西 穂 高 岳
西穂高岳・焼岳・乗鞍岳登山の第1,2日

期日 2002年(平成14年) 7月26日(金)〜27日(土)
 →(第3日 焼岳) 

→(第4日 乗鞍岳)


コース・タイム
 7月26日(金)

  自宅(4:05) ⇒ 伊勢崎IC(5:26) ⇒(北関東道)⇒ 高崎JCT(5:35) ⇒ 藤岡JCT(5:38) ⇒(上信越道)⇒ 横川SA(6:03-27) ⇒
    ⇒ 更埴JCT ⇒ 梓川SA(7:43-58) ⇒ 松本IC(8:04) ⇒R158⇒ 道の駅(8:36-45) ⇒ 平湯 ⇒ R471 ⇒ 新穂高駐車場(9:45)
    新穂高駐車場(10:23) → 新穂高温泉(11:15 )⇒(ロープウエイ)⇒ 鍋平高原(11:20) → 白樺平(11:30) ⇒(ロープウエイ)⇒ 西穂高口(11:40)
        西穂高口(12:16) → 西穂山荘(泊)(13:40)

 7月27日(土)
      西穂山荘(5:34) → 独標(6:46) → 西穂高岳(8:14-58) → 独標(10:41) → 西穂山荘(11:27-12:31) → 西穂高口(13:38)
  西穂高口(13:38) ⇒(ロープウエイ)⇒ 新穂高温泉(14:56) → 駐車場(15:30) ⇒ 「山の宿」(16:00)(泊)


同行者
    チコ

1 新穂高まで
 毎年,一つだけ大きな山に登ることを目標にしてきた。昨年は槍ヶ岳,一昨年は北岳,その前の年は奥穂高岳に登った。今年は,西穂高に登ることにした。自動車で登山口まで行ける便利さと,昨年槍ヶ岳に行って様子が分かっていることなどから,新穂高から登ることにした。登山にロープウエイを使うのは邪道かも知れないが,そこは熟年登山と言うことで許してもらうことにした。
 自宅から国道293号を通って足利へ,その先県道39号から北関東道路の
伊勢崎ICに出た。ここで高速道に乗れば,北関東道から関越道,上信越道,長野道と乗り継いで,松本まで約200kmの道のりだ。渋滞も殆ど無く実に快適な道路だ。空いている高速道は採算がとれずに問題があるのだろうが,利用するものにとってはありがたい。贅沢を言えば,北関東道路がもう少し延びて,東北道と関越道が繋がって欲しい。更に,通行料金が安くなればなおいい。松本ICの料金所を出たところで車が渋滞している。上高地方面に行くには,料金所を出て直ぐに右折しなければならないのだが,その信号で繋がっているのだった。その先は渋滞は全くなかった。昨年夜明かしをした道の駅「風穴」で休憩し,あとはまっすぐに新穂高に向かった。新穂高の無料駐車場は入り口が分かりづらいのだが,今回は間違わずに左折した。ところが,駐車場へ続く道の片側に車がびっしりと停まっている。昨年と同じ状況だ。昨年は土曜日,今年は金曜日と言うことで,駐車場が満杯にはなっていないだろうと考えていたのだが,甘い考えだった。でも,何とか空きスペースを探し,駐車できた。

2 新穂高ロープウエイ
 身支度を整えて出発したのだが,駐車場からロープウエイ乗り場まで30分ほど歩かなければならない。案内所の前の大型バスの駐車場まで来ると,正面に笠ヶ岳から抜戸岳への稜線が衝立のように立ち上がっているのが見えた。群青色の空をバックに,鮮やかに輝いている。

 新穂高ロープウエイは二つに分かれている。第1ロープウエイは新穂高温泉駅(1117m)から鍋平高原駅(1305m)まで(4分),第2ロープウエイはしらかば平駅(1308m)から西穂高口駅(2156m)まで(7分)となっている。第1ロープウエイは毎時15分と45分,第2ロープウエイは毎時00分と30分の発車となっている。

 ロープウエイに乗り高度が上がっていくにつれ,展望が開けてくる。笠ヶ岳から抜戸岳,弓折岳から樅沢岳への稜線が大迫力で迫ってくる。更に高度が上がってくると,左手奥に槍の穂先が見えてきた。 大喰岳の稜線から,穂先だけがほんのちょっと顔を出しただけなのに,なんとも言いようのない感激がこみ上げてくる。丁度1年前,私たちはあの先端に立っていたのだ。

 焼岳の豪快な姿も見えてきた。

 更に高度が上がってくると西穂高岳から独標にかけての稜線が見え始め,どきどき,わくわくしてくる。明日はあそこを歩けるのだ。ロープウエイが西穂高口駅に着く直前に,西穂高岳の左側が切れ落ちた鞍部からジャンダルムが姿を現した。角度の関係で,ジャンダルムが見えるのはここからだけだ。
西穂高口駅の屋上は「マウントビュー千石」と名付けられた展望台で,ここからの眺めはすばらしい。この景色を見るためにだけでも,ロープウエイで登ってくる価値はある。360度のすばらしい展望が得られる。まず,笠ヶ岳から抜戸岳,弓折岳,樅沢岳へと続いた稜線が西釜尾根となり,槍ヶ岳のピークに繋がる。槍ヶ岳からは,大喰岳,中岳,南岳へと続いた稜線が西穂高の後ろに消える。西穂高の稜線は,最も左の最高点が西穂高岳山頂で,右へ2つほどコブを越えたピークがピラミッドピーク,さらに小ピークを2つほど越えた尖鋒が西穂独標だ。さらに稜線を右に辿ると西穂山荘の屋根が見える。

 西穂山荘から西穂高岳へのルートもはっきりと見え,そこを登っている登山者の姿も肉眼で確認できる。明日はあそこを登るんだ。展望台の反対側に廻ると,正面に,赤く焼けただれた山肌を見せる焼岳が手の届きそうな近くに見える。あさってにはあそこに登る計画だ。手前側に登山ルートが見えるが,このルートは焼岳小屋から登るコースで,私たちが計画しているのは,反対側の中ノ湯温泉から登るコースなので,ここからは見えない。焼岳の左奥には,複数のピークを持つ乗鞍岳がどっしりと構えている。とにかく,年に数回という良い天気で,見晴らしは申し分なかった。

3 西穂山荘まで
 いつまで見ていても飽きないが,出発することにした。初めの計画では,ここで昼食にする予定だったが,直射日光が強く,日陰がないので,西穂山荘までの途中で日陰を見つけ昼食にすることにして歩き出した。10分ほど歩いたところで,適当な場所を見つけたので,昼食にすることにした。先を急いでも仕方のないことで,ゆっくりと昼食にするはずだったが,ヤブ蚊が多く,早々に切り上げ,先を急いだ。今日は風が殆ど無いせいか,蚊が多く,歩きながらでも刺された。今年は,先月末の会津駒ヶ岳でもそうだったが,今までになく蚊やブユなどの小虫に悩まされることが多い。今までこんな経験はあまり無かった。次回からは,虫除けの薬を持ってこよう。
 西穂山荘への最後の登りは,標高差こそ250mほどだが,暑さと湿度の高さにかなり苦しかった。軽い足慣らしのつもりだったが,考えが甘かった。しっかりと汗をかいた。


4 西穂山荘で
 西穂山荘には2時前に着いた。チェックインは1時から受け付けているということで,直ぐにチェックインした。予約者名簿にはきちんと名前が乗っていた。予約しなくても宿泊できるが,やはり予約して置いた方が安心だ。今日は混雑していると言うことで,布団1枚に1.5人ということだった。実際に,ほぼその通りだった。今日は金曜日だというのに,かなり混んでいる。土,日を外せばそれほど混まないのではと思ったが,考えが甘かった。今はシーズン真っ盛りなのだ。山荘の前のテラスにはベンチも用意されているが,込み合っていて自分の場所を確保できない。陽射しが強く,日陰を探すが,日陰は殆ど無い。売店の自動販売機でカンビールを買って,売店の中で飲んだ。気温は低く,日陰にいると汗が冷えて冷たくなる。少ない。
 テント場のテントもまだ少ない。
 テント場の横に,トリカブト(ホソバトリカブト?)が咲いていた。

 ハクサンフウロ
 夕日は,笠ヶ岳の左に沈む。


5 再会
 夕食は5時から。食堂内では生ビールがコップ一杯(小ジョッキくらい)800円。さっそく買って席に着いたら,正面に座っている御夫婦から,「昨年,槍に行きませんでしたか?」と声をかけられた。改めて顔を見ると,見覚えがある顔だ。昨年槍ヶ岳に登った際,槍平小屋で同室になり,いろいろ話をしたお二人だった。お互いに名前も名乗らずに分かれたが,再び会えるとは思いもよらなかった。何とも不思議な縁を感じないわけにはいかなかった。実はこのお二人には2日後に別のところで三度会うことになる。この御夫婦には,私のHPのURLをメモして渡した。見てくれるとうれしい。

6 山頂へ
 朝食は5時。山荘を出発したのは5時30分少し過ぎ。早朝なので空気はさわやかだが,陽射しが射るように当たる。山荘は森林限界に建っているので,山荘を出ると直ぐに見晴らしは開ける。高い山に登ると,いつも富士山を探す。そして,いつもどこから見ても変わらない姿を見つけると安心し満足する。富士山の姿は,右手遙か遠くに,南アルプスの山並みの左端,甲斐駒ヶ岳の左肩から顔を出していた。霞んでいて写真には写らないだろうと思ったが,一応写真に収めた。時間が遅くなると雲に隠れてしまうおそれが十分にあるからだ。
 少し登ると,眼下に西穂山荘が望め,その背後に焼岳の姿が大きい。

 左には,笠ヶ岳から抜戸岳につながる稜線が朝日を浴びて輝いていた。。


 遠方には,霞んではいるが,乗鞍岳の姿も確認できた。
 西穂独標までは,なだらかな尾根歩きで,気分爽快な楽しい散歩道だ。「独標」と言う名前の付いたピークは西穂以外にもたくさんあるが,「独立標高点」の略で,無名のピークに標高点を設置した場合にそう呼ばれることが多い。西穂独標は,西穂山荘から登って初めてのピークで,その眺望はすばらしいが,頂上はあまり広くない。

 この先は,岩場も多くなり,危険個所も出てくるので,ここで引き返す登山者も多い。山頂方面に進むには,登ってきた反対側の,急な岩場を降りなければならない。段差も大きく,足場を探すのに慣れていないと苦労する。私はもともと高度による恐怖をあまり感じない方で,岩場歩きは大好きだ。独標から先は登山者の数も少なくなり,ゆっくりと楽しみながら登ることができた。クサリなどは意図的に付けていないのか,山頂までの間でクサリ場は1カ所だけだった。自分の両手・両足でしっかりと体をホールドして先に進むのは緊張感はあるが,それだけに成就感もある。
 ピラミッドピークは,独標から見ると正にピラミッドのように見える。稜線を横方向から見ると丸みを帯びたピークで,その名前を不思議がるのだが,独標から眺めるとその名前を納得する。

 ピラミッドピーク

 西穂山頂に続く岩尾根

 ピラミッドピークから更にコブをいくつ越えて,最後の斜面を上り詰めると西穂高岳山頂である。

7 山頂
 山頂からの眺めは正に360度の大パノラマだ。
 西釜尾根から槍ヶ岳に続く稜線にはガスが巻きだした。その手前下には,昨年泊まった槍平小屋が見え,飛騨沢が大きく右にカーブして山の陰に入っていく。昨年の今の時刻には,飛騨乗越を前にして,必死に登っていたのだ。昨年の槍ヶ岳登山も天気に恵まれたが,今日も良い天気だ。でも,見通しが良いのは朝の10時頃までで,それを過ぎると雲が湧いてきたり,霞がかかったりする。やはり,早い時間が良い。


 中央に飛騨沢。大喰岳から槍の穂先が顔を出している。

 富士山には,薄い雲がたなびき始めたが,依然としてしっかりと自己主張をしている。その右には甲斐駒ヶ岳のピークがあり,一度落ち込んでから北岳のピークに繋がる。その右はなだらかな稜線が続き,少し離れて塩見岳のピークが見える。
 富士山の左側には,少し離れて
八ヶ岳の山並みが続いている。最も右側が編笠山の三角形,赤岳の頂が最も高く,左端の丸い頂の蓼科山まではっきりと見える。
 南側の眼下には梓川が流れ,上流へ辿ると明神岳の陰に隠れる。明神岳から前穂高岳に繋がる稜線は,吊尾根となって奥穂高岳に続いている。
 奥穂高岳。手前にあるジャンダルムが最も高く見える。


  西には錫杖岳から笠ヶ岳につながり,抜戸岳に続いた稜線が少し低くなるところで,奥の黒部五郎岳が望める。

  イワヒバリがやってきた。人を怖がらずに直ぐ近くまでやってくる。



 
イワツメクサは,高山にふさわしい花だ。



 キバナノコマノツメは岩礫地帯を好み,その隙間に生育する

 前穂高岳の頂上直下の紀美子平から,重太郎新道が下っているのが見える。ナイフの刃先のような尾根筋に沿って付けられている道がよく見える。重太郎新道を辿って目を下に移していくと,岳沢ヒュッテの赤い屋根が目に飛び込んでくる。屋根が見えてもなかなか近づかなかった,3年前の苦しかった記憶が蘇ってくる。岳沢ヒュッテまでも苦しかったが,その先,上高地までも長く辛い下降だった。

 私たちはここで引き返すが,この先,ジャンダルムを越えて奥穂高岳まで向かう登山者も多い。30年前に初めて奥穂に登ったとき,「ジャンダルムは素人の近づく所ではない」と教えられた。当時,西穂からジャンダルムを越えて奥穂に来る人は皆,ヘルメットをかぶりザイルを肩に掛けていた。ロッククライミング技術のない人には,ジャンダルム越えは無理だった。 今は,ジャンダルムの迂回路もでき,それ以外のルートも整備されたと聞くが,安易には足を踏み入れるべきではないと思う。コースの険しさとともに,距離もあり,奥穂の山頂まで標準タイムで7時間と言われている。7時間もの間緊張を持続させる自信はない。まして,天候が急変した場合の逃げ道は,天狗の頭から岳沢に下る道しか無く,これもかなりの険路である。 西穂への途中で会った年輩の登山者は,「体力には自信はあるが,私は行かない。奥穂へ向かう人は大半が自信過剰だ」と言っていた。 一方,山頂であった別の登山者は,「この先もたいしたことはない,ここまでこられたのなら,この先だって行けるよ」と言っていた。どちらもそれなりの見方なのだろうが,山の怖さを知らない人ほど,甘く見てしまう傾向がある。
  チシマキキョウ



 ハクサンイチゲ



    リンネソウ



8 下山
 岩場の下降は登りより緊張する。また,そうあるべきだと思う。山頂から独標方面への下りは,段差がかなり大きく,手足のホールドを探すのに慣れないと苦労するだろう。しかし,岩は硬くしっかりしており,安心して体重を預けられる。この程度の岩場ならばたいして苦労はない。妻も,手足の使い方もしっかりしており,かなり慣れてきたようだ。このくらい歩けるのなら心配は要らない。
 独標の両側も岩場になっており,段差が大きく,緊張させられる。

 ここで,独標から西穂に向けて岩場を降りてくるグループとすれ違った。その中の2人の女性が足をかける場所が見つけられず,同じグループの男性にサポートされながらやっとの思いで降りてきた。この場所の通過が自分でできないようならば,この先へは進むべきではない。私たちと一緒に待たされていた別の登山者が,同じ様なことを言っていた。他人にサポートされるのも時には仕方ないが,原則は,「自分のことは自分で」である。自分一人で通過できないのならば,来るべきではない。結局,それが自分のためなのだ。岩場の通過などは,低山の岩場などで経験を積んでから,高い山に臨むべきなのだ。
   ウサギギク

 独標の上は混雑していた。私たちは休まず,山荘側に下った。独標に向かって登って来る人たちが列を作っていたが,狭い通路ではすれ違うことができない。
 一般的に言えば,登山道では上り優先だが,この場合,独標の頂上は狭く,まず下る人を先に降ろさなければ新しい人は登れない。多少強引だったが,先行する人に続いて下っていった。登りを待たされている人から不満の声が聞こえたが,仕方ないことだ。
 山荘まで下って昼食にし,少し休んでからロープウエイ駅まで下った。駅の屋上展望台からは西穂の頂上が見えたが,少しするとガスに覆われていった。

9 温泉民宿「山の宿」
 昨年,槍ヶ岳登山の帰路に世話になった「山の宿」にまた今年も世話になった。ここの御主人は,穂高岳山荘のオーナー今田英雄さんの兄で,この宿は穂高岳山荘の連絡所にもなっている。御主人に,昨年お世話になったことなどを話したが,覚えてはいなかったようだ。
 宿の窓から,西穂の山頂からピラミッドピークまでの稜線が望める。霞んではいるが何とか見ることができた。
 御主人に,明日中ノ湯から焼岳に登る計画だと告げると,そのコースは登る人があまりいないようだから,中ノ湯温泉旅館に確認した方がいいとアドバイスされた。さっそく中ノ湯温泉旅館に電話すると,毎週末には100人以上も登っており,コースはしっかりしており安全だという。


 やはり,明日は焼岳に登ろう。

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