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赤 岩 滝 ・ カクレ滝

2009年(平成21年) 11月7日(土)


コース・タイム
 宇都宮(6:20) ⇒ 赤沼駐車場(7:30-朝食)
  赤沼(8:00)⇒(低公害バス)⇒ 西ノ湖入口(8:25)
  西ノ湖入口(8:25) → 山の神(8:40) → 第7突堤(徒渉点)(9:25) → 赤岩滝(10:10-30) → 西ノ湖西ヶ浜(11:50-昼食-12:35) → カクレ滝(13:15-25) → 西ノ湖(13:50) → 西ノ湖入口(14:20)
  西ノ湖入口(14:35) ⇒(バス)⇒ 赤沼(15:05)
 赤沼駐車場(15:20)⇒ やしおの湯(15:50-入浴-16:50) ⇒ 宇都宮(17:30)

同行者
 妻

 奥日光の紅葉渋滞も,11月3日の文化の日を過ぎるとや や緩和される。 そこで,今まで敬遠してきた奥日光に行くことにした。
 以前から気になっていた場所があった。それは, 栃木・群馬県境の錫ヶ岳から千手ヶ浜に注ぐ柳沢川の上流,赤岩沢に 架かる落差100mに及ぶ日光でも最大級の滝 で,名前を 赤岩滝 という。以前は,沢歩きの素養がないとたどり着けなかったところだが,最近では歩き やすくなり,特別な技術が無くても行くことができるようになったという。
 赤沼から千手ヶ浜に向かう 低公害バス を利用すれば, 西ノ湖入口バス停 から約2時間ほどで行ける。しかし,飛び石伝いの徒渉も何カ所かあり,夏場の増水時 は足を濡らさずにたどり着くことは難しい。そう言う意味でも,渇水期のこの時期はベストなのだ。
 混雑のピークは過ぎたとは言っても, 赤沼駐車場 には,7時30分にはかなりの車が停まっていた。

 今朝は冷え込んだ。足元の草は, 霜で真っ白だ


 7時半過ぎに到着した低公害バスからは,大きなカメラや三脚を担いだ カメラマン がたくさん降りてきた。4時30分から運行している 早朝バス で小田代原の夜明けを撮影しに出かけていた人たちだ。
 口々に 「今日は来た甲斐があった」 と言っているところをみると,相当に良い写真が撮れたようだ。
 今日は土曜日なので,低公害バスは 休日運行ダイヤ で運行している。 始発は8:00発 だ。寒いので,バスに乗って発車を待った。乗客は10人程度だった。
 小田代原ではズミの細かい枝先に氷が着いて,幻想的な光景を創り出していた。 霧氷 だ。本物の霧氷を間近に見たのは初めてだった。
 枝先に付いた水滴が明け方の低温で凍ったものや,粉雪が枝先に付いたものなども 「霧氷」と呼んでいることが多いが,それらは本当の 霧氷 ではない。 霧氷 とは, 空気中の水蒸気が昇華(気体から直接固体になること)したもの を言うのであって,条件が揃わないとめったに見られない貴重なものなのだ。
 小田代原でも陽の当たっているところは既に融けてしまっている。カメラマン達が言 っていた「来た甲斐があった」とは,これのことだったのだ。バスの運転手が「サービス」といっ てバスを 一時停車 してくれた。バスの中から写真を撮ったが, この程度 しか写らなかった。


 西ノ湖入口 でバスを降り, アザミ橋 を渡る。

 西ノ湖へ通じる歩道には, カラマツの葉が厚く積もって おり,歩くとフカフカして気持ちいい。

 間もなく,西ノ湖歩道から赤岩滝へ向かう 柳沢林道 の分岐点に出る。
 ここで,奇妙なことがあった。それは, 前回(10月23日)に来たときにあった「赤岩滝」と言う表示板が 取り外されていた のだ。この表示板は個人が作ったものではなく,裏に「日光市」と書かれた 公的なもの だった。
 柳沢林道の奥に赤岩滝があることはかなり知られていたが,入口に表示してあるよう にこの林道は 専用林道 許可なく車両や歩行者の通行を禁止します となっており,一般公開はされていない場所という認識でいた。 その表示 は現在も残っている。
 ところが,10月にここを通ったときに 「赤岩滝」 という案内板が取り付けられているのを見て,晴れて公開されたのだなと思っていた。 登山道として公開すると言うことは,日光市が責任を持って登山道を整備すると言うことで,事故 が起これば,日光市が責任をとると言うことだ。
 今回,案内板が取り外されたと言うことは,その辺りが解決していなかったのだろう と勝手に想像した。

 通行を禁止


 赤岩滝へのルートは,途中までの林道は,国土地理院の地形図にも記載があるが,そ の先は記載がない。その先は, 随想社発行の 「栃木の山140」 (栃木県勤労者山岳連盟 宇都宮ハイキングクラブ編 2004年)を参考にした。
 途中までは, 柳沢川の右側 (左岸)を林道に沿って登っていく。林道は未整備で荒れているが,傾斜は殆ど無く, 砂防突堤の数を数えながら歩く。


 西ノ湖歩道から別れて, 柳沢林道 に入る カラマツ林の中に真っ直ぐな林道が延びている。

 間もなく,右に 立派な鳥居 が現れる。 「山の神」 だ。鳥居は立派だが,その奥にある石祠は小さくてかわいい。

 左の林の中に, ログハウス がある。日光森林管理署千手ノ森治山事業詰所だ。


 ログハウスを過ぎると,柳沢川に出る。目の前に立派な 砂防突堤 が現れる。これから,川沿いに登っていくのだが, 大きな砂防突堤が8本 あるので目印になる。

 2本目 の砂防突堤

 3本目 の砂防突堤 特に大きな突堤だ。 ここで小休止。

 4本目 の砂防突堤

 林道は 崩壊が進んでいる ところもあり,落石に注意しながら通り過ぎた。

 ヘアピン部をショートカットして上に登ると,目の下に 5本目 の突堤が見える

 6本目 の突堤を過ぎると,林道は対岸へ渡る。

 柳沢川の徒渉点 かつては,作業用の車が通っていたのだろうが,今は名残もない。 跳び石伝い に対岸へ渡る。今は水量が少ないので簡単に渡れるが,増水時にはかなり危険も伴う。

 昔の作業道はここから左に,下流へ向かうが, 赤岩滝 へ行くには右方向の上流に向かう。 赤岩滝 と書かれた案内標識には,だれかの忘れ物の帽子が掛けられていた。

 ここからは沢の左側(右岸)を登っていく。直ぐに 7番目,8番目 の砂防突堤が連続している。大きな砂防突堤はこれが最後だ。

 河原に出る。広い河原を, ペンキマークと積み石 を目印に上流に向かう。

 川幅が狭くなると, ナメ滝 が現れる。


 飛び石伝いに 対岸に渡る。  ここまで来ると水量も少ないので苦労せずに渡ることができる。

 再び右岸に戻って ナメ滝を巻いて 越えると,正面に 赤岩滝 が見える。


 赤岩滝  飛び石伝いに対岸に渡ったところが,撮影のベストポイントだ。  落差100mに及ぶ雄大な滝だ。全部で4段に分かれ,それぞれ異なっ た表情をしている。


 4段目の上部 までは簡単にいくことができる。

 3段目の滝の落ちたところに が架かっていた。


 滝を眺めたり,写真撮影をしたりして,しばらく時間を潰して, 赤岩滝 を後にした。実は,今日は,もう一つの滝を見ようと計画していた。それは,西ノ湖西 ヶ浜の奥にある カクレ滝 だ。
 分岐まで戻って,西ノ湖歩道を西ノ湖へ向かう。 両側のカラマツはもうすっかり葉を落としていた  カラマツが葉を一斉に落とす姿を見たいものだと思っているのだが,今年もそのチャン スはなかった。

 西ノ湖の水は相変わらず少ない  北側の湖畔から,干上がった湖底を歩いて 西ヶ浜 に向かった。


 ズミ の実も冬支度



 西ヶ浜 でシートを広げ,昼食にした。バーナーで湯を沸かし,即席麺を作って食べた。野菜と 卵を入れると一段と美味しくなる。

 眠くなるほどの穏やかな陽気で,昼寝でもしたいところだが,先があるので,あまり ゆっくりもできず, カクレ滝 へ向かうことにした。
 ここから先の道は地形図に記入はない 現在位置を確認しながら歩いた記録が,下の図だ。


 西ヶ浜分岐の標識 を,左に進む。少し先に,通せんぼするように倒木が1本置かれている。


 見上げると カラマツ がまだ青い葉を付けている。・・・・しかし良く見るとカラマツではなかった。落ち葉 を拾ってよく見てみると,5本に別れている。これは ストローブマツ という北米原産の松だ。北米では Eastern White pine と呼ばれている。寒冷地に向いた植物で,建材などに使うために,北海道などの寒冷地 に植林された。ここにも,試験的に植林されたらしい。

 芸術家の作った オブジェ のような切り株。

 緑の葉を付けた木に,オレンジ色の小さな実が成っていた。初めて見た実で, マユミとは違う。 帰宅して図鑑で調べたら,ニシキギ科の ツルマサキ の実だということが分かった。

 「かくれ滝」 と書かれた立派な案内標識が現れ,この先で沢を渡って対岸へ行く。標識にはひらがな で「かくれ滝」とあるが,地形図の表記が 「カクレ滝」 とカタカナ書きなので,このレポではカクレ滝と表記することにした。

 しばらく,右岸を進んだ後 再び左岸 に渡る。

 更に2度ほど徒渉を繰り返し,大きな石を越えると, カクレ滝の滝壺 に出る。滝の音はするのだが,姿は見えない。滝壺の両側から 屏風のような岩の壁がせり出して おり,その奥に行かないと滝の姿は見えない。
 太い倒木の下の飛び石伝いに対岸に渡って写真を撮ることに成功した。

 まさに 「隠れ滝」 だ。 両側からせり出した岩壁の奥にひっそりと佇んでいる滝だ。暗くて写真が上手く 撮れない。

 帰路も, 低公害バス に乗る予定なので,バスの時刻を確認して, カクレ滝 を後にした。
 今日は,天気も良く,楽しく歩くことができたが,歩行距離は 13km を越えており,足も痛くなった。がまんしながらバス停まで歩き,西ノ湖入口から赤沼 までバスに乗った。
 赤沼の駐車場で帰り支度をしていると,突然に声を掛けられた。 高崎のSさん だ。彼は最近,この山域のルートのない山に登っている。今日は西ノ湖から宿堂坊山に 登ってきたという。

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