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半 月 山 中退

期日 2011年(平成23年)1月23日(日)


コース・タイム
 宇都宮(6:40) ⇒ 歌ヶ浜駐車場(7:35) 
  駐車場(8:05) → 狸窪(9:02) → 折り返し点(10:00) → 狸窪(10:40) → 駐車場(11:35)
 歌ヶ浜駐車場(11:50) ⇒ 宇都宮(13:00)

同行者
 ドラ吉さん

 中禅寺湖の南岸にある 社山 半月山 は,積雪期に登ることができる手頃な山だ。いずれも,標高差も手頃で,中禅寺湖東岸の 歌ヶ浜 から日帰りのコースを組むことができる。
 今日は, 狸窪 から半月峠に登り,尾根伝いに 半月山頂 を経由して第一駐車場に達し,更に 狸山(ムジナヤマ) の山頂から,北に延びる尾根を下ることにした。このコースは 2007年の2月末 に歩いて,とても感動したコースで,翌 2008年2月末 に再び訪れたのだが, 半月峠手前 の斜面で雪崩の危険を感じて戻ってしまい,感動の再現 はできなかった。ということで, 再び訪れる機会をねらっていたのだが, ドラ吉さん のリクエストもあって,4年ぶりに実現することになった。ただし今回は, 雪崩の危険のある斜面を避けて,谷筋を登ることにした。 地形図で見るからには,なだらかな斜面で,危険はなさそうだった。
 日光道路から見る 日光連山 には雲がかかっており,良い天気は期待できそうになかった。路肩には昨夜降った雪が残 っていた。

 いろは坂 にも路肩に雪は残っていたが,路面には雪はなかった。舞っていた雪も 明智平 に着く頃には上がり,青空も見え始めた。 鳥居 の前を左に折れて, 歌ヶ浜 に向かった。 路面は所々凍結していた。


 歌ヶ浜の駐車場 に着くと,間もなくドラ吉さんも到着し,準備を整えた。スノーシューとアイゼンを持っ たが,ピッケルは置いていくことにした。 狸窪 へ行く道路は,除雪されているが,薄く雪に覆われ,歩きやすかった。
 湖畔の道からは 社山 の秀麗な姿が望める。ピラミダルな素敵な姿を見ると,登りたくなる。

 狸窪の少し手前から 男体山 を眺めた。いろは坂方面から湧き上がってきた雲が,山頂で折り返し東方に流されていく。 火山の噴煙とも,雪煙とも見える。

 狸窪 までは,夏季とほぼ同じ時間で歩くことができた。先行者のスノーシューの足跡が1人分 あったが,足跡は社山の方に向かっていた。
 いよいよここから山道に入る。壺足ではかなり潜るので,ここで スノーシュー を履いた。 MSR で歩くのは2度目だが,斜面を登るのはこれが初めてだ。やはり登りやすい。裏面の構造 もさることながら,ヒンジが機械的で遊びが無いため,つま先の方向が定めやすく,歩きやすい。


 分岐からしばらくは夏道を登っていったが,途中から右にそれ,谷の方に向かって登っ ていった。地形図にはそれらしい表現はないが, 小さな起伏がたくさんある。 斜面の傾斜方向とコンパスによって進むべき方向を確認しながら進んでいった。 谷の中央にある沢 は凍結しておらず,水が流れていた。基本的にはこの沢の左側(右岸)を登っていった。


 沢の底には 大きなレキ が積み重なっており,とても歩きにくい。レキとレキの間に大きな穴が開いているところ もあるのだが,雪が被っているために分からない。足の着く場所を探りながら慎重に進んでいった。



 突然,後で 「ボキッ」 というかなり大きな音がした。振り返ると,後を歩いていた ドラ吉さん が頭から転倒し,一回転して2mほど落ちて止まった。しばらく動かなかった。 大丈夫です か? と声をかけたが,直ぐには返事はなかった。ややあって 手をやってしまった。 と,痛みを こらえながらの声が返ってきた。 ストックは握れますか?。 手を動かすことはできますか? いずれもだめだという。私が想像した以上に重症だということが分かった。

 登山を続けることは不可能と判断した。あとは,如何に 安全に下山 し,病院に行くかということだ。半月峠まではもう少しだが,仮に峠まで登ったとしても, そこからの下山は簡単ではない。そこで,登ってきた トレースを逆に辿って下山 することにした。これが最も安全で確実な方法だと判断した。 狸窪 まで下れれば,必要があれば救急車を呼ぶこともできる。問題は,ドラ吉さんの腕の状態 と痛みの程度だ。仮に骨折ならば 添え木をして固定 しなければならないのだが,そのままにして様子を見ることにした。 シュリンゲ で輪を作り,腕をつった。これで,痛みが楽になったという。左手で突いていたストック をザックにしまい, 右手1本のストック で下山を開始した。
 やはり,トレースがあるところを下るのは楽だ。40分ほどで狸窪に着いた。民宿の前 に置いてあった椅子に腰を下ろし,休憩。この後どうするかについては,駐車場に着いてから決める ことにして,駐車場に向かった。
 今日は,上空には青空が広がった良い天気だったが, 奥白根山は雲の中で顔を現さなかった。

 中禅寺湖の水面 は,青空を映して神秘的な色を見せている。冬だけに見せる色だ。

 11時35分,駐車場に戻ってきた。駐車場には大型バスも止まり,乗用車の数も増え ていた。


 ドラ吉さんは,できれば柏の 自宅に帰って病院に 行きたいという。幸い,怪我したのが 左手 なので,右手が自由に使える。ドラ吉さんの車はオートマ車なので, 右手1本でも操作は可能だ。 ただ,いろは坂という ヘアピンカーブの連続 があるので心配だが,ここが下れれば平地の運転はできるだろう。
 ドラ吉さんの車を先に行かせ,私が 後について いろは坂を下った。後ろから見る限り,全く問題なく スムーズ なハンドリングだ。
 いろは坂を下りきり,日光道路の 日光口PA に車を寄せた。ドラ吉さんは,運転できるので,このまま柏まで帰るという。無事に帰宅 できることを祈って,ここで別れた。
 この後のことは, ドラ吉さんのブログに載っている。
 帰宅後,ドラ吉さんから 無事に着いた というメールをもらった。ほっとした。医者に診せたところ,やはり骨折だったという。
 事故については,自分たちのレベルアップのために 検証 することが 大切だと思う。
 直接的な原因は,枯れた木に体重をかけたためにその 木が折れた ことだ。これは,バリエーションルートをやるときには特に注意しなけらばならないこと なのだが,リーダーとして,その 注意喚起の指示 をしていなかった。
 間接的な原因として考えられることは,まず第1に,選択した コースが適切だったか どうかだ。やはり無理と判断して,途中で 引き返すべき だったのかも知れない。第2には,ルート取りの問題が挙げられる。ドラ吉さんは,私の トレースを辿ることができず,回り道をして事故に遭ってしまったのだ。私は先に進むことに夢中で, ドラ吉さんのスノーシューで登れるかどうかまで,正直言って考えていなかった。
 山登りには,多少の冒険は必要だが,その見極めが難しい。ドラ吉さんの一日も早い回 復を祈ります。

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