鹿 島 槍 ヶ 岳

期日 2005年(平成17年) 7月28日(木)〜30日(土)
 


コース・タイム
 7月28日(木)

   宇都宮(4:50) ⇒ 扇沢(8:20)
     扇沢(9:10) → 登山口(9:25) → 種池山荘(泊)(14:30)
 7月29日(金)
     種池山荘(4:50) → 爺ヶ岳(南峰)(6:00) → 冷池山荘(7:30-8:50) → 鹿島槍ヶ岳(南峰)(10:50-11:20) → 冷池山荘(泊)(13:10)
 7月30日(土)
     冷池山荘(5:50) → 西俣出会(9:25-10:10) → 大谷原(11:00) 
   大谷原 ⇒ 白馬(泊)
 7月31日(日)

   白馬 ⇒ 宇都宮

同行者
  キクさん,Tさん,チコ

 今回の鹿島槍ヶ岳登山は,27日〜29日で計画していた。ところが,例によって台風が近づき,27日には中部地方を直撃するという予報が出た。来てみないと分からないのが台風だが,予報が出た以上,信じなければならない。登山口,又は山小屋まで行って様子を見るという選択肢もあるのだが,今回は日程に余裕があったので,日程を1日後ろにずらすことにした。

 7月28日(木)

 28日の早朝に自宅を出て,扇沢の駐車場に向かった。八坂村の方から県道55号大町に向かい,最後の峠を越えると,針ノ木から五竜に続くスカイラインが目に飛び込んできた。 これから登る,鹿島槍の双耳峰が,一際輝いて見えた。

 今回も,自動車回送サービスを利用することにしていたので,真っ直ぐに扇沢へ行き,駐車場で待機している業者に車を預けた。
 ここで身支度をし,爺ヶ岳の登山口に向かった。


 
爺ヶ岳の登山口は,扇沢から少し戻らなければならない。車道を歩いていると,空のタクシーの運転手が帰りは何時なのかと声をかけてきた。下山時の予約を取りたいのだろう。

 
爺ヶ岳の登山口にある駐車スペースは,既に満杯だった。中型のマイクロバスなども停車しており,さすがにハイシーズンの著名な山は,どこも人が一杯だ。ちなみに,今日は木曜日だ。週末には更に混雑するのだろう。


 先が長いので,ゆっくりと登り始めた。急傾斜だが,登山道の傾斜はそれほどでもなく,良く整備され,歩きやすかった。対岸に岩小屋沢岳が見えた。

 しばらく樹林帯を登っていくと,足下に扇沢の駐車場が見えてくる。更に登り,小さなケルンまで登ると,目の前の稜線に種池山荘が見えてくる。 しかし,見えている山小屋までたどり着くには,更にたっぷりと汗を流さなければならない。

 小屋の直下で,雪渓を横切る。歩道はしっかりと造られており,通過に危険はない。冷たい風が心地よかった。

 小屋の前の斜面はは満開のコバイケイソウで埋め尽くされていた。後方の山は爺ヶ岳

 種池山荘コバイケイソウ 

   種池山荘 後方の山は爺ヶ岳


 爺ヶ岳  南峰(右)と中央峰(左),北峰は,更に左になる。


   オオバタケシマラン(花の着き方に特徴がある。)


  コバイケイソウ針ノ木雪渓

 布引岳から鹿島槍ヶ岳南峰,吊り尾根を挟んで北峰。 明日歩く予定のコースが手に取るように見える。

 ここから剣岳を眺めるのを楽しみにしてきたのだが,逆光のうえにガスがかかっており,よく見えない。 明日はもっとよく見えるだろうと思っていたのだが,結局,山頂が見えたのはこれが最後だった。



 7月29日(金)

 種池山荘出発。風が強い。上空には黒い雲が流れている。

 東の空に僅かに空いた雲の隙間から,朝日が射してきた。 爺ヶ岳の影が,岩小屋沢岳の斜面に写る。

 依然として風は強く,上空には厚い雲が懸かっている。明らかに天気は下り坂だ。
 
五竜まで縦走するか,鹿島槍までのピストンにするかを,いよいよ決断しなければならない。車の回送も今ならばストップできる。
 もともと,この計画は,鹿島槍までのピストンだった。しかし,どうしても
八峰キレットを越えて五竜まで縦走したい気持ちがあり,メンバーの状態を慎重に検討した結果,縦走に切り替えたものだった。メンバー4人とも,このコースの経験はない
 私が最も恐れたのは,
濡れた岩場の通過と,ガスに巻かれたときのルートファインディングだ。前者は,慌てずに時間をかけて進めば,今までの経験からして,通過は可能だと判断した。しかし,初めてのルートで,ガスに巻かれたときの状況は,判断不可能だった。たぶん,ペンキマークなどがはっきりと付けられているのだろうと思われるが,やはり,不安がある以上危険は犯すべきではないと判断し,縦走を取りやめる判断をした。
 すぐに
爺ヶ岳山頂から自動車回送会社に電話し,回送をストップさせた。そして,4人で今後のコースを検討した結果,今日は冷池山荘に泊まり,明日,赤岩尾根を降ることにした。自動車回送会社に再度電話し,車を大谷原まで回送するよう依頼した。
 爺ヶ岳(南峰)山頂
  チシマキキョウ 花弁に白い毛が生えている。


 爺ヶ岳中央峰 山頂にも巻き道にもたくさんの登山者が見える。

赤岩尾根鹿島槍ヶ岳 鹿島槍ヶ岳の山頂はガスに覆われている


 タカネバラ

  崩れた崖の上の僅かな隙間に冷池山荘が建っている。


 
冷池山荘で宿泊の手続きをしてから,荷物の一部を預け,身軽になって鹿島槍ヶ岳山頂に向かった。依然として山頂はガスの中だった。

 ライチョウの親子  雷鳥が姿を現すのは,天気が良くない証拠。

  布引岳山頂  手前で雨に降られ,雨具を着けている。

 タカネツメクサ  同じ方向を向いて真っ直ぐに花を広げている。

   ハクサンフウロ  色が鮮やかだ



 山頂が近づくに従い,ガスが晴れてきた。左右の斜面の対照的な様子がよく分かる。 山頂にはたくさんの登山者が見える。

 鹿島槍ヶ岳(南峰)頂上
   ガスが切れて日がさしてきた。しかし,ガスが切れているのは頭上だけで,見晴らしは無い。


  コイワカガミ



 キバナノコマノツメ

  ミヤマクワガタ


 イブキジャコウソウ

 イワオウギ

 ムカゴトラノオ

  テガタチドリ


 キヌガサソウ

 イワツメクサ


 アオノツガザクラ





 7月30日(土)

 上空の雲と,下の雲海の隙間から,御来光を見ることができた。でも,この後,ガスに包まれた。
 下山しようとしたら,外は雨。しかたなく雨具を付け記念撮影。でも,赤岩尾根分岐付近までで雨はやみ,雨具も脱いだ。


 赤岩尾根上部 崩壊が進み,確かに,足場は良くない。

     鹿島槍ヶ岳は,今日もガスの中だった。
 西俣出会

     西俣出合の砂防ダム ダム底のトンネルで対岸に渡る。


 大谷原の駐車場



  正直言って,縦走が可能だったかも知れないという気持ちは残っている。そう言う意味で心残りではある。しかし,冷池山荘でこんな人に出会った。彼女は単独行で,29日,唐松山荘から7時間かけてキレット小屋に着いたとき,小屋の主人から「明日から天気が崩れるから,今日の内に冷池まで行った方が良い」と言われ,更に4時間,計11時間かけて冷池山荘までたどり着いたのだという。事実,30日からは悪天候になった。
 私たちも,29日に,冷池山荘で,「
今日は午後から雷があるから,山頂に長居せずに,早めに降りてきてください」と言われた。幸い,この日は雷は無かったが,扇沢ではどしゃ降りの夕立があったという。
 山登りは「
自己責任」の世界である。誰になんと言われようが,判断し,行動するのは自分である。そこに,多様な判断が存在し,判断ミスに原因があると思われる事故が発生している。私は,山小屋で働く人のアドバイスは,最大限尊重しようと思っている。特に,天候に関しては,地域性・地域による特異性があり,気象専門家でも判断できない部分がある。
 
エスケープを決断した後でも,自分たちが行く予定だったコースに出かけていくパーティーを見送ると,内心穏やかならざるものがあった。「無謀登山」と言う言葉が頭を過ぎり,お節介と思っても,つい言葉をかけてしまうこともある。
 「無謀」であっても,99.9%は無事に下山できるのであろうが,私はその0.1%になりたくないから,慎重すぎる判断と行動を心がけている。

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