燕 岳 - 常 念 岳 縦 走 その2

期日 2004年(平成16年) 7月27日(火)〜31日(土)
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3 常念小屋まで
  7月29日(木)
 日の出の時刻は4時50分頃。待ちきれず,4時半頃には小屋の前に出てご来光を待った。眼下には一面の雲海が広がっており,荘厳さを感じさせる。やや強めの風が吹き,寒い

 たなびいている雲の上端が明るい線で縁取られると,その一点がオレンジ色に光り出し,やがて,その光が広がり,高度を増していく。カメラを構えたまま,夢中でシャッターを切り続けた。

  早朝には美しい日の出を見ることができたが,時間が経つにつれて徐々にガスが上がってきて,小屋を出発する頃には,当たり一面ミルク色の世界になってしまった。同宿者の中には槍を目指して出発していくグループが多く,羨ましい気持ちが無いわけではなかったが,自分の判断を信じて常念への路を進んだ。 

 ガスの中をまずは
大天井岳を目指して出発した。 視界は10mから50m程度で,踏み跡を頼りに足を進めた。唯一の慰みは,多くの高山植物に出迎えられたことだ。特に,コマクサの可憐さには心を和まされた。
 蛙岩(ゲーロ岩)

 木のハシゴを下る
 いくつかの登り降りを繰り返し,切通岩小林喜作のレリーフを過ぎると,大天井岳への最後の登りだ。


 足元を見つめながら,一歩一歩登ると,間もなく大天荘の前に出る。まずは,ここに荷物をデポし,山頂を目指す。
   
雷鳥が出迎えてくれた         
 大天井岳山頂

 大天荘の前で昼食,霧の粒が大きくなってきた 

 大天井岳でも視界は全くなく,早々に大天荘に戻って昼食を食べることにした。燕山荘で作った弁当は,もち米のおむすびで,おいしく,腹持ちも良いものだったが,まだ,あまり腹も空いて居らず,半分だけ食べて,残りを途中で食べることにした。
 
大天荘前で槍ヶ岳方面に向かう道を分け,常念小屋に向かった。霧の粒がだんだんと大きくなり,雨具を付けようかどうかで迷った。メンバーは,それぞれ,自分の身体の状態と経験に基づいた判断で雨具を付けて,あるいは付けずに歩いた。
 景色の見えない中で黙々と
常念小屋を目指して歩いた。でも,ものは考えようで,おかげでの心配も無かったし,太陽の直射による体力の消耗もなかったので,これは意外とラッキーだったのかも知れない。
 ただ,コースの中で,何カ所か,大きな岩がゴロゴロしたところを通過するところがある。岩の上には足跡が付きにくいため,ルートがはっきりしない。そのため,ガスに覆われると,方向が分からなくなり,道に迷いやすくなる。特に,岩が雨で濡れると,足跡がますますわかりにくくなり,ルートファインディングにはかなりコツが必要になる。このコースには殆ど「赤ペンキ」などのマーキングがない。個人的には,このことは賛成だが,経験の浅い人には厳しいだろう。
 常念乗越までやってきて,横通岳を振り返った。足元に,常念小屋の屋根が見える。

 辺りを包んでいたガスが薄くなり,常念岳が見えた。

 常念小屋に着く頃には,雨粒がかなり大きくなっていた。小屋では乾燥室がフル稼働しており,濡れたものを乾かすことができた。
 雨はだんだんと強くなり,夜半には雨粒が小さな窓ガラスをたたいた。明日は,雨の中を下山しなければならないだろうと,誰もが覚悟を決めた。

今日出会った花たち

 トウヤクリンドウ

 チングルマの実

 タカネナデシコ

 グンナイフウロ

 ヒナコゴメグサ

 イワツメクサ

 タカネヤハズハハコ

 チングルマの実

 ヨツバシオガマ

 ウサギギク

 オトギリソウ


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