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三  岳

2007年(平成19年) 2月17日(土)


コース・タイム
 宇都宮(4:30) ⇒ 湯元駐車場(5:40)
  駐車場(6:35) → 旧道入口(7:30) → 小尾根(A)(8:40) → コル(B)(10:05) → 山頂(10:45-昼食-11:20) → 尾根(A)(12:10) → 林道(13:05) → 駐車場(13:50)
 湯元(入浴) ⇒ 宇都宮

同行者
 岳々さん,クリちゃん,赤トロさん

 奥日光に 「三岳(みつだけ)」 という山がある。かつて,この山の噴火によって 湯川 がせき止められ, 湯の湖 ができた。 光徳 と, 湯元 の間にある山で, 戦場ヶ原 から見ると頂が三つあるように見えるから, 三岳 という。三つ見える頂の左端が 三角点のある主峰1944.8m である。写真は,赤沼付近から見た三岳


 三岳 は,東西を 光徳と湯元 ,南北を 逆川と切込刈込湖 で囲まれた中にあり,かつてはその中を,東西に横切って 光徳と湯元を結ぶ山道 があった。その道を境に, 南三岳と北三岳 に分けられる。
 現在,この山には登山道はない。特に無雪期は藪が深く,この山に登る人は殆どいな い。しかし,藪が雪に埋まる積雪期には,ルートさえ間違わなければ,登ることができる。
 2月17日 ,この山に,山仲間のサポートで登ってきた。今年は雪が少なく,好天に恵まれ,経験 豊富な山仲間のサポートのおかげもあって無事に登ることができた。
 しかし, この山には,軽々には立ち入らない方が良い。 山頂は展望が殆ど無く,途中も,樹間のコースで展望は良くない。そのため,木々の間 から僅かに見える他のピークを確認して現在位置を同定しなければならない。また,地形図に載っ ていない小さな凹凸もあり,磁性を帯びた溶岩のため,磁針も狂うところがあるという。
 湯元駐車場 6:00 集合でメンバーと合流した。 パーティーは 岳々さん,赤トロさん,クリちゃん と私の4人。私を除いた3人は,いずれも雪山経験豊富な頼りがいのあるベテランだ。 全員スノーシューとアイゼンを持参し,ハーネス,エイト環,カラ ビナ,シュリンゲも個人装備として全員が準備した。その他グループ装備として,ロープ8mm× 30m2本,GPS,無線機(アマチュア無線),スコップも,手分けして持った。 今年の奥日光は雪が少なく,必要が無いだろうと思うものもあったが,最悪の場合を想 定して装備を調えた。
 最初の計画では, 光徳から入り ,ピークハントのあと 湯元 に抜ける計画だったが,今日の積雪の状態などを判断し, 湯元からのピストン に変更した。
 まず,車内で朝食を食べ,準備を整えた。駐車場を出発したのは6時35分。

  湯元のホテルの建物の奥に,今日の目標の 三岳三角点峰 が見える。


 気温は 氷点下12℃ 。湯ノ湖の表面から湯気が立っていた。

 振り返ると, 前白根連山 に朝日が当たり,輝いている。中央奥の一際明るい山が, 五色山


 閉鎖中の 金精道路入口 から,旧林道へ入る。この林道は,湯元からの スノーシューハイキングコース の一部になっているため,トレースは多く,つぼ足で歩いても潜ることはなかった。
 林道を40分ほど歩くと,かつて光徳と湯元を結んでいた 旧道の入り口 に着く。
 地図の「旧道入口」の位置は,自信がない。もう少し北だったかも知れない。 古い杭に, 赤い矢印 と,その下に 入口 の文字。その上に,青い文字で 光徳 と書かれているのが,かろうじて判読できる。


 ここまではつぼ足で来られたが,いよいよここからが本格的な山道だ。各自 スノーシュー を履いて,準備を整える。

 林道脇の小さな沢を越えると, 緩やかな登り になる。樹木の密集した場所を少し進むと,樹木がまばらになり,明るくなる。

 図の から, 尾根の筋 に沿って登っていく。光徳へ抜ける夏道は,右の谷の方へ下っていっているようだが, 敢えて 点のコル へは行かず,直接に の尾根 を目指すことにした。


 高度が上がってくると,前白根の稜線から 奥白根のドーム が姿を現した。

 林道から1時間10分ほどで, 小尾根 にたどり着いた。急斜面をトラバース気味に登ることで,かなり高度を稼ぐことができ た。 小尾根は,男体山の方向に緩やかに下っている。


 一般的には, のコル から, を通って のコル へ行き,三角点峰へは,北側から回り込むコースを取ることが多い。しかし,既にかな り登ってきているので,ここから 主峰の南を巻ながら 高度を上げ, 主峰東側のコル(B) を目指すことにした。
 この登りが, 今回の核心部 だった。傾斜もかなりあり,雪も深く,まさに 雪との格闘 だった。先頭でルートファインディングをしながらラッセルをしてくれた3人に感謝し ながら,私は開いてくれたルートを歩かせてもらった。 Bのコル まで1時間半ほどかかったが,さすがに写真を撮る余裕はなかった。このため,この間 の写真は1枚もない。
 Bのコル で一休みし,いよいよ 山頂 に向かった。初めは,右側にトラバース気味に登っていき,途中で左に折れ,一気に山 頂を目指した。雪の状態と,傾斜を見ながら,樹の間を選び,慎重にルートをとっていく。樹も になり, 傾斜 もきつい, 倒木 も多く,最後のガンバリだ。


 最後の100mほどを残して先頭を任された。 山頂を最初に私に踏ませようという温かい心遣いだった。
 山頂 は小さな広場で,山頂を示す標識が大きな樹に取り付けられていた。 三角点標石 は,雪 の下なのか,見当たらなかった。ここで早い昼食にした。風はなく,暖かかっ た。なんと,ここは携帯電話が繋がった。山頂に35分ほど居て,下山にかかった。

 山頂から尾根を北西に少し進んでから,一気に斜面を, 尻セード で下った。 最初はスピードの調節に自信が無く,びくびくだったが,だんだんと慣れ て,スピードコントロールもうまくいくようになった。こんな楽しいものはない。


 下山路でただ一カ所の登り,小尾根への小さな登りを楽しむ。 私は,この手前で, 岩の隙間に落ちた。 胸まで潜り,自力では脱出できず,引き上げてもらった。


 動物の足跡があった。これは ノウサギ

 小尾根の上  この斜面も尻セードで下った。


 樹間に 男体山 が見える。


 ここで, 登ったときに付けたトレース に合流 左上に登って行く足跡が,登りに付けた足跡。


 このコースの所々に 赤テープ のマーキングがある。概ねコースを示しているようだが,頼りすぎるのは危険。 自分の責任でルートファインディング しなければならない。

 斜面の傾斜も緩くなり,スノーシューを付けようとザックを降ろしたところ,ザック の後ろに取り付けておいた2本のストックが1本しかない。1本が, 取り付けていたテープと一緒にもぎり取られていた。 尻セードの途中で何かに引っかかり,もぎ取られたのだ。どこでとれたか分からないし, 急な斜面を戻って探すことも無理なので,諦めるしか仕方ない。  林道まで戻ってホッと一休み。

 山行の余韻をかみしめながら,林道を下った。 湯元駐車場 には14時前に着いた。
 この山行は,私が行きたいと言ったことを,メンバーが実現してくれたもので,メン バーの温かい心遣いに感謝したい。
 好天と,メンバーのサポートに支えられて,登頂を果たすことができた。そして,奥 日光の素晴らしさを,また一つ発見することができた。

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