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石 裂 山

2002年(平成14年) 4月14日(日)


コース・タイム
 宇都宮(7:46) ⇒ 樅山 ⇒ 塩山 ⇒ 上日向 ⇒ 加蘇山神社(8:37)
  加蘇山神社(8:43) → 千本桂(9:15) → 中の宮(9:34) → 東剣ノ峰(10:17) → 石裂山(10:45-55) → 月山(11:05-昼食-12:15) → 竜が滝(13:06) → 加蘇山神社(13:27)
 加蘇山神社(13:33) ⇒ 宇都宮(14:45)
同行者
 妻

 昨日は不安定な天気だったが,今日は,春特有の霞がかかった穏やかな日。遠く 日光 連山 も,霞の中に見えている。
 今日は, 石裂山(オザクサン) を目指して家を出た。1周3時間ほどのコースなので,朝もゆっくりと家を出た。途中 の道も空いていたので,45分ほどで 加蘇山神社 社務所まで行けた。ここの公衆トイレで用を済ませ,更に奥にある 駐車場 まで進んだが,ここで驚いた。なんと,駐車場がほぼ満車状態なのだ。それほど人気の ある山でもないだろうと勝手に判断して, こんなに登山者が多いことは考えてもみなかった。
 もともと石裂山は信仰の山で,全国にある オザク信仰 の一つとしてかなり信仰を集めていたのだが,更にこの時期は, アカヤシオ の満開時期でもあり,近県からの登山者も多かった。何とか,空いているスペースに車 を停め,身支度に取りかかった。

 今日は,今まで履いていた靴とは 違う靴 を持ってきていた。この靴は,15年ほど前に,高校生の 息子 が学校のキャンプに行くというので購入したもので,革靴である。サイズは同じなので 私でも履くことができる。今まで1〜2度履いただけで,しまい込んであった。当時は,今のよう なゴアテックスの軽登山靴は無く,選択肢は,ビニル製の キャラバンシューズ 革靴 のどちらかだった。後になっても履けるものという ことで,ビブラム底の革靴を買った。 私には,靴底には一つのこだわりがある。どうしても 「ビブラム」 でないと納得しないのである。
 私が初めて登山靴と言うものに出会ったのは学生の時だった。当時3000円のお金 を持って 「キャラバンシューズ」 でも買おうと思い,宇都宮市内の 「オーハシ」 という山靴専門店へ行った。3000円で買えるキャラバンシューズは有ったのだが, そこの主人の薦めで 中古の革靴 を買うことになった。靴の程度は良く,しかも,靴底を ビブラムの新品に張り替えて 3000円にしてくれると言う。その当時,ビブラムがどういうものなのかも知らず, 「イタリア製で,ヨーロッパアルプスで鍛えられた靴底」 ということぐらいしか知らなかった。良いものなのだろうなという漠然とした期待感程 度しかなかった。
 その靴はなかなかのくせ者で,容易に私の足にはなじんではくれなかった。その靴で いろいろな山を歩いたが,山歩きは 足にできるマメとの戦い でもあった。でも,その靴には絶対の信頼が持てた。8年ほど履いていたが,寄る年波 には勝てず,現役を引退してもらった。
 次に買ったのが,「ミズノ」の 軽登山靴 だった。価格は1万円で革靴だった。とても気に入ったのだが,底がビブラムではない。 そこで,1万円で購入したその軽登山靴をその足で「オーハシ」に持っていき,底を ビブラムに張り替えて もらった。張り替え賃が1万円だった。この靴は,それまで履いていた登山靴に比べる と,とてもソフトで,直ぐに足になじんでくれた。マメとの戦いにも終止符を打った。
 この靴は, 20年以上 も私と行動を共にしてくれた。といっても,そのころは山歩きは年に1〜2回程度だっ た。その代わり,手入れは良く行った。山歩きをした後は,必ず 水洗い し, 陰干し した後, 保革油 をタップリ塗って 靴入れに 保存した。おかげで,20年以上立っても革は弾力性を失わず,十分な機能を果たして くれた。しかし,この靴もさすがに痛みが出てきて,水漏れがひどくなった。しかたなく,3年前 の5月,Dannerに履き替えた。この靴のことは,またいずれ書きたい。
 駐車場からすぐに山道に入る。道は良く整備され,歩きやすい。靴は皮が固く違和感 があるが,感じを確かめながら歩く。道はスギ林の中の緩い上り坂で,沢に沿って歩くと,ほどな く 清滝 に着く。

 水は透き通っていてとてもきれいだ。 道標も完備しており 道のりが細かく表示してある。更に少し行くと休憩所の あずま屋 があるが,新しくきれいで感じがいい。
 中の宮 を過ぎると突然岩場が現れる。長い クサリ場 だが,傾斜はそれほどでもなく,足場が確保できるので危険ではない。しかし,慣れな い人にはかなりの恐怖感を与えるだろう。先日,この山で 滑落による遭難死者 が出た。ルートでない岩を登っていたらしい。そのためか, 「警告」 の張り紙がやたらと目に付く。危険な岩場があるので,安易な気持ちで入山しないよう に呼びかけている。
 奥の宮 へは,長いハシゴを登らなければならないが,先客があり,待たされそうなのでパスし, 先へ進んだ。


 ヒゲスリ岩


 危険な斜面には,真新しい アルミ製のハシゴや橋 が取り付けられており,安全にはかなり気を使っている。取り外した鉄製のハシゴがコ ースの脇に置いてあり,最近掛け替えられたらしい。


 岩場を過ぎ,草付きの斜面を登ると, カタクリ の可憐な花が出迎えてくれた。
 「東剣ノ峰からクサリ場の急斜面を降りて・・・」と案内書にあったが,クサリはア ルミ製の頑丈なハシゴに交換されており,難なく鞍部まで降りることができた。斜面を登り返すと 西剣ノ峰 で,見晴台があったが,さほど見晴は良くない。更に少し下り,斜面を登ると 石裂山頂 である。ここには 三等三角点 がある。ここもあまり見晴しは良くない。昼食は隣の 月山 でとることにして,早々に山頂を後にした。


 月山 の山頂は満開の アカヤシオ に取り囲まれていた。時期的に丁度良かったようだ。今日の賑わいの原因がこれだった のかと改めて納得した。


 山頂からは 日光連山 が眺められた。 奥白根山 が真っ白な特徴ある形を見せている。近くの山は初めて見る形なので何という山なのか 分からない。
 山頂 では,既に多くの登山者が昼食を食べていた。休むのに良い場所を探したが,あまり広 くない山頂に登山者が多く,なかなか良いところがない。風が冷たいので,日なたを探してやっと シートを広げることができた。
 今日は天気も良く,登りではかなり汗をかいた。半袖シャツで歩いていたが,立ち止 まると寒くなる。長袖のシャツを着て,その上からウインドブレーカーを着た。さっそくお湯を沸 かし, 即席麺 を作った。久しぶりに美味しかった。2月に行った戦場ヶ原では,作ったラーメンが直 ぐに冷めてしまったのだが,今日は最後まで熱く,美味しかった。食後には コーヒー を湧かして飲んだ。最近は,ちょっと贅沢だが,レギュラーコーヒーを持参している。 ラーメンを作りコーヒーを湧かして飲むと,1時間近い時間がかかるため,時間に余裕がないとで きない。近くの山歩きの場合は, できるだけゆっくりした時間を確保する ようにしている。山に登ることも楽しいが,山の中にいて美味しい空気を吸うことだけ でも十分に楽しいのだ。
 久しぶりにゆっくりした時間を過ごし,下山にかかった。下りでは右の内側のくるぶ しが靴に当たって痛い。靴ひもの一番上を一つ外し,残りを緩く締める事で少し楽になった。もう 一つ,つま先で地面を蹴るとき,つま先の甲が折れて足に当たり痛い。これは,直ぐにはどうにも できないから歩き方で工夫するしかない。この登山靴もなんとか面倒をみればもう少しは使えそう だ。近くの山歩きで少しずつ履き馴らしていくことにしよう。

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