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奥 白 根 山

2003年(平成15年) 6月29日(日)


コース・タイム
 宇都宮(4:48) ⇒ 金精峠 ⇒ 菅沼駐車場(6:14)
  駐車場(6:27) → 登山口 → 弥陀ガ池(8:24) → 奥白根山頂(9:30-55) → 避難小屋(10:56) → 五色沼(11:20-昼食-50) → 弥陀が池(12:16) → 登山口(19:45) → 駐車場(13:50)
 菅沼駐車場(14:01) ⇒ 金精峠 ⇒ やしおの湯(14:50-15:45) ⇒ 自宅(16:37)

同行者
 妻

 三週連続の日光 となった。できれば,昨日の土曜日に出かけたかったのだが,昨日は天候が不安定だっ たので,今日にした。天気予報では で,宇都宮地方は最高気温が30℃になるという。しかし,宇都宮は朝から曇り空で, あまりいい空模様ではなかった。
 日光 へ向けて車を走らせると,東の空の雲が開け,陽が射してきた。しかし,日光方面の空 は低くたれ込めた雲で覆われ, 日光連山 は見えない。 日光道路 今市 辺りまで来たところで,霧が立ちこめてきた。霧は徐々に深くなり, 日光IC 付近では徐行を余儀なくされるくらい深くなってきた。よく, 「いろは坂が霧なら上は晴」 と言われるが,少し早すぎる。日光道路の 鳴虫山トンネル を抜けると,霧が晴れ,陽射しも届いてきた。抜けるような真っ青な空の色に今日の好 天を確信した。・・・のだが。
 早朝のためか道路は空いており,1時間半もかからないで 菅沼の駐車場 に着いた。駐車場には既に 30〜40台 の車が停まっており,また, 菅沼キャンプ場 に宿泊したと思われる 中学生の団体 が,登山道を登り始めていた。60〜70人の団体で,結局, 弥陀が池 まではこの団体の後を歩くことになった。頭上は雲に覆われ, 五色山 白根山 方面も中腹から上は雲に隠れていた。期待したほど良い天気ではなかった。

 身支度をして歩き出したが,中学生の団体に追いつかないように,特にゆっくり歩い た。この道は既に何度と無く歩いている道なので,おおよその様子は頭に入ってる。登山口から少 し入ったところに シロバナノヘビイチゴ の群落があり,たくさんの白い花を咲かせていた。シロバナノヘビイチゴは, ヘビイチゴ の名前があるが,食用になる オランダイチゴの仲間 で,食べられるし,美味しい。

 登山口から 弥陀が池 まで,ゆっくり歩いて2時間で到着した。慣れた道のせいかさほど苦痛には感じない。 弥陀が池 の直前に, ミネザクラ が咲いていた。ピンクの花と,赤みを帯びた葉の新芽が美しい。

 この山行の目標の一つが, シラネアオイ を見ることだった。新聞やインターネットの情報によれば,保護のために設けた電気柵 の中で シラネアオイ が咲いたという。 奥白根山 で最後に シラネアオイ を見てから,もう何年にもなる。もし,たとえ電気柵の中でも, シラネアオイ が復活したのならば,こんなにうれしいことはない。登山道が右に廻って 弥陀が池の畔 に出て直ぐの 側斜面 に,電気柵で囲まれた区域がある。もしかして シラネアオイ が咲いているかも知れないと言う期待を持って斜面に目をやると,見覚えのある色が目 に飛び込んできた。大きな シラネアオイ の花が,10輪ほど開いていた。さっそくカメラを向けたが,柵から離れたところにあ る花を確実に捉えることは難しかった。しばらく再会を楽しんだ後,先に進んだ。この 座禅山 の南面は,かつては シラネアオイ の大群落が有ったところで,何とかして昔の姿を取り戻してほしいと思っている。更に 少し進んで,登山道が,池の上を桟橋状になって渡るところの 右側斜面 にも数輪の シラネアオイ が咲いていた。








 この付近にはもう一カ所電気柵で保護されたところがある。 五色沼の北端に面した斜面 で,こちらの方が面積が広い。五色山から弥陀が池に向かう道から分かれ,五色沼に向 かって下ってくる道から見ることができる。保護区域の最下部は五色沼からも眺められるが,今回 は,そこからシラネアオイを確認することはできなかった。
  五色沼にある シラネアオイ植生復元の説明板

 弥陀が池 では,先に到着した中学生の団体が集合していた。私たちは彼らをクリアーして先に出 た。程なく,彼らも歩き出し,私たちの後をついてくることになった。これから頂上まで,後ろか ら追い立てられるような状況で歩くことになった。そのため,知らず知らずにペースが速くなって しまい,かなり苦しかった。
 足元では コイワカガミ の群落がいたるところに見られ,気持ちを和ませてくれる。

 弥陀が池から少し登ったところに タカネザクラ(ミネザクラ) が咲いていた。これは,緑色の葉に,純白に近い花で, オオヤマザクラ とは明らかに違う。

 コケモモ


 いつもは,ガレ場の登りになる手前の緩斜面で休憩するのだが,今日は見晴らしも無 く,後ろから追い立てられているので,休憩無しで先を急いだ。風が強く, 手がかじかむくらいに寒い  懸命に登っているのに,なかなか体が暖まらない。
 山頂には数人の先客がいたが,見晴らしは全くないので,とりあえず写真を撮って, 先に進んだ。山頂の先のピークで風を遮る岩陰を見つけ,休憩にした。まだ時間が早いので,昼食 は 五色沼 でとることにして,軽く食べた。


 奥白根山 コマクサ を見つけた,かつては無かったと記憶している。誰かが移植したらしい。移植した人は, 良いことをしていると思っているのかもしれないが, 自然の植生を混乱させるようなことはするべきではない。 私が コマクサ を発見したのも全くの偶然だったので,敢えて自生している場所は伏せておくことにす る。



 ツガザクラ

 山頂から 避難小屋 に下る途中で,少しの間霧が晴れ, 五色沼 前白根山,男体山 中禅寺湖 が見えてきた。
 男体山と中禅寺湖


 五色沼

 避難小屋の南西にある 大凹地 も見えた。この大凹地は 特異な植生 を示しており, 植物学的に貴重な場所 なのだ。一般に,高度が高いほど気温は低くなるが,秋から冬にかけて,この大凹地で は高度が低い凹地の底の方が周囲より気温が低くなる現象が見られる。 冷えた空気がその重さで, 凹地の底に溜まるからと言われる。奥白根山を下り,避難小屋に着く前に,この 大凹地 を見に行った。山王峠の近くにある 涸沼 によく似た風景だった。

 霧雨が降ってきた  雨具を付けるほどではないが,先を急がなければならない。とりあえず 五色沼 の北岸まで急いだ。避難小屋の周辺ではたくさんの オオヤマザクラ タカネザクラ が花を付けていた。満開は過ぎていたが,まだかなり花が残っており,満開時にはさぞ かしきれいだったろうと想像された。

 避難小屋 から 五色沼 に下る道にはまだ が残っていた。 五色沼 の畔では,何組かのハイカーが休憩し,昼食をとっていた。時折サーッと雨が吹き付け ては去っていく。北岸にある保護柵の中にシラネアオイを探したが,見つからなかった。

 昼食を食べて出発したところで,雨が強くなったので雨具の上だけを付けた。
 弥陀が池 を過ぎ,高度が下がるに従って雨が上がり,暑くなってきたので雨具を脱いだ。
 急ぎ足になるのを意識的に押さえて,ゆっくりと降りてきた。登山口に降り立っても, 出発時と同じに,山の中腹以上は雲に隠れていた。

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