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半 月 山 ・ 狸 山 (ムジナヤマ)

2007年(平成19年) 2月25日(日)



 地図にコースタイムを入れた。これはあくまでも 実時間 で, 標準タイム ではない。この中には 5分以内の休憩時間 も含まれている。

ルートのミス
 A点:  北に延びる尾根 を下るはずが,間違って 直進 してしまった。
 B点:  大きなミスではないが,ここも,北に延びる 主尾根 を下るつもりが,右側の 枝尾根 に入ってしまった。
 いずれも,樹間で見通しがきかず, 尾根筋の見極めが甘かった ことと,雪に潜る足に気を取られ, 集中が欠けていた ことが原因。

コース・タイム
 宇都宮(5:45) ⇒ 歌が浜駐車場(6:40-朝食)
  駐車場(7:15) → 狸窪(7:55-8:05) → 半月峠(9:20-25) → 展望台(10:10-30) → 半月山(10:40-45) → 中禅寺湖展望台(11:35-昼食-50) → 狸山(12:10) → 砥沢(13:30) → 駐車場(13:45)
 歌が浜駐車場 ⇒ 宇都宮(15:00)

同行者
 単独

 狸山(むじなやま)北尾根 「山歩き遊悠湯」 というHPに紹介されていたコースで,以前から興味があったところだが,今回 「柏の中年探偵団」 さんからの問い合わせもあり,行ってみることにした。
 宇都宮 を6時少し前に出発し,数日前から ETC が稼働開始した 宇都宮日光道路 を通って 中宮祠 に向かった。
 今日は日曜日のせいか一週間前の土曜日に比べ,車の数が多い。といっても,連続で 走るほどでもなく,1時間もかからず 立木観音 歌が浜駐車場 に着いた。いろは坂も凍結箇所もなく,安心して運転できた。
 駐車場に着くと, 中禅寺湖の対岸奥には,真っ白な 奥白根山のドーム が輝いていた。

 その左には,朝日を受けて輝く 社山(しゃざん) の姿があった。


 車の外に出ると,さすがに寒い。ちなみにこの日,中宮祠測候所の 最低気温は氷点下10.5℃, 最高温度は氷点下1.6℃ だった。
 駐車場の車の中で朝食を済ませ,ゆっくりと出発した。 駐車場 は閑散としていた。

 今日は, スノーシュー,アイゼン を持ったほか,バリルートを下ると言うことで, ハーネス,補助ロープ,エイト環 等も持ったので,かなりの重さになった。
 イタリア大使館別荘記念公園 は,ひっそりと静まりかえっていた。 中禅寺湖の対岸には 奥白根山 が真っ白に光っていた。


 男体山 も,南側には雪が見えない。


 狸窪 へ向かう道は所々凍結している。転ばないように注意しながら歩いた。こんなところで 転んで怪我でもしようものなら,笑いのネタにされてしまう。

 40分ほどで 「狸窪(むじなくぼ)」 に着いた。
 「むじな」 にはれっきとした 「狢」 という文字があるのだが,ここではなぜか 「狸」 「むじな」 と読ませている。 ムジナ は動物学的には アナグマ のこととされているが, タヌキ ヤマネコ のことなども ムジナ と呼ぶ地方もあり,面白い。 栃木県では有名な 「ムジナ,タヌキ裁判」 の事例もあり,興味が尽きない。 次のHP(埼玉県自然史博物館 自然史だより)に「 ムジナ,タヌキ裁判 」についての解説がある。
 半月峠 への道は 「冬季通行止」 と言う表示が出ていた。今まで何度もここを通ったが,このような表示を見るのは初め てだ。

 下の写真は一昨年の3月6日 に撮したもの。このときには,通行止めの表示は無かった。 それにしても積雪量がこんなに違う。


 ここから先は,何が起きても 「自己責任」 の世界だ。思わず身が引き締まる。
 ここで スノーシュー を着ける予定だったが,雪の表面がかなり固くなっており,足が潜ることは無いような ので, アイゼン を付けることにした。体も十分に温まったので,ここからは,アウターを脱いで,薄手 のフリースで歩くことにした。
 ここから,夏道に沿って登っていった。 2万5千分の1地形図 に載っている 登山道(夏道) は,かなり古いもので,現在とはかなり違っている。 このHPに載せた地図に示した道が,ほぼ正しい。 夏道には,途中に斜面をトラバースするところが何カ所かあり,雪崩の危険を考えたの だが,雪もよく締まっており,気温も上がっていないので,安全と考え,夏道通りに歩いた。  斜面をトラバースする道は雪で埋まっていた。小さな雪崩の跡も見られる。


 1時間15分ほどで 半月峠 に着いた。峠では, 足尾側 から弱い風が吹いてきた。気温は氷点下だが,日射のあるところは暖かく,寒さを感じ ない。


 やや霞んではいるが,真っ白な 富士山 が端麗な姿を見せていた。 富士山 の姿を見るとなぜだかうれしくなる。


 半月峠 から 半月山 への登り。 傾斜は急だが,アイゼンが効いて,気持ちよく登れる。

 右から 皇海山,鋸山,庚申山 。左最奥は 袈裟丸連山

 社山の山頂付近 。南面の雪は殆ど残っていない。

 半月山展望台 ここで,後続の1人が追いついてきた。



 半月山頂 には 三等三角点 がある。三角点標柱に NSWE の表示があるのは珍しい。

 半月山頂 より先には踏み跡がない。ルートを示すテープなども見当たらない。あとは,自分でル ートを見つけて歩かなければならない。

 雪が解けた 夏道を辿っていくと ,突然目の前に雪の壁が現れた。トラバースは危険なので,よじ登って越えた。

 計画では, 主尾根 を辿り, 中禅寺湖展望台 の駐車場までいく予定だったが,途中でルートをミスし,手前で車道に降りてしまった。
 車道を歩いて 中禅寺湖展望台 まで行き,石段に腰を下ろし,昼食タイムにした。気温は低いが,風がないので,陽の 当たるところは暖かい。
 ハンター が5人ほど,ソリを引きながら車道を下ってきた。このまま車道を下るらしい。車道を 下るのは安全だが,かなり遠回りになる。ソリには獲物は乗っていなかった。
  展望台からのパノラマ写真

 狸山への登り道 足跡は鹿撃ちハンターのものらしい。

 ひっそりと立つ 狸山の山頂標識 。付近に足跡はない。

 ここから,今日の核心部である, 北尾根の下り になる。 補助ロープ を出し, ハーネス を付け,身も心も準備してスタートした。
 北尾根の入口  左右両側はかなりの傾斜で切れている。尾根を外すと危険。

 ストック はザックに固定し,両手で立木に捕まりながら下っていった。ただし,細い木は枯れて いるものが多く,不用意に力を入れるとボキッと折れる。


 不思議なことに,下部に行くほど 雪が深くなり ,膝上まで潜るようになった。スノーシューを担いでいったのだが,このスノーシュー は 下り傾斜に弱い ため,使う気にはなれず,雪の中を半分埋もれ, もがき ながら下っていった。斜面が広ければ,スノーシューを履き,斜面をジグザグに降りる こともできるのだが,それも無理だった。
 ここでも,最後の部分で ルートをミス してしまった。尾根を真っ直ぐに下れば傾斜が緩かったのに,右側の枝尾根に入ってし まったため,急傾斜で苦労した。
 やっとのことで 車道 に降りた。車道を横切り,さらに斜面を下った。

 ここからは傾斜も緩やかになったので, スノーシュー を履いて下った。一日中担いで歩いたスノーシューに,やっと出番が回ってきた。
 今までとはうってかわった穏やかな斜面を,ゆったりのんびりと,今日一日の余韻を かみしめながら下っていった。


 もう一度車道を横切り, 砥沢 に沿って下る。 砥沢 には数カ所の 砂防突堤 があるので,沢の底に降りてしまうと,途中で進めなくなってしまう。沢の底には降り ずに,沢に沿って下っていく。

 狸山山頂 から1時間20分で イタリア大使館別荘公園 前の道路までたどり着いた。
 その後はいつもの歩き慣れた道を歩いて駐車場に戻った。


 「上半分はアイゼンさくさくの楽しい下り。そこから車道までは, 深い雪に苦しめられた下り。 最後の10分はスノーシューでの楽しいハイキング。」 といったところが, 狸山北尾根 の感想。
 もちろん,初心者には勧められないが,ルートファインディングができる経験者なら ば,楽しみながら下れるコースと判断した。

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