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西 穂 独 標 2008年(平成20年) 3月29日(土)-30日(日) |
コース・タイム 3月29日(土) 宇都宮(5:40) ⇒ 新穂高ロープウエイ駐車場(10:00) 新穂高温泉駅(10:30) ⇒(第1ロープウエイ)⇒ 鍋平高原駅 → 白樺平駅(10:45) ⇒(第2ロープウエイ)⇒ 西穂高口駅(11:15-昼食) 西穂高口駅(11:55) → 西穂山荘(13:50-泊) 3月30日(日) 西穂山荘(6:45) → 丸山(7:00) → 独標(8:20-40) → 西穂山荘(9:35-10:15) → 西穂高口駅(11:39) 西穂高口駅(11:45) ⇒(第2ロープウエイ)⇒ 白樺平駅(昼食) → 鍋平高原駅(12:40) ⇒(第1ロープウエイ)⇒ 新穂高温泉駅(12:50) 駐車場(13:00) ⇒ 松本 ⇒ 道の駅ながと(15:30-入浴-16:30) ⇒ 東部湯の丸IC ⇒ 太田桐生IC ⇒ 宇都宮(20:00) 同行者 妻 |
西穂山荘
は通年営業の山小屋だ。
新穂高
からロープウエイを使えば,積雪期でも比較的簡単に行くことができる。そこで,
昨年の3月中旬に西穂山荘宿泊を計画した。
天気図と天気予報を検討して,13日-14日 で実行したのだが,天気の回復が遅れ,新穂
高のロープウエイ駅に着いたときにはまだ雪が降っていた。前日が運休だったロープウエイも動き
出してはいたが,駐車場には1台の車もなく,先行者のトレースは期待できなかった。残念だが,
自分たちだけでラッセルして
山荘までたどり着くのは無理と判断して,
山行を取りやめにした。
この週末(3月29日,30日)の天気予報は久しぶりに 晴れ,晴れ一時曇り と良い天気を予報した。その後,一時は予報が悪くなったが,再び良くなったので,実 行を決定した。 今回は出発を少し遅くすることで,前夜に降雪があっても,先行者のトレースを利用 させてもらおうというずるいことを考えた。 宇都宮を 5:40に出発し, 新穂高ロープウエイ駐車場 に10:00に到着した。昨年は雪のあった道路にも,今年は雪が無く,かなり早く到 着した。 宇都宮 からR293を 足利 まで走り,更に 伊勢崎 に向かい,R50を越えたところで, 3月8日 に開通したばかりの 太田桐生IC で北関東道路に入った。 3月1日に開業したばかりの 波志江PA からは,真っ白な 八ヶ岳連峰 が望めた。 ![]() 上信越道 に入ると,正面に 浅間山 の姿が見える。山頂は雲に覆われている。 ![]() 雪を被った 剣が峰(左)と雲に覆われた浅間山 ![]() 北関東道路 太田桐生ICから松本ICまで205.4km ちょうど2時間かかった。松本ICから安房峠を越えて新穂高まで約1時間。昨年と 違って路面に雪はなく,順調に走れた。 麓では良い天気だったのが,第1ロープウエイ,第2ロープウエイと乗り継いで,西 穂高口駅に着いたときには,ガスに覆われてしまった。 西穂高口駅の食堂で昼食にし, 飛騨牛コロッケ を買って食べた。揚げたては,サクサクとして美味しかった。 ![]() 持ってきた スノーシュー はザックにくくりつけて歩き出した。この山行でスノーシューの出番はなかった。足が 滑るようになってきたので途中で アイゼン を履いた。ガスの上空は晴れているらしく,ガスが途切れると陽が差した。 ![]() 昨日降ったと思われる 雪 が,木の枝に付き,とてもきれいだった。 ![]() トレースはしっかりとできており,ルートさえ外さなければ,潜るようなことはなか った。約2時間で 西穂山荘 に着いた。山荘の前には 4張りのテント が張られていた。 ![]() この日は,この時期としては宿泊者が多く, 50人ほど が宿泊した。 ![]() ふとん 1枚当たり1人 ということで,ゆっくりと寝ることができた。 この日同室になったのは, 岐阜大学山岳部OBのSさん(69歳),Wさん(65歳)と,同じ大学 のF教授ご夫妻。 夕食でも同席になり,おいしい日本酒を飲みながら,楽しいお話を聴くことができた。 また,教授夫人には,愛情のこもった 手作りのローストビーフ もごちそうになった。皆さんそれぞれ大ベテランで,日本の山だけでなく,海外の山の 話など,いろいろな山の話を聴くことができた。 夜半にはガスが晴れ,星が見えた。 Wさん は,写真を撮るために,翌朝の夜明けを待たずに登っていった。日の出は5時40分頃 と言うことなので,私たちは20分頃に起床し外に出た。夜明け間近の景色は,まさに別世界の美 しさだ。 すぐ近くに 焼岳 ,その奥に 乗鞍岳 ![]() 霞沢岳 の斜面が目の前に。 ![]() 明神岳第6峰 の辺りが明るくなり,日の出が近づいた。 ![]() 真っ白な 笠ヶ岳 の山肌が,銀色に光っている。 ![]() 6時からの 朝食 を摂るため,山荘の中に入った。食事中に陽が昇り,食堂の窓から日が差し込んできた。 天気予報では 曇りのち雪 なので,天気の良いのは朝の内だけだと思われたから,できるだけ早く出発しようと, 準備を急いだ。身支度をして, 6時45分に山荘を出発 した。 山荘前の急な斜面を登ると, 独標から西穂への稜線 が見えてくる。 今日の最初の目標は 丸山 だったのだが,今日は風も弱いから,目標を 独標 に変更し,行けるところまで行くことにした。 独標手前の雄大な斜面に胸が高鳴った。 「よし,行こう」 ![]() 左を見れば, 抜戸岳 から 笠ヶ岳 へ連なる雄大な山稜が聳えている。 ![]() 更に,右に目を移せば, 双六岳 が見える。 ![]() 丸山 の山頂は,文字通りなだらかな広場だ。 ![]() 独標へ向かう雪の斜面 が目の前に立ちはだかる。登山者が点々と見える。 ![]() 振り返ると, 焼岳 が目線より低くなった。 ![]() 雪の斜面を登ると, 独標のドーム が近づいてくる。強風のためか,あまり雪が付いていない。 ![]() 斜面を登り切ると,目の前に 独標のドーム が聳えている。山頂には数人の登山者が見える。 ![]() 急斜面を登り切って 山頂 に発つことができた。意外と風が穏やかだ。途中の方が風が強く,我慢できずに目出し 帽を被った。 ![]() ピラミッドピーク,西穂高岳,奥穂高岳,そして吊り尾根の先に 前穂高岳 ![]() しばらくの間,360度の展望を楽しんで,いよいよ下山にかかった。 登るときには夢中で登ってしまったのだが, 山頂直下の30mほどが最も危険だ。 夏季では,岩が露出しており,手がかり・足がかりはたくさんあるのだが,この時期は 氷で覆われてしまい, 手がかりがない。 足にはアイゼンがあり,確保できるできるのだが,手がかりが無く,3点確保ができ ない。私はピッケルを持ってきたので,それで安全を確保できるのだが,妻はストックのみでピッ ケルを持っていない。そこで,ストックの バスケットのすぐ上をにぎり, ピックを氷に突き刺して手がかりにすることにした。 先に私が下りながら,サポートして降りはじめようとしたとき,後から登ってきた, WさんとSさん が, 「ザイルを持っているのでサポートしてあげるよ」 と,声をかけてくれた。地獄で仏とはまさにこのこと,さっそくお願いした。さすがに ベテランは手慣れたもの,7mmのロープをザックから取り出すと妻の腰に縛り付け,確保を開始し てくれた。クサリの付いている岩場まで無事に降りることができ,お礼を言って妻に付けていたロ ープを外した。 私たちの後から登ってきた女性2人のパーティーも,同じように確保してもらってい た。 雪を甘く見てはいけなかった。かりに妻がピッケルを持っていたとしても,使い方を 練習していなければ,同じことだ。役には立たない。幸い,私は幾度か経験があったので,ピッケ ルを使うことができたし,特に危険とは感じなかったのだが,自分のことばかり考え,妻のことを 考えられなかったのは,大きな問題だった。 女性の下山をサポートしているWさんとSさん。 妻もこんな風にサポートしてもらった。 ![]() この後,WさんとSさんは西穂高岳山頂まで行ってきたと, Wさんのブログ に書いてあった。 ドームを無事に下ることができでば,あとは危険なところはない。名残を惜しみなが ら,山荘を目指した。約1時間で山荘まで降りることができた。 西穂山荘のホームページ に, 「西穂deスマイル」 と言うコーナーがある。そこに載せるための写真を撮った。 ![]() 空の薄雲がだんだんと濃さを増してきたので,山を下りることにした。 ロープウエイ山頂駅周辺は観光客でごった返していた。きょうは日曜日だった。ロー プウエイも満員で,臨時便を出して対応していた。 この山行は,素晴らしい天気に恵まれ,実り多い山行だった。心配していた妻の足も, あまり痛むことはなく,歩き通すことができた。何よりも,雪山の素晴らしさとともに怖さも味わ うことができ,大満足の2日間だった。 Wさんのブログ にも,この山行のことと,素晴らしい写真が載っている。 ページトップへ |