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茶 臼 岳

2008年(平成20) 9月29日(月)


コース・タイム
 宇都宮 ⇒ 峠の茶屋駐車場
  駐車場 → 峰の茶屋 → 山頂 → 牛ヶ首 → 峰の茶屋 → 駐車場
 駐車場 ⇒ 矢板城の湯 ⇒ 宇都宮

同行者
 妻

 このコースは今までに何度も登っているが,今週末に,団体をガイドするので,その 下見 に行ってきた。私は,団体を案内する場合,良く知ったコースでも必ず下見を行ってい る。

 平日なので, 峠の茶屋駐車場 はガランとしている。

 灌木の間を少し登ると, 茶臼岳の山頂 が見えてくる。
 茶臼岳 は,爆発的な ブルカノ式噴火 の繰り返しによって堆積した火砕物の上に 溶岩ドーム がせり上がったもので,その溶岩ドームが,麓から見ると, 抹茶を作るための石臼(茶臼) に似ていることからそう名付けられた。


 霧の中から 朝日岳 が姿を現した。 あそこにも登りたいが,今日は我慢。



 那須 茶臼岳 ではかつて 硫黄鉱山 があり,硫黄を採掘していた。中腹で採集された硫黄は, 索道 硫黄鉱山事務所 まで降ろされ,更に別の索道で 辨天温泉 まで降ろされた。
 私が高校生だった頃には既に硫黄の採掘は終了していたが, 索道の櫓とワイヤーロープ は残っていた。現在でも,櫓の残骸が僅かに残っている。

 1960年頃の写真


 この索道は 無動力 で動いていた。一方の索道に吊されたバケツに鉱物を入れると,自分の重みで下り始め る。その力で,もう一方の索道に付けられた空のバケツを引き上げると言うもので,実にうまいア イデアだ。

 古い地図を見ると, 「那須鉱山事務所」 から 辨天温泉 までも索道が設置されていたことが分かる。この地図には, 那須ロープウエイ はまだ載っていない。

 中の茶屋跡 まで来ると, 峰の茶屋跡避難小屋 が見えてくる。


 峰の茶屋跡避難小屋

 私が高校生だった頃まで,ここには文字通り茶屋があって,サイダーやジュースを売 っていた。
 1960年頃の峰の茶屋

 峰の茶屋を後にして 山頂 へ向かう。  噴気孔のある崖の左側を巻いて,反対側から登る。

 リンドウ はもう終わりかけていた。咲き残った花は,濃い紫色できれいだった。これは オヤマリンドウ


 シラタマノキ の真っ白な実は,手で潰すと メントール の香りがする。


 少し登って平坦な場所に出ると, 列状に石を積んだもの が出てくる。
 これは,かつて硫黄を採掘していた 遺構 で,トンネル状に積んだ石( 煙道 )の中を,硫黄を含んだ噴気を通すことで,硫黄を昇華させたところだ。


 硫黄採掘の遺構 は広い範囲に残っている。現在は, 硫黄は石油精製の副産物として安価に生産される ようになり,噴気からの採取は行っていない。


 山頂には,大きな 噴火口 が残っている。 噴火口 を逆時計回りに歩くと,崖の上に出る。崩れていて危険なので崖には近づかない方が良 いが,ここから,噴気を上げている斜面と,峰の茶屋方向が見渡せる。


 山頂 に着いた。山頂の標高は 1915m だが, 三角点 はそれより東に少し下った平坦なところにあり, 1897.6m になっている。

 ロープウエイ駅の方に下ってくると, 牛ヶ首 に向かう小学生の列が見えた。楽しく歩ける遊歩道だ。


 分岐から 牛ヶ首 方向に少し進むと,斜面が色づき始まっているのが見えた。


 牛ヶ首 から 山頂ドーム を望む。 茶臼岳は,私が知っているだけでも,何度かの小爆発を繰り返し,この斜面はその都度 崩れている。


 那須一番の 紅葉の名所 と言われている 姥が平 も,少しだが紅葉が始まっている。

 この噴気孔群は 無間地獄 と呼ばれ, 茶臼岳 で最も活発に噴気を上げているところだ。


 水平道(硫黄を採掘していたときにはここにトロッコが通っ ていた) を進んで峰の茶屋に着いた。
 峰の茶屋 では小学生の団体が下山を開始していたので,急いで追い越しその前に出た。
 駐車場に帰り着いたとき,雨が降り始めた。  茶臼岳 は,いつ登っても, 地球の躍動を感じられる山 だ。

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