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唐 松 岳 - 五 龍 岳

2007年(平成19年) 10月4日(木)-6日(土)


コース・タイム
10月4日(木)
 宇都宮(4:00) ⇒ 佐久平SA(朝食) ⇒ 八方第3駐車場(8:40) → 八方駅(9:10-20) ⇒(ゴンドラアダム-アルペンリフト-グラートクワッドリフト) ⇒ 八方池山荘駅(9:40)
  八方池山荘(9:50) → 八方池(10:50-11:20) → 丸山ケルン(12:40-13:05) → 唐松岳頂上山荘(13:50-14:00) → 唐松岳(14:20-50) → 唐松岳頂上山荘(15:05-泊)
10月5日(金)
  唐松岳頂上山荘(10:00) → 大黒岳(11:30) → 五竜山荘(13:05-昼食-14:05) → 五龍岳(14:50-15:05) → 五竜山荘(16:00-泊)
10月6日(土)
  五竜山荘(6:16) → 五龍岳(7:10-35) → 五竜山荘(8:35-9:00) → 西遠見の池(11:10) → 小遠見山(13:20) → アルプス平(14:45)
 アルプス平駅(14:55) ⇒ (白馬五龍テレキャビン) ⇒ とおみ駅(15:05-昼食-40) ⇒ (タクシー) ⇒ 八方第3駐車場(15:55)
 八方第3駐車場(16:00) ⇒ 道の駅「美麻」(入浴 16:20-17:00) ⇒ 宇都宮(21:30)

同行者
 キクさん,Tさん,妻

 今年の 秋のメイン はどこにしようかと,いろいろ考えたのだが,やはり 「五龍岳」 にすることにした。 「やはり」 と言うのには理由がある。以前から何度か計画されていたのだが,どういう訳か, 五龍岳 には今まで行くことができていない。一昨年, 鹿島槍から五龍岳を目指した が,悪天候で中断。昨年は 白馬から五龍を目指した が,体調不良で断念した。 五龍岳 は,どうしてもやらなければならない山として私の心の中に住み付いていた。
 今回は テント泊 は止めにして, 小屋泊 とすることにした。ところが,この時期の週末の山小屋は 殺人的な混雑 である。畳1畳に3人〜4人という混雑は覚悟しなければならない。そこで,休暇を取 って 平日に出かける ことにした。同行者は, 私たち夫婦と,きくさん,T子さん の4人である。

 10月4日(木)
 きくさんの運転する車で, 午前4時 に宇都宮を出発。途中の 佐久平SAで朝食 を摂り,長野ICから白馬に向かった。登山者用の 八方第三駐車場 に車を入れた。平日と言うことで, 駐車場 は閑散としている。


 ゴンドラリフト の駅に向かう道の正面に,これから向かう 八方尾根 が見えるが,上部には雲が懸かっている。


 リフトから, 白馬鑓ヶ岳 の真っ白な頂が見えた。

 ゴンドラリフト を降りて,4人掛の アルペンリフト に。


 3本のリフトを乗り継いで 八方池山荘 前から登山道が始まる。

 八方池山荘 の玄関にある登山届け提出ポストに登山届けを投函し,スタート。


 第二ケルン 「息ケルン」 と書かれたプレートがはめられている。

 「逗子開成高校ケルン」 第三ケルン

 ガスが晴れたときに, 八方池 が見られた。

 丸山ケルン  ここまで来れば山荘はもうじきだ。


 上の樺 

 山腹の 紅葉

 今日のコース唯一の 危険箇所

 2000年に完成した, 唐松岳頂上山荘 新南館  荷物を預けて山頂に向かった。

 コマクサ が1輪だけ咲き残っていた



 ライチョウ が姿を現した。


 山頂記念

 山頂から北方を望む。 眼下に 不帰ノ三峰 ,後方の雲の中に 天狗岳 から 白馬三山

 五竜山荘 が白岳と五龍の鞍部に見えた。明日はあそこまで行く。

 三角点標柱


 ガスが切れて 唐松岳頂上山荘 が見えた。ガスの切れ間を期待して,しばらくの間頂上に留まったが,諦めて山荘に戻 った。

 山荘に戻ると,御主人が, 「雨が降ってくる前にやらなければならないことがあるので,中に入 って待っていてください。」 と言って,外で作業を始めた。
 受付もまだなので,部屋に行くこともできず,食堂で雑誌などを見ながら待ったが, なかなか戻ってこない。石油ストーブはあるのだが,火が点いておらず,寒い。
 用事があって戻った山荘の女性に頼んで,棚にあったカップのお酒を出してもらい, 飲み始めた 。外は霧から雨に変わった。今夜の宿泊客は 私たち4人を含めて7人  嵐の前の静けさだ。 明日の,6日土曜日には大混雑になる。
 雨は朝まで降り続いた。


 10月5日(金)
 雨は, 朝になっても止まなかった  風も強い。出発を遅らせ,様子を見ることにした。
 9時頃,大きな荷物を持った 若者のグループ が到着した。聞いてみると, 東京農業大学の山岳部とそのOB で,今朝 五竜山荘のテント場 を出てきて,これから 天狗山荘のテント場 に向かうという。 天狗山荘 は9月いっぱいで営業を終わっているというが,テント場は使えるのだろう。彼らはし ばらく休んでから出発していった。
 雨も小降りになってきたので,五竜山荘の到着時刻も勘案して, 10時 を目途に出発することにした。
 カッパを着ての出発 だったが,もう雨は殆ど落ちていなかった。

 最初の難場は 牛首 のトラバースだ。  岩場の始まりには, 「ストックは片づけて両手を空けて慎重に!!」 と書かれたカードが下げてあった。


 クサリは濡れていて滑りやすい。できるだけ クサリに頼らず ,岩角をつかんで慎重に通過した。

 ガスっているときには ライチョウ に出会うことが多いが,案の定,ライチョウの出迎えを受けた。  身体は随分大きくなっているが, この春孵ったひな鳥 だ。 目の上の赤い鶏冠がまだ小さい。


 降る心配は無くなったので,カッパを脱いだ。
 牛首 白岳 の中間にある小ピークが 大黒岳 だ。

 大黒岳 の手前の鞍部で小休止。時折ガスが晴れて真っ青な空が覗くようになった。



 やっと 五龍岳の勇姿 を見ることができた。まだ,ガスを通しての姿だが,この日は,これ以上によく見える ことはなかった。

 白岳 をトラバース気味に登っていく。  右端の尾根に出ると,眼下に 五竜山荘 が見える。  白岳の頂上は,縦走路から分かれ, 遠見尾根 の方に少し行ったところにある。

 五竜山荘 は赤い屋根が特徴的だ。 五竜山荘 に到着後,昼食にうどんを食べ,荷物を置いて山頂に向かった。五竜山荘の 昼食メニュー は,うどんと牛丼のみだった。


 山頂 まで登ったが,依然としてガスに覆われ,見晴らしはなかった。


 チングルマ オオダイコンソウ の紅葉がきれいだ。


 イワカガミ の紅葉は独特な色だ。




 山荘の夕食は5時。食事の前から熱燗が飲めたのは嬉しかった。食事が終わってから も,食堂で同宿者としばし歓談。今夜の五竜山荘の宿泊客は 食事付きが14人 ,他に 自炊客が15人 ほどだった。
 6畳ほどの部屋に4人で,ゆったりと休むことができた。ここも,明日は 殺人的な混雑 が予定されている。そのために応援のスタッフが明日登ってくるのだという。
 夜,外に出てみると, 大町の街灯り がとてもきれいだった。



 10月6日(土)
 午前2時頃に窓の外を眺めると,ガスはすっかり晴れ,満天の星を頂いた薄明の空に, 五龍岳 のどっしりとした姿が浮かび上がっていた。
 朝食は5時  食事を終えて,服をいっぱい着込み, 日の出を見るために 山荘の前に出た。日の出の時刻は5時40分という。寒さを我慢してその瞬間を待った。
 5時44分 ,太陽が顔を出した。

 みんなで並んで日の出を眺めた。厳かな一瞬を,それぞれの思いで迎えた。


 五龍岳頂上直下の岩場 が朝日を受けて輝いた。

 今日は天気が良いので, もう一度山頂に登ってから下山する ことにした。強風と言うほどの風ではなかったが,ほほに当たる風は冷たく,肌を切る ように痛い。
 高度が上がってくると,北西方向に平野が見え,その向こうに 海岸線 がはっきりと見えた。 日本海 だ。  2003年の剱岳 でも,同じ年の 唐松岳 でも,今年7月の 白馬岳 でも,天気が良ければ見えるはずだった日本海を,見ることはできなかった。初めて, 山の上から日本海を見ることができた。


 白馬三山 と,その手前に 唐松岳 唐松岳山荘 が見えてきた。

 頂上へは この岩場 を登る。正面左の大きな岩を,左側から回り込んで登る。これから 八峰キレット を越えるという4人パーティーが先行している。

 山頂 は,正に360度の大パノラマだ。上空には薄雲が広がり,陽射しはない。風があり寒 い。  剱岳をバックに記念撮影

 北東方向には 妙高山


 槍ヶ岳と穂高連峰

 北アルプス南部

 北アルプス北部

 立山連峰

 剱岳連峰

 剱岳


 北アルプスの全容


 八ヶ岳と富士山

 南アルプス


 鹿島槍ヶ岳 に続く 八峰キレット  4人パーティーが,縦走路を下っていく。私たちも何時の日かここを歩きたい。

 五竜山荘からここまでのルート がよく見える。

 少し目を上げれば,遠くの 唐松岳頂上山荘 から,手前の 五竜山荘 まで,昨日歩いたコースがはっきりと確認できる。

 五竜山荘 に戻ってきた。

 山荘で身支度を調え, 下山を開始 した。


 リンドウ はとても濃い色をしている。霜のためなのか,先端が枯れているものが多い


 白岳 から少し下り, 五龍岳 を振り返る。


 これから下る 紅葉の遠見尾根  アップダウンを繰り返しながら下がっていく。道のりは長い。

 尾根の上部には クサリ場 もある。

 ザレた斜面 に角材を置き,階段を作っている。崩れやすいところだから補修には大変な苦労がある のだろう。



 シラタマノキの実 は,指で潰すと メントール の香りがする。昨日見た ライチョウ は,この実をさかんに啄んでいた。 この白い実は ガク片 が肥厚したもの。 種子 はこの中にある。


 遠見尾根上部 は,見晴らしの良い明るい尾根だ

 「五龍」 」の名前は 「御菱」 に由来すると言う。 御菱 とは 武田信玄 の家紋 「武田菱」 のことで, 山頂直下の岩場にその形を見ることができる。


 ダケカンバ の間を楽しく下る。

 西遠見の池 には 五龍岳 が写っている。

 ゴゼンタチバナの赤い実

 ツルリンドウの実 は赤紫だ



 高度が下がってくると, 八方尾根 の向こうに 白馬三山 が見えてくる。


 ここから,稜線にある3軒の山小屋が全て見ることができた。
 まず,最も遠い 白馬山荘

 唐松岳頂上山荘

 五竜山荘

 地蔵の頭 からロープウエイの アルプス平駅 までの遊歩道が歩きにくかった。コンクリート板を敷き詰めてあるのだが,疲れた足に はショックが大きく,痛みも出てきた。

 アルプス平駅 からゴンドラリフト 「白馬五竜テレキャビン」 とおみ駅 についた。

 とおみ駅の隣の エスカルプラザ で遅い昼食を食べた。
 昼食後,タクシーで 八方の駐車場 に戻った。タクシーの料金は 2200円  八方の駐車場からは,再びきくさんの運転する車で帰途に就いた。
 五龍岳 は本当に素晴らしい山だった。歩いてみて,登ってみて,眺めてみて,全てに気品と格 式がある誇り高い山だと感じた。良い山行だった。

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