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飛騨高山・新穂高 観光

2007年(平成19年) 3月13日(火)-14日(水)

 冬の西穂高 は,ずっと以前からねらっていた。天候さえ荒れなければ,真冬でも 西穂山荘 までは行くことができる。入山者も多いため,降雪直後でなければ,ラッセルしないで 行くことができる。
 時期は,雪が締まってくる 3月中旬 を目標に,天気図とにらめっこしながら,実行日を探した。理想的には,大陸からの移 動性高気圧に覆われるときなのだが,なかなか理想的な条件にはならない。3月はじめに,高気圧 が1つ通り抜け,その後を追った低気圧が11日ころにに通り抜けることが分かった。そこで, 12日,13日 で実行することに決めて準備を進めた。
 初日に宇都宮を発って 新穂高 まで車で行き, ロープウエイで西穂高口 まで登る。そこから雪の中を 西穂山荘 まで歩き,そこに一泊。翌日は, 丸山 まで登って景色を堪能し,下山すると言う計画だ。あわよくば 独標 までという甘い考えもあり,補助ロープもザックの中に忍ばせた。
 ところが,低気圧が予想以上に発達し,天気の回復が遅くなった。そこで,実行日を 1日遅らせ, 13日,14日 に変更した。13日には多少の影響は残るが,天気は 回復するはず だった。
 飛騨高山 の天気予報は,13日は曇り時々雪,14日は,曇り時々晴。一方 松本 の天気予報は両日とも晴時々曇り。山の天気は平地の天気とは違うことは十分わかって いるが,何とか回復するのではないかという, 希望的な予測 で,13日午前4時半,宇都宮の自宅を出発した。
 伊勢崎インター から北関東道に入り,上信越道を 更埴JCT に向かった。関東平野では晴れていた天気も,長野県に入ると,徐々に雪が吹きかけて くるようになり, 更埴JCTからは本格的な雪となった。 しかし, 麻績IC を過ぎると再び青空となり,予報通りに 松本 は晴れだった。
 松本 から R158 安房峠 に向かう。 沢渡 を過ぎると路面も真っ白となり,空もどんよりと曇ってきた。


 安房峠のトンネル を抜け,十字路を 新穂高 に向け直進する。ここからは下り坂になる。路面は 凍結と圧雪状態 で,登りより下りの方が危険だ。速度を30km以下にして慎重に走る。後続車が追い ついてきたら,すぐに道を譲り,先に行ってもらう。それにしても, 地元の車は信じられないくらいのスピードで走っていく 。ふっかけていた雪も,だんだんと多くなり, 新穂高 に着いたときには,かなりの勢いで降っていた。
 新穂高ロープウエイ は,駐車場が 冬期間無料開放 されている。駐車場の入り口まで行ったが,除雪されていたはずの駐車場には,新しく 20cmほどの雪 が積もっており,駐車している車は1台もない。昨日は 強風のために止まっていたロープウエイ も,今日は動いていたが,横殴りの雪が,かなり強く吹き付けている。


 「今日はダメだなー」
 ロープウエイで, 西穂高口 まで行くことはできるが,そこから 西穂山荘 まで行くことは難しいだろう。樹間なので,風はさほど問題にならないだろうが,新雪 がなり積もっていることが予想される。昨日はロープウエイが運休しており,入山者はいない。今 日も,駐車場の状態から先行者はいないだろう。ということは, トレースは期待できない から,ラッセルを覚悟しなければならない。
 わたしたち2人では, ラッセルしながら西穂山荘まで行くことはかなり厳しい 。残念ながら諦めることにした。
 実は,こうなることも予想はしていた。もし,上に行けなかったら, 飛騨高山 を観光しようと思い,宿もリストアップしてきていた。駐車場の脇に車を停め,まず, 山岳会に 山行中止 のメールを送った。そのあとで,リストアップしていたうちの一軒に電話し,今夜の宿 泊を予約した。
 飛騨高山 は,私は2度ほど来ているが,妻は初めてだ。私も, 「雪の高山」 は初めてで,どんな景色が見られるか楽しみだ。
 高山の観光ポイントといえば,白川郷で有名な合掌造りを,白川郷まで行かなくても 見ることができる 「飛騨の里」 。合掌造りなどの古民家を移築して展示している。次ぎに,古い町並みを保存している 上三之町 。高山の町民文化の一端を見ることができる。春と秋に行われる高山祭には全国から観 光客が集まるが,中でも, 彫刻屋台 は絢爛豪華で,祭の見せ場のひとつだ。その屋台を常設展示している 屋台会館 もぜひ行ってみたいところだ。と言うことで,宿は屋台会館の近くに取った。

 まず, R471 平湯 まで戻り, R158 高山 に向かった。 新穂高 から 平湯 までの道は上り坂で,雪道は下り坂より上り坂の方が走りやすい。平湯の交差点を 平湯峠 に向かった。路面は真っ白だが,よく除雪されており,路肩には2mほどの雪の壁がで きている。平湯トンネルの中にある,この峠の最高点を過ぎると, 高山 目指して一気に下っていく。高山が近づいた頃,やっと路面の雪が消えた。しかし,雪 は依然として降っている。


 高山 の町中を通り過ぎ,更に R158 を1.5kmほど西進すると 飛騨の里 の標識がある。そこを左折して少し行くと立派な駐車場に出る。ここに車を置いて,歩 いて見学することになる。
 前回, 1984年 に来たときは,建設途中だったが,園内の建物も増え,立派な施設になっていた。
 今年は高山も 雪が少なく ,やっと雪景色が見られたと,地元の人も言っていたが,おかげで, 雪をかぶった合掌造り の姿を見ることができた。


 ここには 合掌造り だけでなく, 古民家 も移築されており,建物の内部も見学できる。
 見学の後,駐車場の前の食堂で 蕎麦 を食べた。 値段だけは一流 だが,味は三流,はっきり言って美味しくなかった。駅の立ち食い蕎麦の方がずっと美 味しい。
 雪は小降りになってきた。


 来た道を少し戻り,宿を目指した。車を 宿の駐車場 に入れ,宿のチェックインは後ですることにして,歩いて街に出た。
 まず, 屋台会館 へ向かった。大鳥居をくぐり,桜山八幡宮へ向かって歩くと,左手に立派な「屋台会館」 がある。後から来たグル−プと一緒に説明を聞いた。
 高山 には春と秋に 桜山八幡宮 の大祭があり,そこで奉納する屋台が 11台 ある。普段は,各町内にある 屋台蔵 に保管している屋台を,交代でここに展示しているという。これだけの大がかりな屋台 を各町内が管理するのはかなり大変なことだ。経費もかかることだろう。


 屋台会館を出て, 宮川 に沿って南下し, 上三之町 へ入った。 古い町並みが保存されているが,決して無理して「保存」しているのではなく, 大切に使い続けている のだという温かさが感じられた。
 雪は小降りになったが,まだ少し降っている。休日でもないのに,かなりの人が出て いる。やはり,高山随一の観光スポットだ。 ぶらりぶらりと突き当たりまで行き,二之町筋を戻ってきた。

 いつのまにか 雪も止み ,青空が出てきた。もしかしたら,明日は良い天気になるかも知れない。


 宿は 「壽美吉」 (すみよし)という純日本風の宿で,宿帳には横文字の名前が並んでいた。外国人にと って 日本情緒 を味わうにはもってこいの宿なのだろう。風呂が 温泉でない のが残念だったが,ゆっくり風呂に入ってからビールを飲み,コタツで横になってTV を見ていた。窓の下には 宮川 が流れ,対岸には 朝市 が立つのが見えるという。もっとも, 冬場 は数軒しか店を出さないらしいが。
 翌日は,ゆっくりと宿を出て,帰路に就いた。 平湯峠 まで行ってみて,天気が良さそうならば, 新穂高 へ行き,ロープウエイで西穂高口まで行ってみることにした。もしだめならば,そのま ま 安房峠 を越えて松本に下る。


 平湯峠 に近づくに従い,路面が凍結してきた。スタッドレスタイヤでも,駆動輪の 前輪 が空転するようになったので, チェーンをつけた 

 タクシーが猛スピードで追い抜いていく。 それにしても,地元の車は信じられない速さで走っている。よほど,滑らない自信が あるのだろう。
 R158 から R741 に入り,熊牧場の少し先までチェーンを付けてのろのろと走った。その先の路面には雪 はなかった。
 新穂高 のロープウエイ駐車場も,すっかり雪は消え,10台ほどの車が停まっていた。


 駐車場 に車を止め, ロープウエイ に乗った。
 新穂高ロープウエイは二つに分かれている。 第1ロープウエイ は新穂高温泉駅(1117m) から鍋平高原駅(1305m)まで4分, 第2ロープウエイ はしらかば平駅(1308m)から西穂高口駅(2156m) まで7分となっている。
 しらかば平駅で第二ロープウエイに乗り継ぐ。
 第2ロープウエイ から見下ろすと, 鍋平の駐車場 が見えたが,閉鎖されており,真っ白な雪面が広がっていた。


 西穂高口駅 の屋上は 「マウントビュー千石」 と名付けられた展望台で,ここからの眺めはすばらしい。この景色を見るためにだけで も,ロープウエイで登ってくる価値はある。
 正面左奥に 西穂高岳 ,そこから右に, ピラミッドピーク, 西穂独標 ,やや降って丸山, そして,右端には 西穂山荘 の屋根も見える。
 やはり,ここまで来て良かった。 稜線からは雪煙がた立ち,また時々雲が覆う 。風が強いのか,稜線はみるみる様相を変える。
 いつまで見ていても飽きることはなかったが,とにかく寒い。気温は 氷点下11℃ で,風もかなりある。


 西穂山荘 から戻ってきたパーティーがいた。スノーシューを履き,全身雪まみれだった。様子を 聞いたところ,やはり,深い新雪に苦労させられたという。そのパーティーは,昨日吹雪が収まる のを待って, 正午頃 に登りはじめのだが,トレースは無かったという。今日も,強風のため 独標 まで行くことはできなかったと話していた。
  槍の穂先 には雪が付いていないのか,黒っぽく見える。


 中央の突起が ジャンダルム  すばらしい景色に別れを告げ,下りのロープウエイに乗った。

 第2ロープウエイのしらかば平駅の レストランアルプス 熊肉ラーメン を食べた。これは,新穂高ロープウエイのHPでも紹介されており,一度食べてみたか った。  味は? ・・・ まあこんなものでしょう。 熊肉は固かった。
 腹ごしらえもできたので,帰路に就くことにした。 R741 から R158 に入り, 松本IC まで順調に走ってこられた。松本に近づくと,左後方に, 雪を被ったピラミダルな山 が見えた。 常念岳 だ。
 高速道に入り, 梓川SA で車を停め,山を眺めた。 常念岳,横通岳,その後ろに東天井岳,大天井岳も見える。少し右 に,燕岳から餓鬼岳への稜線も見える


 この旅行のフィナーレに,素晴らしい景色をプレゼントしてくれた 山の神様 に感謝して家路を急いだ。


 それにしても, 高速道路網 は便利だ。朝に飛騨高山を発ち,途中で遊んで,夕方には宇都宮に帰り着くことができ る。
 車の走行距離は,片道400km。そのうち高速道が230km,残り170kmの うち40kmは凍結道路。危険は感じなかったが,神経が疲れた。
 もう,この冬の雪山は終わりかな・・・・・?

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