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社  山

2010年(平成22年)12月12日(日)


コース・タイム
 宇都宮(6:35) ⇒ 歌ヶ浜駐車場(7:25)
  駐車場(7:50) → 狸窪 → 阿世潟(8:55) → 1557P(10:10) → 縦走路合流(11:35-45) → 山頂(12:15-昼食-40) → 阿世潟(13:40) → 狸窪 → 駐車場(14:40)
 歌ヶ浜駐車場(14:55) ⇒ 宇都宮(16:00)

同行者
 単独

 いろは坂 を登って中禅寺湖畔に出ると,対岸にピラミッド型の端正な山が目に入る。これが 社山(シャザン) だ。社山は私の大好きな山の一つで,春夏秋冬何時登っても良い山だ。何度か社山に登る うち, ある尾根 が気になりだした。社山の北側に, 阿世潟沢を挟んで東に延びる尾根 だ。その両端は急傾斜になっているが,中央部分は傾斜も緩く,のんびりと歩けそうな尾 根だ。登山道はないが,社山から見る限り藪も無く,笹も生えていないから,歩けないことはない。
 いつかは行こうと思っていたのだが,ついに実行することにした。 最適な季節は,葉が落ちた後の雪が降るまでの間 なのだが,色々な事情があり,今日になった。数日前に降雪があったが,中宮祠で15cm 程度と言うことだから,それほど問題にはならないだろう。
 宇都宮 の自宅を6時半に出て, 日光バイパス を走っていると,正面の 日光連山 に朝日が当たって輝き始めた。
 例年に比べ,日光の雪は少ない。

 いろは坂を登り,明智平から「第二明智トンネル」を抜けると,正面に 奥白根山 が見える。


 歌ヶ浜の県営無料駐車場 には,1台の車が停車していたが,私が到着すると,間もなく出て行ってしまい,私の車 だけになってしまった。


 中禅寺湖 の対岸には,今日の目的地である 社山 が朝日を受けていた。いつもは,社山の左手前に伸びている尾根を登るのだが,今日はそ の尾根に並行している 右側の尾根 を登る。

 白根山は 「白根(嶺)」 の名の通り真っ白だ。奥白根山は, 前白根山から白根隠山に繋がる稜線 から山頂だけが僅かに顔を出している。


 今日は風もなく, 中禅寺湖 の波も立っていない。

 男体山 には筋状の雨裂に僅かに雪が残っている。それにしても今日は良い天気だ。自動車の車外 温度計は 2℃ を示していた。


 7時50分に駐車場を出発 した。今日の服装は,半袖Tシャツに ソフトシェル ,その上に ジャケット を着た。 冬用のズボン の下には CWX を履き,頭には毛糸の帽子を被った。

 日陰の車道には数日前に降った雪が残り, 凍結 していた。この道は一般車は通れないのだが,入口のゲートは開放されたままだった。 先行者の新しい足跡が一つ あった。

 狸窪 の民宿はひっそりと静まりかえっていた。

 この路面は全く陽が当たらないため, 雪が融けていない。

 半月峠分岐  先行者の足跡はここから 半月峠 の方に曲がっていった。

 暑くなった のでジャケットを脱いだ。帽子も脱いでバンダナを巻いた。



 阿世潟 に着いた。いつもならばここで左に折れ峠に向かうのだが,今日は反対側の 千手ヶ浜に向かう道 を進んだ。

 ここから千手ヶ浜に向かう人はあまり多くはない。しかし,道は きちんと整備され ており,新しい橋もできていた。橋の上に一人の足跡があったが,これは,尾根の上で見 つけた足跡と同一人物らしい。

 間もなく尾根への取り付き点へ着いた。  目的とする尾根に上がるにはいくつかのルートが考えられるが, 最も手前の尾根 を登ることにした。


 千手ヶ浜に向かう歩道を歩いていると,左前方に 明確な尾根 が現れる。今日はここから登る。


 ここは 南斜面 で風も当たらない。少し登っただけで汗が出てきた。 ソフトシェル を脱いで Tシャツ になったが,これで丁度良かった。

 この尾根は下草もなく登りやすいが, 傾斜が強く ,足が滑りやすい。そこで,滑り止めのために,持ってきた 軽アイゼン を着けた。これで安定して登ることができた。アイゼンは氷だけのものではない。

 急傾斜なので一気に高度を稼ぐことができる。振り返ると,登ってきた斜面の向こうで, 中禅寺湖の湖面 が朝日を反射し光っていた。

 傾斜は急 だが足元は安定しており,快調に登ることができた。

 50分ほどで 地図のB点 に着いた。雪の上に 古い足跡 を見つけた。古いと行っても, 雪が降ったのは9日木曜日の夜 だから, 歩いたのは10日金曜日か11日土曜日 と言うことになる。足跡は,右の尾根を登ってきて,私がこれから進もうとしている方向 に進んでいた。この人が登ってきた尾根は,ここから 上野島の方に伸びている尾根 で,私が登ってきた尾根よりも 傾斜が緩い。 私も,この尾根を登ることも考えたのだが,遠回りになるのでやめた。



 馬の背のような 鞍部 を進む。傾斜が緩くなってホッとした。

 少し登ると, 見晴らしの良い広場(地図のC点) に出る。左手に,社山へ登る正規ルートが見渡せる。 ロボット雨量計のアンテナ も見えた。


 この広場の中央に大きな シャクナゲ の株があった。花の時期には見事だろう。この広場からは 三方に下る ことができる。一方は私が登ってきた道,北東方向に下れば,湖岸の大日崎へ, 社山方向へは西に少し下って小さな鞍部を越える。

 小さな鞍部を越えて少し登ると, 1557ピーク(地図のD点) に着く。ここからも三方に下ることができる。一方は登ってきた道で,北に下れば湖岸の 松ヶ崎へ降りられる。 社山方向へは南西方向に繋がる尾根を進む 


 この尾根は,土盛りした高速道路のように 不思議なくらいに真っ直ぐに伸びている。 藪もなく,暖かな陽射しを受けてルンルン気分で歩く。吹く風は冷たいが,風は弱く,半 袖シャツのままでも寒くなかった。

 今日の目的地である 社山の山頂 が見えた。社山の山頂は,北側に灌木が茂り,見晴しがないから,北方から直接に山頂を 見ることもまたできない。


 開けた場所に腰を下ろし,朝,自宅で入れてきた紅茶を飲んだ。 生きていることが嬉しくなるような満ち足りた時間だった。動かないでいるとさすがに寒 くなり,ザックからフリースを取り出して着た。
 もっとゆっくりしたいのだが,まだ先が長いので,名残を惜しみながら先に進んだ。

 鞍部(地図のE点) を過ぎて再び登りになる。 が出てきた。笹丈も,初めのうちは低かったので,歩くのにさほど支障はなかったのだが, 徐々に丈が高くなってきた。

 少し登ると傾斜が緩くなったが, 笹丈は高くなり ,腰くらいになった。体力が消耗する。

 笹の中には幾筋かの「 踏み跡 がある。しかしこれは 登山者の踏み跡 ではない。シカの歩いた跡 「鹿道」 だ。雪の上に残る足跡はシカの蹄の足跡だ。たとえ鹿道でも,何もないところを歩くより ずっと楽なので,可能な限り鹿道に沿って歩くことにした。


 依然として 笹は深い 。歩いていると突然, 軽アイゼンのゴムベルトが切れた 。古くなりひび割れがしていたから,何時かは切れるだろうと思って覚悟はしていた。早 速,持参していた スパッツ用の換えゴムで応急処置をした が,思ったよりもしっかりとできた。

 傾斜が緩くなった斜面をしばらく進むと, 標識 が現れた。 社山から黒檜岳に縦走するルート の標識だ。今日の バリルート はここで終了。ここからは 登山道 を歩く。

 ここには,一度来たことがある。 2008年6月1日にキクさんと二人で黒檜岳から社山に縦走したと きに通った。 ここから見る景色は独特だ。今日は天気も良く写真写りも素晴らしい。  男体山

 奥白根山

 黒檜岳方向

 一休みして, 社山の山頂 に向かって今日最後の登りに出発した。まず, ここを下って から,反対側に登り返す。

 鞍部から 山頂を見上げる  遠くに見えるが,登ってみると意外に近い。



 鞍部から見た 中禅寺湖  今日歩いてきた尾根が見渡せる。

 鞍部から 阿世潟沢 を見下ろす。積雪期には,阿世潟からこの沢を詰めてここに登ってくるルートがある。機 会があったら歩いてみたい。



 社山への登りの途中で振り返った。 なだらかな尾根が連なった独特の雰囲気を持った地域だ。
  写真をクリックすると大きな写真が見られます。

 社山の山頂 は日当たりも良く,雪はない。しばらく休んで遅い昼食にした。

 男体山を背景にしたいつもの 山頂写真



 今日歩いた尾根 見渡せる。尾根に沿って白くラインを引いたように雪が残っている。何とも不思議な現象 だ。

 カメラの望遠を最大にして 尾根の一部 を拡大した。腰を下ろして休憩したのはあの辺りだ。

 社山からの帰路は, 正規のルート を辿った。下りは速かった。山頂から阿世潟まで1時間,更に歌ヶ浜まで1時間だった。
 今日は,念願のコースを歩くことができ嬉しかった。取り付き点から合流点までのコー スは大きく3つに分けられる。
第1の部分 は取り付き点から1557ピーク(地図のD点)まで。ここは急な傾斜の登りで,決して楽では ないが,足元は安定しており危険はない。ただし,傾斜が急なので滑落するとなかなか停止できない 場所もあるので軽アイゼンなどの滑り止めがあると良いだろう。
第2の部分 はD点からE点までの尾根歩き。ここは何の不安もなくルンルン気分で歩ける。
第3の部分 がこのコース一番の難所だ。深い笹に覆われ,ルートファインディングにも注意が要る。 登りでは問題ないが,下りでは慎重にルートを確認しながら進む必要がある。道迷いの危険もあり, 初心者が単独で歩くのは止めた方が良い。
 今日は,天気も良く,コースのコンディションも良く,体調も良く,楽しみながら歩く ことができて大満足だった。

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