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姥 ヶ 平

2000年(平成12年) 10月22日(日)


コース・タイム
 自宅(5:45) ⇒ 沼原駐車場(7:25-朝食)
  駐車場(7:50) → 日の出平分岐(8:20) → 三斗小屋温泉分岐(9:20) → 姥が平(9:40-10:00) → 牛ヶ首 → 南月山(11:10-昼食-12:10) → 白笹山(12:45) → 駐車場(13:55)
 沼原駐車場(14:15) ⇒ 矢板城の湯(15:20-16:10) ⇒ (17:20〜夕食) ⇒ 自宅(18:10)

同行者
 妻

 那須で一番の紅葉の名所 といわれる 姥が平 へいくこととした。行くのが容易ではないと思い,今まで行ったことがなかった。行っ てみて分かったことだが, 峰の茶屋 方面からも 牛ヶ首を経由 すれば短時間でこられるのだ。ロープウエイを利用すればもっと簡単に行くことができ る。 ロープウエイの山頂駅 から,茶臼岳の山腹を回り込むように歩けば,20分で牛ヶ首に出られる。そこから姥 が平へは10分もかからない。
 但し,この紅葉時期は,ロープウエイ周辺はすごい混雑で,駐車場はどこも満杯,し かたなく諦めて帰る人も多い。(私もかつてそんな経験をした。)ということで,今回は,西側の 沼原から 登ることにした。
 前日までの天気予報では, 「秋晴れの行楽日和」 であったが,今朝の空は厚い雲に覆われている。おまけに,途中では雨まで降ってきた。 しかし,山の天気と下界の天気は違うということに望をつないで 沼原 に向かった。案の定,途中から雲が切れ,駐車場に着いたときには青空が広がってきた。 さすがに,時間が早いせいか駐車場にはまだ車の数は少ない。身支度をし,さっそく出発した。
 まず, 三斗小屋温泉 方面への道を進む。駐車場から, 沼原湿原 を経ないでいくルートがあるはずなのだが,入り口の場所が分からない。 「白笹山方面」 の標識のあるところで地図を開いていたら,女性2人連れに声をかけられ,入り口の場 所を教えてもらった。駐車場から北を向いて, 一番右が「白笹山方面」, 一番左が「沼原湿原方面」 そして, 湿原入り口の10mほど右にある,何の表示もない細い踏み跡程度 の道 が, 三斗小屋温泉 方面へ直接に向かう道だ。入り口こそ細かったが,一歩踏み込むと,しっかりした道で, かつてはここが本道だったことが伺えた。駐車場では, 「熊に注意を 必ず鈴を持って歩くこと」 という注意書きがあった。登山者の数も少なく,何となく気味が悪い。しっかりと鈴を 鳴らしながら歩いた。
 なだらかな道ではあるが,徐々に高度を上げていく。後方に, 沼原上池のアスファルト壁 が見えてきた,駐車場で見るより大きく見えた。この池は,揚水式発電所である 深山発電所 の上池で,夜間の余剰電力で下池の 深山ダム湖 の水を汲み上げ,電力需要のピーク時にその水を落下させて発電するために作られた。 建設当時は 落差世界一 と言っていた。この上池を建設するために 沼原湿原 が半分ほど潰された。計画当初は,湿原のほぼ全部が潰される予定だったが,自然保護 団体などが反対運動を行い,湿原の約半分が残された。 湿原の直ぐ近くまで車が入れるため,(し かも,今はその大半が舗装されている。)訪れる人が年々多くなっている。春から夏にかけて種々 の高山植物が花を付ける。中でも ニッコウキスゲ の群落は見事である。私個人的には,秋に咲く サワギキョウ が好きだ。休憩所の前にあるポンプで冷たい水を汲み上げ顔を洗うと生き返った気分に なる。
 沼原湿原 は, 昭和天皇 も大変に気に入られ,那須の御用邸御滞在のおりは,必ず足を運ばれた。以前,まだ道 路の大半が砂利道だった頃,天皇陛下が来る予定が入ると,砂利道の穴がすべて埋められ,きれい に整備されたものだった。湿原の北畔のカラマツ林の中に,植物学者だった 昭和天皇がここで発見し 命名されたという 「ナスヒオウギアヤメ」 の群落がある。 直径10mほどの円形に木が刈払われ,よく手入れされている。でも,こ のことを知っている人は意外と少ない。
 左前方に雪渓と見間違うような白いガレをもったなだらかな山, 流石山 (ながれいしやま)が見える。天気は良く,山腹に穏やかな陽が当たり,「あんな稜線 を歩きたいな」という気分にさせる。
 道は急ではないが,しっかりと距離を稼いでいる。左の沢筋を隔てて対岸の斜面では 紅葉が正に真っ盛り。緑と赤と黄色の混じりあった美しさが何とも言えない。 三斗小屋温泉と姥が平の分岐 の少し手前で,小さなコブを一つ越えると,突然目の前に 茶臼岳 の西斜面が広がる。思わずため息とも歓声ともつかない声が出る。
 朝日岳


 この大パノラマを写すために持ってきた セミ判のカメラ をザックから取り出し,写真に収めた。しかし,皮肉なことに,このころから空模様が おかしくなり,雲が空を覆い始めた。
 斜面の紅葉


 雲の切れ間から射す陽が,そこのモミジだけを鮮やかに光らせている。少しだけ待っ たが,陽の当たる気配がないので,そのままシャッターを押した。
 クマザサの緑が対照的

 茶臼岳が見えてくる


 分岐点 では, 三斗小屋温泉 方面からグループが登って来て,急ににぎやかになった。そういえば,ここまで,後続 のグル−プの声が時々聞こえたくらいで,すれ違う人も,追いついたり追い越したりするひとも一 人もいなかった。ここから 姥が平 までは僅かだ。姥が平の広場の少し手前に, 小さな池 があり,木道がそこにも通じていた。
 茶臼岳西面の紅葉


 姥が平 は,全体としては相当に広い場所で,その一部に広場があり,ベンチや,石積みの標識 台などがある。
 姥が平の紅葉


 ここからは, 牛ヶ首 からこちらをのぞき込んでいるたくさんの 観光客 を見ることができた。急なガレ道だが,そこを下ってくる観光客もいた。
 私は, 「観光客」 「登山者」 という表現を敢えて分けて使っているが,装備や身支度がきちんとできている者を 「登山者」 そうでない者を 「観光客」 と呼ぶことにしている。
 姥が平


 牛ヶ首へ向かいガレた斜面を登る

 牛ヶ首 までの登りは急だが,さほどの距離もなく,間もなく到着した。牛ヶ首は,多くの観光 客でごった返していたので,通過して先に進んだ。
 牛ヶ首から峰の茶屋へ向かう巻き道


 牛ヶ首 の南東側はガスにつつまれ,全く何も見えない状態だった。 南月山 (みなみがっさん)への道は,なだらかな尾根道で,先日,皇太子が妃殿下と歩かれた ばかりである。そのためか,両側のクマザサはきちんと刈払われ,とても歩きやすい状態に整備さ れていた。 南月山 の山頂に着く頃にはすっかりガスに包まれ,ガレ地のペンキ印だけを頼って歩かなけれ ばならなかった。
 茶臼岳の溶岩ドーム


 南月山 の山頂には何組かのグル−プがおり,弁当を広げていた。私たちもここで昼食とした。 シートを広げ,靴を脱いで休んだ。靴を脱ぐのはとても快適だ。足への負担が軽くなるだけでなく, 気分的にもリラックスできる。もっとも時間に余裕がなければできないことだが。風は少し強いと いう程度だが,とても寒い。 コンロ を出して即席麺を作って食べた。時々霧がとぎれると,きれいに紅葉した向かい側の斜 面が見えた。 昼食に1時間ほど費やしてから出発した。
 ここから 白笹山 (しらざさやま)までも単調な尾根歩きだが,何も見えず,黙々と歩いた。 白笹山 からの下りも同じで,会う人も全く無く,鈴をしっかり鳴らしながら,黙々と歩いた。
 やはり,評判通り, 姥が平 周辺の紅葉はすばらしかった。ただ,天候が思わしくなく,いまひとつ 「輝き」 が足りなかった。また,先々週に行った, 吾妻スカイラインの浄土平周辺 の紅葉と比較すると,色の鮮やかさが見劣りがした。
 帰路,矢板の 「城の湯」 で汗を流して帰宅した。明日は胃の内視鏡検査があり7時までに夕食を済ませなければ ならなかったので,外で食事をして帰宅した。

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