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戦 場 ヶ 原 NPV特定種開花調査

2008年(平成20年) 6月7日(土)

 「特定種開花調査」とは
 戦場ヶ原・小田代原 は,標高1400mに位置する湿原で,特有の植物が生育しており,全国的に見ても貴重な 地域だ。ところが,近年になって野生のシカが増えだし,その食害によって植物がダメージを受け るようになってきた。そこで,シカが湿原に入れないようにするため,栃木県は 1998年 に,小田代原の周囲を 電気ネットの柵 で囲んだ。その結果,急速に植物の生育に改善が見られた。そのことを受け, 2001年12月 に,環境省が1億4,400万円をかけて 戦場ヶ原全体をカバーするネットを設置 した。ところが,戦場ヶ原は,その中央を国道120号線が横断しており, 完全に封鎖することはできなかった ため,柵の中に侵入するシカが増え,柵内の植物もシカの影響を完全に除外することが できない状態になっている。
 そこで,日光パークボランティアでは,湿原の植物がどの程度シカの影響を受けてい るかを調べるため,いろいろな調査活動を行っている。
 「特定種開花調査」 とは, シカが好んで食べる植物 のいくつかの種類(特定種)について,その開花状況を調査することで,シカの摂食によ る影響を調べようとするものだ。

 今回の目標とする植物は 「クロミノウグイスカグラ」 だ。
 「朝日百科 世界の植物」 (朝日新聞社)では, クロミノウグイスカグラ についてこのように述べている。
 「クロミノウグイスカグラ L.caerulea L.ver. edulis Turcz. ex Herder はアジア東北部の寒い地方に広く分布する。日本では本州中部以北と北海道に野生し, 特に 日光の戦場ヶ原 に多い。<倉田悟>」
 ところが,このように書かれた 戦場ヶ原 クロミノウグイスカグラ があまり見られなくなっている。 

観察コース

  赤沼 →(自然研究路)→ 青木橋 → 泉門池 → 小田代橋 →(北戦場ヶ原)→ 逆川 → 三本松

  光徳沼  

 赤沼から自然研究路に入った。
 ミヤマウグイスカグラ が咲いていた。花弁の色と花弁に線毛があることが特徴だ。戦場ヶ原には特に多い。

 今まで2本だった木道を, 幅広の1本道 にする工事が進んでいた。 車いす にも対応できるようにするのだそうだ。


 ワタスゲ の白い穂が一面に広がっている。

 ズミ も咲きかけで,この頃が最もきれいだ


 メギの花も可愛い

 地衣類の ウメノキゴケ は,大気汚染のバロメーターだ。空気が汚れると,枯死してしまう。


 今日の観察対象の クロミノウグイスカグラ が遠くに咲いていた。デジカメの望遠を最大にしてもこの程度にしか写らない。

 イヌエンジュ は,ハリエンジュ(ニセアカシア)の仲間で,幼葉が可愛い。


 フデリンドウ  フデリンドウの高山型が, タテヤマリンドウだ。

 ヒメイチゲ は金平糖のような実を付けていた。


 オオバタネツケバナ は頂小葉が大きいのが特徴

 シロバナヘビイチゴ は,名前はヘビイチゴだが,オランダイチゴの仲間で,食べると美味しい。


 ミズナラの花

 ネコノメソウ の仲間。多分イワネコノメソウだろう。


 テングクワガタ

 ハルニレの実


 バイカモ を見るため光徳に移動した。


 今回の 開花調査 は,目標とする植物の開花は,僅かしか確認できなかったが,先輩のパークボランティ アからいろいろな話を聞くことができ,有意義な1日だった。

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