス停近くの駐車場に1台分の空きを見つけそこに車を止めた。この奥にも っと大きな駐車場が有るはずだが,行ってみなかったので分からない。車の中で 明るくなるまで仮眠 をとった。時々,通過する車のヘッドライトに照らされ, 殆ど眠れない  空には雲の合間に星が光って見える。明日は良い天気だという期待を抱かせる。車が 着いたときには白鳥座が真上に輝いていたが,空が白みかける頃には カシオペア が頭の上にあった。夜が明ける少し前,東の山の端が明るく輝いたかと思うと,新月の 少し前の 細い月 が昇ってきた。月の影の部分が地球照によって淡く光っている。 明日の好天をどうしても期待してしまう

○ 北岳山荘まで
 4時半ごろ 周囲も明るくなったので起きだして準備を始めた。バーナーで湯を沸かし,卵スープを 飲んでおむすびを1つずつ食べた。更に湯を沸かし,2つのポットに詰めた。1つは湯,1つはコ ーヒーを入れた。
 駐車場を出発したのは 5時10分  一般車通行止めの遮断機を通り,吊り橋を渡って 広河原小屋 にでた。
 吊り橋 周囲はまだ薄暗い

 広河原小屋でトイレを使い,いよいよ出発。先は長いので,急がずに,しかし気持ち だけは張りつめて歩き出した。目指す 山の頂方向はガスに包まれて 見ることができないが,歩いている所には時々陽が射し込んでいる。
 ガレ場を避けて対岸へ


 まず, 白根御池小屋 への道を右に分け, 大樺沢の右岸 を登っていく。急ではないが,着実に高度を稼いでいく。右岸の崩壊地を避けて道は左 岸に渡り高巻で越える。空腹感で力が出ないので,ここでおむすびを1つ食べた。再び右岸に戻る と,傾斜はだんだん急になり,スピードが落ちた。 広河原 から 大樺沢二俣 まで標準タイム2時間30分のところ2時間40分で登った。決して遅くはなかった。
 大樺沢上部

 大樺沢二俣 からは灌木地帯となり,いよいよ傾斜がきつくなった。と同時に, 雨が降ってきた  下から眺めていた雲の中に入ってしまったのである。カッパの上着を着た。更に少し 登ったところで雨が強くなりカッパのズボンも付けた。この登山道はむき出しで,前後がよく見え る。前の登山者も,後ろのグル−プも 一斉に雨具を着けだした。  面白い光景だった。
 傾斜がきつく,休憩も増えた。腹も空いて,2個目のおむすびを食べた。結局, 八本歯のコル まで標準2時間の所を3時間弱かかってしまった。依然として,雨は雨粒が大きくなっ たり小さくなったりですっきりとは止まない。雨具を着ての登りは,汗で内部からぬれるので,小 降りになったときには雨具を脱ぎたい。
 八本歯のコル

 ハシゴ,階段を使って岩壁をトラバース

 上着はこまめに着たり脱いだりしたが,八本歯のコルを登ったところで,これ以上雨 は強くならないだろうと判断し,ついにズボンも脱いでしまった。 北岳山荘 へのトラバース道に出た辺りでは,雨も小降りになり, 満開のお花畑 が迎えてくれた。ゆっくりと写真を撮りながら歩いていたら,突然雨が強くなった。山 荘は近いのでそのまま先を急いだが,結局ズボンはびしょぬれになってしまった。妻は雨具を着け たままだったので濡れなかった。

○ 北岳山荘
 北岳山荘 に着いたのは12時15分だった。さっそく受付して,部屋に上がった。 2人で1枚 の布団ということでチェックインした。ところが2人は別々の布団に割り当てられてい た。どうして1枚の布団に割り当てないのかと不思議に思ったが,あとでその理由が分かった。宿 泊客が増えたときには2人で1枚の布団になるが,もし,宿泊客が少なければ1人1枚の割り当て になる。あらかじめそのことを予想しての割り当てなのだ。実際には,私たちは1人1枚の布団で 寝ることができた。
 今回の登山では 雨対策 の良い経験ができた。まず,ザック。 ザックカバーを付けても雨は進入する。 濡れてはいけないものは必ずしっかりしたビニル袋に入れておくこと。特に,ザックに 進入した雨は ザック の底にたまる ことがある。どんなに天気が良くても,山の天気は変わりやすいことを念頭に置いて, 必ず雨濡れ対策を忘れないこと。
 時間がもったいないが,外では雨が降り続いている。どこにも出られない。バッチと 絵はがきを買った。入り口を上がったロビーに石油ストーブが2台あり, 乾燥室 を兼ねていた。早着きの特権でハンガーを使うことができ, 雨具と私のズボン,帽子など を乾かした。夕食は2番目の回で5時45分から。食事はまあまあ。みそ汁が旨かった。 妻はお代わりして飲んだ。TVが 天気予報 を伝えている。「甲府地方は晴,降水確率は10%」を聞いて,見ていた登山客から一 斉に歓声が上がる。ここに登ってくる人でも,山の天気と下界の天気は全く違うのだという 最も基本的なこと さえ知らないのだろうか。最後にローカルの天気予報で「山の天気」をやった。 「北岳の明日は,曇り霧」 この方がずっと信頼がおけるのだが,大半の人は聞いていない。 消灯は8時  7時半頃から布団に入る。実際に電気が消えたのは8時半頃。良く寝ることができた。

7月29日
 朝は3時頃から起きだす人が居り,4時を過ぎると騒がしくなった。私たちは 4時半頃に起きた  窓から 富士山の勇姿 が見られた。どうも方向感覚が狂ってしまい,富士山が窓の正面に見えるとは思っても いなかったので,ちょっとびっくりした。 さっそく写真に収めた。
 山荘の窓から眺めた夜明けの富士山

 富士山から90度ほど東に寄ったところの雲が明るくなり,その辺りから陽が昇るよ うに思えた。窓の外では,何人もの登山者が日の出の瞬間を写真に収めようと三脚にカメラを固定 し待ちかまえている。多分, 日の出は5時少し前 のはずだ。ところが,西側から吹き込んでくるガスが,一瞬のうちに視界を遮ってしま う。かと思うと,瞬く間にガスが晴れ,富士の雄姿とともに,東方の光る雲が姿を現す。結局日の 出の瞬間はガスに隠れ見ることはできなかった。
 南東に面した窓から見た 左端には北岳 が, 右端には中白峰 が見えるが,いずれも山頂付近はガスに覆われ見ることができない。今日も好天は期待 できない。
 5時からの第1回の組で朝食を食べた。山小屋としてはまあまあ。水は1リットル 100円,お茶,お湯は1リットまで150円。もっとも,泊まり客には水1人1リットルまで サービス。迷ったが,結局 山荘オリジナルTシャツ を買った。ダクロン製で2800円は高くはない。

○ 北岳山頂へ

 準備をして出発したのは 6時45分 を過ぎていた。北岳の山頂がガスに覆われているので, わざと出発を遅らせた。 あるい はガスが晴れるかもしれないと思ったからだ。山荘を出ると,風が強いのにびっ くりした。 ここは風の通り道なのだから他の所より強いのだと誰かが言っていた。
  北岳山荘を出発

 北岳山荘が遙か下のガスの中に

 北岳 の斜面を登り始めると,左側の谷から吹き付けてくる風が体を吹き飛ばしそうになる。 帽子おさえる意味でウインドブレーカーのフードを取りだし,帽子の上にかぶせた。左手奥に山脈 が姿を現し始めた。方向感覚がずれている私は,八ヶ岳だろうと思っていたが,実は, 中央アルプス だった。反対方向の富士山は,山荘を出てからずっとガスの中で見ることはできない。
 八本歯のコルへの分岐


 登山道の周囲には,たくさんの花が咲き乱れている。花や葉には,きのうの雨の水滴 が付いており,写真に写すにはあまり良い条件ではない。私が今日持ってきたカメラは接写の時に 自動的にフラッシュを焚くようになっているため水滴が光ってしまう。でも,仕方ないので,たく さん写真を撮った。
 北岳の頂上に着いたときは辺りはガスに覆われていたが, 間もなく晴れた  昨年は,奥穂高岳山頂の写真に良いものが無かったので,今度は山頂標識を入れた写 真をしっかり撮った。
   北岳頂上

 三角点の標石はむき出しに


 看板の後ろに仙丈岳が見えた。ガスが東側から上がってきており,富士山を初めとし て東〜南東方向は全く見えない。西側は,時々ガスが晴れ,視界が広がる。しかし,遠くに見える 山には雲が懸かっており,スカイラインを確認することはできない。

○ 下山
 30分ほど頂上にいて,下山にかかった。 肩の小屋 までの下山路も満開の花に覆われていた。肩の小屋の少し手前で,正面に 鳳凰三山 が姿を見せてくれた。更に下ってくるとハイマツが増えてくる。 小太郎尾根 から草すべりへの分岐の斜面に アオノツガザクラ の群生を見た。こんな大きな群生を見たのは初めてだった。草すべりを少し下ったとこ ろで クロユリ を見つけた。ここのクロユリは 「ミヤマクロユリ」 で,「クロユリ」より黄色みが強く,特に花弁の端縁は黄色に見える。3日前には,旅 行で行った立山の室堂で,「クロユリ」を見つけることができたし,ともに感激である。
 草すべり は標高差600mを一気に登り下りするコースで,下りと言えど慎重に進まなければならな い。空腹を感じたので,パンを1つずつ食べた。半分ほど下ったところで,また雨に見舞われた。 まず,ザックカバーを付け,また直ぐに雨具の上着を付けた。雨はだんだんと強くなり,止む気配 はない。
 お池小屋で昼食にする予定だったが,トイレ臭がひどくて我慢できず,直ぐに出発し た。これまで,花の観察や写真撮影で時間を費やしたので,ずいぶん時間が経過している。先を急 ぐことにした。ここからは 樹林帯の下り である。しばらくトラバース気味に進んだ後,一気に下っていく。
 高度が下がるにつれて気温が上がる。と同時に,雨が小降りになってきた。途中で一 休みし残りのパンを食べた。徐々に 大樺沢 の水音が大きくなり,川幅が広がってきた。きのう大樺沢方面へ分かれて進んだ分岐点 に合流し, 広河原山荘 に戻ってきた。

 広河原山荘

 水道で顔を洗い,タオルを濡らして駐車場に戻った。駐車場では汗を拭いて着替え, 直ぐに帰途に就いた。

○ 帰宅

 この時間では,東京が 夕方のラッシュ になり,渋滞するだろうと予想されたが,とにかく車を進めた。前を行くランクルに続 いて走っていったので,対向車を心配せずにすみ楽だった。かなり下った 芦安村 で,突然先行のランクルが左折した。曲がった方を見ると ○○温泉 と言う看板があった。もう少し気持ちに余裕が有れば温泉に入るのもいい。もし,再度 来ることがあった ら考えよう。
 甲府昭和ICまでは約1時間でこれたが,中央道は高井戸ICの手前の13kポストから 渋滞が始まり,高井戸ICまで2時間弱かかった。高井戸から環八を通って外環大泉ICまで1時間, 外環は最初から川口西ICまで渋滞しており,川口JCTまで1時間10分かかった。蓮田SAで休憩し, 自宅に着いたのは10時少し前だった。

北岳の花 
両日とも朝のうちを除き雨。そのため,写真の写りがあまり良くなかった。
 カメラは,オリンパス ULTRA MACRO  接写が効くコンパクトカメラと言うことで,通信販売で買ったが,今回のような条件 では,あまり使いやすくはなかった。
 近接写 (0.1m〜0.3m) 接写 (0.3m〜1m) 普通 (1m〜∞)をレバーで切り替えて使うもので,焦点は固定。
 近接写と接写では自動的にフラッシュが焚かれる。そのため,昼間でも夜のような写 真になってしまうこともある。また,今回のように,雨の滴が付いていると,それがフラッシュで 光ってしまい,本体がよく写らないこともある。
 今回のような条件では,良い写真は撮れなかったが, 晴れた日の明るい場所などで は威力を発揮するのだろう。
 なお,植物名は,自分で判断したものなので,間違っているものがありましたら,ご 指摘ください。

 ミソガワソウ

 ミヤマハナシノブ

 チョウノスケソウ

 クルマユリ

 グンナイフウロ(左下のものは白花)

 ミヤマキンバイ

 ミヤマクロユリ

 ミヤマシオガマ

 アオノツガザクラ

 ミヤマダイコンソウ

 ハハコヨモギ

 イワオウギ

 チシマキキョウ

 クモマミミナグサ

 ミヤマオダマキ

 シコタンソウ

 タカネヤハズハハコ




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