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黒 斑 山

2002年(平成14年) 3月24日(日)


コース・タイム
3月23日(土)
 宇都宮 ⇒ 足利 ⇒ 伊勢崎IC ⇒ 高崎JCT ⇒ 藤岡JCT ⇒ 佐久IC(14:50) ⇒ 高峰高原ホテル(15:50)
3月24日(日)
  登山口(8:47) → トーミの頭(10:46) → 黒斑山(11:04) → 登山口(12:23-昼食)
 ホテル(入浴-13:30) ⇒ 軽井沢 ⇒ 高崎 ⇒ 宇都宮(自宅)

同行者
 妻

 毎年この時期には,別に暮らしている子ども達と一緒になり 1泊旅行 に出ている。その機会を利用し,一昨年は 岩戸山 ,昨年は 金時山 へ登った。ところが,今年は子ども達の都合が悪くなり,夫婦二人の旅行となった。ま ず,どこに行こうかと行き先を探した。少しの山登りができ,温泉のある宿で,あまり遠くないと ころというと,かなり条件は厳しくなる。この時期,高い山には雪が残っており,簡単には登れな い。と言って雪のない低い山で魅力的なところは少ない。
 まず,宿を探した。温泉のある宿となると,意外と少ない。できれば山の中の静かな 温泉宿が良い。いろいろ探した結果, 車山峠 にある 高峰温泉 に気持ちが動いた。高峰には2軒の宿がある。 「高峰温泉」 「高峰高原ホテル」 だ。高峰温泉は車山峠から少し地蔵峠寄りに林道を進んだ所にあり,積雪期は車山峠に ある 「あさま2000パークスキー場」 の駐車場に車を停め,宿まで雪上車で送迎する。一方,高峰高原ホテルは車山峠にあり, ホテルまで車で行ける。スキー場の駐車場に車を放置したくないので, 「高峰高原ホテル」 を選んだ。電話で問い合わせたところ空室があるというので即予約した。別に,予約金 等は請求されなかった。しかしその後心配になったことがあった。信州の温泉宿についてインター ネットや本で調べ ると, 「高峰温泉」 は必ず紹介されているが, 「高峰高原ホテル」 の方はどこにも出ていない。も しかして温泉ではないかも知れない。実際には 天然温泉 だったのだが,ここに湧出しているのではなかった。「成分分析表」の中に「タンクロ ーリーで移送後の・・・」とあり,何処かから運び,沸かし直しているらしい。でも,24時間入 浴可能であり,湧出温泉と変わりはなかった。
 当日は,まずホテルに直行し,一泊した翌日に 黒斑山 に登ることにした。コースの状態にもよるが,念のため 軽アイゼン スノーシュー を持っていくことにした

3月23日(土)
 宇都宮 から国道293号線で足利を通って伊勢崎に向かい 「伊勢崎IC」 から 北関東道路 に乗った。ここから「高崎JCT」で 関越道 に出,「藤岡JCT」で 上信越道 に出る。道路は空いており,快調に進んだ。このまま行ったら早く着きすぎるので, 甘楽PA,横川SA,佐久平PA と,次々と休憩していった。 佐久IC を出たのは3時少し前,途中のコンビニで明日の昼食となるおむすびを買った。 黒斑山 に登るとすると1日行程となるので,昼食が必要になる。
 建物の間から浅間山が見えてきているが,車坂峠の方は雲に隠れていて見えない。峠 に登る道の途中, 浅間山荘 への分岐で車を停め,休憩した。この辺りでもすでに雪は融けてしまい,残ってはいな い。ここには 「浅間山登山口」 と書かれた大きな標柱が立っている。浅間山荘の奥に一の鳥居,二の鳥居などがあり, かつてはここが浅間登山のメインだったようだ。昔は噴火口の縁までいけたのが,火山活動の活発 化の影響を受けて, 火口から半径2km以内は立入禁止 になっている。ところが,昨年7月,この 立入禁止区域が狭められ ,賽の河原付近への立ち入りが可能になった。しかし,まだ,中央火口丘への立ち入り はできず, 「日本百名山」 でも浅間山の代替で 黒斑山 が紹介されている。 
 標高が上がるに従って日陰に雪が残っているようになり,雪が舞い始めた。日陰の路 面には融雪剤が撒かれている。
 車坂峠 の駐車場に着いたとき,丁度雲が切れ,陽が当たってきた。黒斑山に生えている木々が 雪の衣をまとい,陽射しに輝いていた。


 気温は低く,駐車場の路面は日中に融けて流れた水が凍り付き,滑って危険だ。早々 にホテルに入った。
 ホテルは, 地下1階地上2階 の3階建てで,私たちの洋室は 地下1階 。地下1階と言っても,傾斜地に建っているので 床面が窓の外の地面の高さ で,景色は見える。もちろん地階より1階2階の方が見晴しは良 い。
 部屋の暖房が,小型のセラミックヒーターだけで,ちょっと寒かった。さっそく温泉 に入ろうとしたが, 浴室が大混雑 で,脱いだ着物を置く場所すらない。 スキー客 が,1人500円 を払って,帰る前に入浴しているのだった。私はそのまま部屋に戻り, 浴場が空くのを待った。5 時になったら,さすがにスキー客は殆どいなくなり,ゆっくり入れた。
 夕食 が7時30分からと言うことでかなり待たされた。食事は2階の 展望レストラン で洋食のコース料理。室内の照明を落とし, 窓の外の夜景 が楽しめるようになっている。私たちは 窓際の席だったので, 眼下の佐久の街灯りが宝石のようにきらめいている のを見ることができた。気温が低いせいか,遠くの光が瞬いている。
 窓の外には,相変 わらず雪が舞っており,ライトアップの光にきらきら光っている。 これも ダイアモンドスノー と言うらしい。朝夕などに太陽の光を受けると太陽の上下にきらきらと光る帯ができ, 「光柱現象」(サンピラー) と言うものが見られることもあるという。地下1階の自分たちの部屋からも,窓際によ って少し背伸びをすれば,街の灯りを見ることができた。外では雪が舞っている。

3月24日(日)
 全く雲一つない 晴天の夜明け を迎えた。佐久の町並みを雲海が覆い隠している。徐々に周囲が明るくなり,黒斑山の 肩から陽が射してきた。外は真冬の景色だが,春分を過ぎた陽射しは力強い。
 雲海の向こうには 奥秩父の山 が,その右手には 八ヶ岳 の山々が霞んではいるがどっしりとした姿を見せている。八ヶ岳は,その頂は雲が覆い, 特徴あるスカイラインを確認することはできなかった。

 朝食は7時30分から。普通の和食で,ご飯をお代わりしてしっかりと食べた。
 身支度をして,宿を出たのは8時40分。宿泊客は次の日も自由に入浴できるという。 黒斑から帰ったらまた入ろう。フロントで黒斑山の状況を聞くと, 今は,スノーシューは要らない が, アイゼンは必要 とのこと。どこまで行けるか分からないが,とにかくいけるところまで行こうと言うこ とで黒斑山に向かった。

 私の服装は,下は いつものズボン ,上は先日買った 冬用シャツ にフリースを着た。気温は低いが,寒さはさほど感じない。陽射しの強さがカバーして いるのだと思う。息を吸い込むとむせるようになるのは気温が低いからだ。
 登山口から少しの間はアイゼンを付けずに歩いた。 しっかりしたトレース があり,足が潜るようなことはない。反対に,少し積もった雪の下は完全に凍り付いて おり,早めにアイゼンを付けた。この 軽アイゼン を付けて歩くのは初めてだ。 4本爪 だが思っ たよりしっかりしており,滑りそうな斜面でもしっかりと支えてくれた。
 しかし,アイゼンの取り付け方があまり良くない。靴の土踏まずの所にゴムベルトで 取り付けるようになっているのだが, かかとの方のゴムが やや短い ために張りが強く,歩いているうちに 土踏まずからかかとの方にずれ てしまう。 布のベルトに取り替えた方がいい。昨年,換えベルトを用品店で見かけたので探してみ よう。
 少しずつ雲が出てきた。陽が陰ると極端に寒くなる。陽光のエネルギーを今更に感じ た。風が殆ど無いのが救いだ。登り初めて直ぐの車坂山のピークを下ったところで踏み跡が2つに 分かれている。右の踏み跡は眼の前の ピークを登って いき,左の踏み跡は目の前の ピークを回り込 む ように付いていた。左の踏み跡もしっかりしていたので,このコースはピークに登らず に巻く道 だと判断して左のコースを辿った。ところが,10分ほど緩い斜面を登ったところで, 突然 足跡が無くなった。 雪が深く,そのまま進むことは無理と判断して引き返した。 「間違い道の方が踏み跡がしっかりしている」 ということを聞いたことがあるが,まさにその通りだった。間違い道では気づいたとこ ろで引き返すために,往復で踏み跡が付くのだ。時間にして15分ほどのロスだった。

 ここからの登りは本格的な登りで, 完全に凍り付いた急斜面 をアイゼンを効かせながらゆっくりと登った。もし滑ったら無事ではすまないだろう。 緊張しながら慎重に登った。

 振り返ると, ホテル スキー場 が遙か下に見えるようになった。シーズンも終わりに近づき,スキー客はまばらだ。

 高度が上がるに従って, 水ノ塔山,篭ノ登山 が見えてきた。


 四阿山 は,両側に裾野を広げた雄大な山だ。

 赤ゾレの頭 方向

 鞍部から 浅間山 が姿を現した。山腹には木が生えていないので,パウダーシュガーを振りかけたデコー レーションケーキのようだ。

 槍が鞘 には,浅間山が万が一噴火したときのために 避難壕 が作られている。大きなかまぼこ状の施設で,赤黒い鉄板でできていた。

 さらに少し登ると 赤ゾレの頭 といわれるピークに着く。たくさんの登山者が休んでいた。みんな, 完全な冬装備 で来ている。アイゼンは 10〜12本爪 ピッケル も持っている。雪山に登るのならば,これくらいの装備 は必要なのだ。

 ここまできて初めて 浅間山 の全体が見えるようになる。みんながカメラのシャッターを切る絶景ポイントだ。

 トーミの頭

 ここからガレた急斜面を少し下って登り返すと トーミの頭 に着く。このコースは右側が深く切れ込んだ崖になっており,慎重に進まなければ ならない。

 トーミの頭から更に少し進むと 黒斑山の山頂 だ。


 正面の浅間山の右側には 剣ヶ峰 


 左には,足元から 蛇骨岳,Jバンド へと続く外輪山の岩壁が望める。眼下には火口原の 「湯の平」 が広がっている。


 写真を撮っているうちに,見る見るガスが巻いてきて浅間山の山頂を隠しだした。 山頂 で昼食にするはずだったが,天候の悪化が心配されるので, そのまま下山する ことにした。今朝 は朝食をしっかり食べてきたので我慢できるだろう。
 斜面の下降には,登るとき以上に神経を使う。アイゼンがずれたので,直そうとした が簡単ではなかった。ゴムが固い上に手がかじかんで指先が言うことをきかない。やっとの思いで 直して斜面の下降にかかった。凍った急な斜面もなんとか無事に通過し,1時間半ほどで登山口に 戻った。
 ホテル で温泉に入り,ストレッチで体をほぐした。ホテルの駐車場を出発したのは13時30 分だった。ソバの美味い店をホテルで聞いたので,そこに向かった。その店は,国道18号を軽井 沢方面に走り,軽井沢に入って直ぐの所にあったが,特別美味しいというほどものでもなかった。 ここまで来てしまうと上信越道に入るまでもないので,18号線を高崎に向かった。碓氷峠を下り, 横川のドライブインで休憩し,高崎を経由して宇都宮の自宅にたどり着いた。

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