白 馬 岳

期日 2007年(平成19年) 7月24日(火)〜26日(木)
 


コース・タイム
 7月23日(月)
    宇都宮(15:00) ⇒ 道の駅美麻(仮眠)
 7月24日(火)
    道の駅美麻(5:00) ⇒ 猿倉P
      猿倉荘(6:25) → 白馬尻小屋(7:55-8:10) → 雪渓入口(8:40-50) → 雪渓終点(11:50-12:20) → お花畑 → 頂上宿舎(16:00)
 7月25日(水)
      テント場(7:15) → 白馬山荘 → 白馬山頂(8:50-9:00) → 三国境 → 小蓮華山(10:50) → 白馬大池小屋(12:50)
 7月26日(木)
      テント場(7:40) → 乗鞍岳(8:40-50) → 天狗原(9:30) → 栂池ヒュッテ(10:30-11:20)
    栂池自然園駅(11:40)⇒栂大門駅・栂の森駅⇒栂池高原駅  (タクシー)⇒猿倉P
    猿倉P ⇒ 長野IC ⇒ 伊勢崎IC ⇒ 宇都宮

同行者
   キクさん,チコ

 はじめに

  昨年(2006年)8月2日−3日,大雪渓から白馬岳に登り,小蓮華山から白馬大池を廻り栂池高原に降りてきた。すばらしい好天に恵まれ,夢のような2日間だったが,最初の単独テント泊と言うこともあり,予想以上に体力を消耗してしまい,当初計画したコースを歩くことが出来なかった。
 もう一度,あの
お花畑が見たくて,また,チコも今年は行けそうなので,再度,白馬岳に登ることにした。
 この時期,週末さえ外せば,山小屋の混雑もさほどではないので,初めは,小屋泊まりで計画をした。昨年は,重い荷物の上に,初めてのコースでペース配分を失敗したこともあり,やっとの思いでテント場にたどり着いた。ところが,今年はもう少し余裕を持って歩けそうな気がしてきたので,昨年のリベンジの意味もあり,
テント泊で行くことにした。半年も前から,好きなお酒も控えめにして体調を整え,万全の準備でその日を迎えた。今回は,きくさんも自分のテントを担ぎ,一緒に行ってくれることになった。心強い限りだ。

 登山口まで

 7月23日15:00,仕事を終えて帰宅し,準備してあった装備を車に乗せ,自宅を出発した。途中,道の駅「美麻」できくさんと落ち合い,そこで夜明かしした。朝5時,猿倉に向かった。 猿倉の駐車場は,まだガラガラだった。  駐車場の奥に,白馬岳が白く輝いている。今日は,朝から,雲一つ無い良い天気だ。



 中央の最も高いところが白馬岳の頂上だ。





 大雪渓まで

 登山口の猿倉荘では,登山指導センターの職員がいて,登山者カードを提出させていた。登山計画書は作成してプリントアウトしておいたのだが,持ってくるのを忘れてしまいったので,急遽登山カードを書くことになった。

 今回は,昨年の反省を踏まえ,
荷物の軽量化を目指した。夕食は小屋食とすることで,持参する食料を減らした。しかし,出かける前に自宅で計量した重さは17kg。これに水2.5箸箸むすび8個の重さが加わったので,20kgを越えてしまった。しかし,このくらいは担げる自信はあった。

 トイレで用を足し,水筒に水を入れて準備を整えた。登山道は,猿倉荘の左側から始まる。
 林間の斜面を少し登ると,
林道に出る。まだ朝だというのに,陽射しが強烈に照りつける。出来るだけ日陰を選んで歩こうと思うのだが,頼りになるほどの日陰はない。
 林道が大きく左に曲がるところで,白馬岳が正面に見えるところがある。昨年登ったときも良い天気だったが,これほどにはよく見えなかった。白馬大雪渓は白馬岳の左側にある雪渓で,ここからはまだ見えない。


林道終点からは山道になる。きれいな花達が出迎えてくれた。
 キヌガサソウ

                サンカヨウ




 エンレイソウ

 白馬尻には二つの山小屋があるが,村営白馬尻荘は取り壊され,土台だけになっていた。(手前のコンクリート)。奥の建物が白馬尻小屋


 白馬尻小屋の前には「おつかれさん ようこそ 大雪渓へ」と書かれた大きな石が置いてある。昨年は,この石が遠くから見えたのに,今年は,手前の残雪が邪魔をして,近づかないと見えなかった。雪の残り方が年によって異なるのは面白いことだ。

 白馬尻小屋で休憩とした。
 昨年は,雪渓が小屋の前まで届いていたのに,今年は随分と後退していた。



 ここで,一人の少年に出会った。

 8歳の彼は,おじいちゃんと北九州市から来ていた。なんと,テントから食料まで,自分が使うものはすべて自分で担いでいるという。将来は世界級のアルピニスト間違いなし。
 このスタイルで,私より速く登っていった。




 大雪渓を登る

 小屋から30分ほど登ると,いよいよ雪渓歩きとなる。持ってきた6本爪アイゼンをつける。



 雪渓歩きは
ダブルストックが良い。
 雪渓も,場所によって傾斜が微妙に違う。概ね,上部に行くほど傾斜はきつくなる。真横から撮すと本当の傾斜角度が分かる。 この程度の傾斜になると,転倒すると危険だ。


 トップにかなり遅れた私




 昨年は,夢中で雪渓を登ったため,雪渓を登り切った後,余力がないほどにバテてしまった。そこで,今年は意識してセーブし,スローペースで登った。
 今年は,昨年に比べて雪が少ない。雪渓が融けて岩犀が顔を出しているところがあった。格好の休憩ポイントだ。昨年は,左右の壁から崩れた岩犀が雪渓の上に積み重なっていたところはあったが,融けて岩犀が顔を出したところはなかった。


 正面から見ると傾斜が分からないが,実際にはかなりの傾斜がある。


 休憩ポイントから雪渓上部を見ると,葱平(ネブカッピラ)の斜面を登る登山者の姿が見える。見えてはいるのだが,あそこまでなかなか着かない。


 葱平から,振り返って雪渓を俯瞰する。雪渓の上部は傾斜もきつく,落石も多い。石を落とさないように慎重に歩かなければならない




 村営頂上宿舎へ

  雪渓の終わったところで軽アイゼンを外し,一休み。余力を蓄えていたはずなのだが,足が前に進まない。やはり,かなりの体力を消耗していた。
 なんとか
小雪渓までたどり着いた。
 小雪渓はトラバース気味に登っていく。ステップが切ってあり,その必要もないと思ったのだが,荷物も重いことなので,念のためアイゼンを付けて歩いた。

 小雪渓を渡り,少し登ると避難小屋がある。・・・正確には「あった。」


 避難小屋は,この冬に雪崩に襲われ,完全に倒壊していた。コンクリート製の土台だけが残っており,建物の残骸は遙か下にまで流されていた。


 ここから上は,いよいよお花畑だ。しかし,全体的に見て,昨年より花の種類も花の量もかなり少なかった。今年は雪解けが遅かったようだから,最盛期はもう少し先になるのだろう。
 クルマユリ
                 ベニバナイチゴ


 稜線に村営頂上宿舎が見えた。


 タンポポ  ここには「シロウマタンポポ」という固有種があるのだが,この写真の花がそれかどうかはわからない。

              ミヤマキンポウゲ



 ウルップソウ

              ミヤマシオガマ


 イワベンケイ

             キバナシャクナゲ 


 お花畑の中央にある,高山植物の保護を訴える大看板



 花の写真を撮る余裕もなく,ひたすら,スローペースで登り続ける私。 ここの花の写真の多くはチコが撮影したもの。


 ハクサンイチゲ
                イワカガミ

 急な雪渓の向こうに,屋根型の頂を持つ「杓子岳」が威容を見せる。



 ミヤマオダマキ


  やっとの事で村営頂上山荘に着いた。 午後4時。なんと行動時間は(休憩を含めて)10時間にもなった。



 テント泊第1日

 早速テントを設営。疲れていてもこれだけはやらなければならない。テント場は空いていた。昨年に比べ半分程度だ。テント北側の斜面は,昨年はハクサンイチゲとウルップソウの大群落だったのだが,今年はまだ雪が覆っていた
 荷物を軽くするために,
夕食は小屋食と決めていた。村営頂上山荘の夕食はバイキング形式で,好きなものが好きなだけ食べられる。といっても,疲れすぎて食欲がない。何とか無理に食べた。好きなビールも35缶1本でお終い
 夕食を終えて食堂を出た途端,
猛烈な寒気が襲った。全身がガタガタとふるえ,止まらない。日没を見に稜線まで行くつもりだったが,とにかくテントに直行し,防寒着を着込んだ。そして,そのまま寝袋に潜り込んだ。まもなく,ふるえは止まった。熱が出たらどうしようと心配したが,それ以上にはひどくならず,ほっとした。
 その夜は,だんだんと風が強くなり,
大きな音を立ててテントを揺すった。雨は降らなかったが,朝には一面ガスに包まれた。おかげで,あまり冷え込まなかった。

 第2日

 午前2時半に,隣のテントで目覚ましが鳴った。4時半頃には,殆どのテントが起きだし,周囲が騒々しくなった。昨日の夕食時にきくさんと相談し,今日は白馬大池まで行って一泊し,次の日に下山することにしていたので,朝はゆっくりとした。
 テントの中で湯を沸かし,
昨日食べ残したおむすびで雑炊を作って食べた。体調はあまり良くなかったが,何とか食べられた。テントの片付けも,かなり慣れてきた。
 白馬岳山頂へ

 いよいよ出発。辺りは一面濃いガスの中。雨は落ちていなかったので,雨具は着けずに歩き出した。

 山荘の周辺はお花畑だ。
ウルップソウの群落があった。やはり,ウルップソウは白馬を代表する花だ。


 小屋の前から稜線へ出た途端,横殴りの雨が吹き付けてきた。慌てて雨具を着けた。この後,ずーっと雨具の世話になった。雨具に防水処理をせずに持ってきてしまったので,しばらく経つと,雨具を通してシャツやズボンが濡れた。
 可愛いライチョウが姿を見せた。


        白い花のウルップソウがあった。珍しい。


 松沢貞逸顕彰碑の前の私。まだ疲れが残っている顔だ。

 
白馬岳山頂も濃いガスの中。見晴しは全くない。依然として雨は横殴りに吹き付けている。

 新田次郎の小説「強力伝」で有名な白馬岳の方位盤。

 白馬岳山頂の1等三角点↓




 小蓮華山へ


  早々に山頂を後に,小蓮華山に向かう。ツクモグサが咲き残っていた。殆どのものは咲き終わり,綿毛になっていたが,雪解けが遅かったところでは,まだ咲いていた。
 
ツクモグサ


           ハクサンコザクラ


 ミヤマシオガマ

            イワウメ


 ミヤマアズマギク   高山植物ではないようなやさしいピンクの花がとても可愛い。



 ウルップソウは,花穂の下から咲いていく。全部が咲くと円筒形になるのだが,咲き始めは上部が小さく,円錐形になる。この時期のウルップソウが最もきれいだ。

 三国境の標識の下にシャクナゲが咲いていた。花の色を見るとハクサンシャクナゲのようなのだが,葉柄の形が違うようだ。これもキバナシャクナゲなのだろうか。

  
小蓮華山は,山頂が崩壊し,大剣が立っていたところには近づけない。昨年来たときには既に大剣は倒れており,ロープが張ってあり立ち入り禁止になっていたが,立ち入り禁止の場所が更に広がった。



 白馬大池へ


 小蓮華山頂を,大池の方に下りかけた斜面に,アオノツガザクラの大群落があった。これほど大きな群落は見たことがなかった
 
コマクサも,大きな群落がいくつか見られた。積極的に保護しているらしい。



 ここまで,カメラが雨に濡れるのを無視して撮影してきたが,いよいよ動作がおかしくなってきたので,ザックの中にしまった。
 
この後,写真はない。


 白馬大池山荘で

 雨がひどいので,今晩はテントを張らずに小屋泊まりにしようと相談していたのだが,大池山荘に着いてみると,今晩は団体が入るので,4畳に7〜8人の混雑になると言う。それでも良いと思ったのだが,ちょうど良いタイミングで雨が止み,雲の間から陽も射してきた。このまま天気が回復するだろうという甘い判断をし,テントを張ることにした。
 テントを張り,濡れたものをロープに掛けて干し,やれやれと思ったのだが,
晴れ間は長くは続かなかった。再び,断続的に雨が降り始め,小やみになることはあったものの,このあと翌日まで続いた。
 雨の中を団体が到着した。
大町高校の生徒たち70数人だ。大町高校では毎年,いくつかのグループに分かれて「全校登山」を実施しているのだ。2004年7月28日に燕山荘でも大町高校の生徒に出会ったが,故郷の山に登るというこの行事は,素晴らしい行事だとおもう。継続するにはいろいろな問題がある(信濃毎日の記事)と聞いているが,ぜひ続けて欲しいと思う。
 大池山荘では,売店のある休憩所を
テント泊者のために開放している。この中でガスバーナーを使うこともでき,有り難い。特にこのような天候の時にはとても助かる。
 この夜は,雨だけでなく,
強い風にも責められた。強い横風を受けるとテントが歪み,フレームが曲がるのではないかと心配した。中に二人が寝ているので,飛ばされる心配はしなかったが,夕立のような強い雨に,テント場の水はけが心配だった。
 
ゴアテックスのテントはさすがに優秀で,フライシートを付けなかったが,雨がにじむようなことはなかった。結露もなかった。ただ,ボトムは完全防水シートなので,この部分に結露があった。

 第3日 下山

 朝になっても雨と風は弱まらない。雨の中で撤収することを覚悟した。まず,チコの荷物を整理し,ザックに詰めた。ザックカバーも着けた。チコには,テントの中でカッパを着て休憩所に行ってもらった。私も,テントとテントマットを残して全てザックに詰め,カッパを着て外に出た。中がからになったテントが飛ばされることが心配だったが,ひとまず荷物を休憩所に運び,テントをたたみに戻った。幸にも風が収まってきたので,テントはスムーズにたためた。全てを休憩所に運び込み,再度荷物を整理し,下山を開始した。
 今日のコースで,
唯一の登りが,大池から乗鞍山への登りだ。昨年来たときにとても苦しかったことが記憶にあり,慎重に歩き出した。大きな岩の上を渡っていくように歩くので,ルートの選択がかなり重要だ。そこで,きくさんに先導してもらうことにした。昨年は強烈に暑かったが,今日はその暑さはない。おかげで昨年ほどには苦しまずに登り切ることが出来た。
 乗鞍岳の下りでは,まず雪渓を横切る。登ってきた人の話では,雪が足になじんでいるので,アイゼンは必要ないとのことだったので,アイゼンを着けずに歩き出した。ところが,思った以上に雪面が固く,靴底が食い込まない。傾斜もかなりあり,危険を感じた。
アイゼンを付けるべきだった。雪渓では,登りと下りでは違うと言うことを改めて認識させられた。雪渓を横断したあとは,大きな岩がゴロゴロしている急斜面を下っていく。昨年は雪が多く,雪渓を横断した後,雪渓の上を下っていったのだが,そのほうが歩きやすかった。
 雨の中,たくさんの人が登ってくる。天気が回復することを信じて登ってくるのだろうが,天気が回復する気配は今のところない。
天狗原で,一足先に下山を開始した大町高校の団体に追いつき,クリアーした。彼ら彼女らも,上に行く計画を断念し,下山してきたのだ。
 
栂池山荘で早い昼食にした。ここでカッパを脱いだが,ズボンもシャツも雨が浸みて濡れている。いくらゴアテックスでも,表面の防水処理をしっかりしないとダメだ。
 ここからロープウエイの乗り場まで500mほど歩かなければならない。また雨が強くなったので傘を差して歩いた。「
栂池ロープウエイ」「栂池高原ゴンドラリフト」を乗り継いで栂池高原駅に降りてきた。ここからタクシーで猿倉の駐車場まで戻らなければならない。昨年は,客待ちのタクシーが並んでいたのだが,今日はタクシーが1台もいない。マイクロバスの運転手に,無線で呼んでもらい,やっと乗ることができた。猿倉に近づくと陽も射してきた。でも,山頂はガスの中で見ることは出来ない。
 猿倉駐車場で車を取り,帰路に就いた。途中,
道の駅「美麻」で温泉に入るつもりだったのだが,なんと「定休日」八方まで戻れば温泉はあるのだが,おっくうになり先に進んだ。結局長野ICまでの間に入浴できる場所はなく,そのまま高速に乗ってしまった。

総括

 天気の良かったのは24日のみで,25日,26日は悪天候であったが,たくさんの高山植物に迎えられ,概ね満足の山行だった。
悪天候ではあったが,危険を感じるほどではなく,「良い経験だった」と言うことが出来る。できれば好天に越したことはないが,予想外に天候が悪化することはあるから,対応を経験しておくことは役に立つ。 
 
昨年よりはもう少し余裕を持って歩きたかったが,気持ちとは裏腹に身体が言うことを聞かず,「リベンジ」は果たせなかった。体調は十分に整えて望んだつもりだったが,少し風邪気味だったことが影響したのかも知れない。体調の維持管理とともに体力を付けるトレーニングも必要だということを痛感した。
 チコの足を心配していたのだが,自分のことで精一杯でチコを気遣う余裕がなかった。幸にも,トラブルがなかったので良かったが,これではリーダーの資格はない。
 きくさんには御世話になった。何よりもいざというときには頼れるという安心感が大きかった。これに懲りず,また付き合ってください。

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