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立 山 室 堂

2011年(平成23年) 8月4日(木)-5日(金)


コース・日程
8月4日(木)
 自宅(4:00) ⇒ 集合場所 ⇒ 鹿沼IC ⇒ 豊科IC ⇒ 扇沢市営駐車場(7:50)
 扇沢(8:30) ⇒(トロリーバス)⇒ 黒部ダム(8:50) → 黒部湖(9:40) ⇒(ケーブルカー)⇒ 黒部平(10:00) ⇒(ロープウェイ) ⇒ 大観望(10:20) ⇒(トロリーバス)⇒ 室堂(11:00)
  室堂センター(11:13) → ミクリガ池(11:21-58) → 地獄谷(12:17) → 雷鳥沢(12:40) → 雷鳥荘(13:40-泊)
8月5日(金)
  雷鳥荘(7:50) → ミドリガ池(8:46) → 室堂山荘(9:27) → 玉殿の岩屋(9:30-37) → 室堂センター(10:10)
 室堂(10:30) ⇒(トロリーバス・ロープウェイ・ケーブルカー ・トロリーバス)⇒ 扇沢(11:51)
 扇沢(12:10) ⇒ 穂高上條(13:25-昼食-14:10) ⇒ 豊科IC ⇒ 鹿沼IC ⇒ 自宅

同行者
 職場の仲間(I事務長,Kさん,Mさん,Tさん)

 職場の同室 の5人でどこかに旅行をしたいねと話が出て,私にそのプランニングが任された。全員で 無理なく歩ける場所として, 立山室堂 を選んだ。今回のテーマは,登山ではなく, 「めずらしい高山植物を観察し,温泉に入って美味しいお酒を飲む」 だ。

 8月4日(木)
 総勢5人なので,私が車を出した。午前4時に 宇都宮 を発って, 扇沢 に着いたのが8時少し前。 北関東道が完全開通 して,確実に早くなった。平日なのに,扇沢の駐車場は,無料の 公共第一,公共第二 ともに満車。その下にある 市営扇沢駐車場 も8割かた埋まっていたが,何とか停めることができた。

 扇沢駅 は1Fの切符売り場で乗車券を買い,2Fの改札口に並ぶ。以前来たときは,切符売り場 にも行列ができていたのだが,今日は行列はなくすぐに買うことができた。それにしても, 室堂往復が,往復割引で1人8,800円は高い。

 黒部ダム駅 でトロリーバスを降り, 展望台 に登った。いつも感じるのだがこの階段の登りはきつい。階段に貼られている指示通り, ゆっくり休みながら登ったのだが,上についたときには息があがっていた。ダムは壮大で,ダムの上 を歩いている人が米粒のようだ。
 黒部第4ダム は,基本的には アーチダム だが,両端の,岸壁に繋がる部分だけ,岩盤の弱さのため, コンクリート重力ダム になっている。そのため,ダムの上を歩く道路が,2カ所で折れ曲がっている。

 この5人が今回のメンバー

 ダムの中央辺で下流の ダム底 を覗くと,水しぶきに虹が架かっていた。

 2009年に 水晶岳 に登ったとき,水晶岳の山頂から 黒部湖 が望めた。ということは, ここから水晶岳が見える はずなのだ。稜線が雲に隠され,確定はできないのだが, 最も奥に見える稜線が水晶岳のようだ。

 地中のケーブルカー で着いたところが 黒部平  ここから ロープウエイに乗り継ぐため,混雑時には2〜3時間待たされることもある。 黒部平の庭からは ロープウエイの大観望駅と立山三山の山頂が望める。

 ロープウエイで着いたところが 大観望  眼下に 黒部湖 が見える。対岸には先ほど登ったダムの展望台も見える。

 11時に 室堂 に着いた。ターミナルの屋上から バスの駐車場 を見ると,私たちと反対側の 立山町 の方から登ってきた大型バスがたくさん停まっていた。

 室堂の遊歩道 には,ターミナルの屋上から直接出られる。 玉殿の湧水 を引いた水飲み場があり,美味しい水を飲むことができる。ハイキングに出発する人はこ の水を水筒に満たす。

 イワイチョウ

 タテヤマリンドウ はここ 立山 にちなんでつけられた名前だ。ロート形の花びらの のどの辺りに暗褐色の筋状の模様 がある。

 タテヤマリンドウ は色の薄いものが多いが,この写真のように殆ど白のものもある。これを シロバナタテヤマリンドウ と言って区別することもある。

 ヨツバシオガマ は,深く裂けた葉が 4枚輪生する のが特徴で,紫の花が美しいだけでなく,葉もまたきれいだ。 「浜で美しいのが塩釜」 から, 「葉まで美しい」 から シオガマ と名付けられたという。

 イワカガミ は,雪解け直後に咲く花なので,殆どが花期が終わっていたが,特に雪解けが遅かったと ころなどでは咲き残っていた。

 コイワカガミ イワカガミ の区別は難しい。もしかすると,コイワカガミかもしれない

 ミクリガ池 の縁にはまだ雪が残っていた。池の向こうに ミクリガ池温泉 の建物が見える。

 ミヤマダイモンジソウ は字を書くのが下手のようで,きれいな 大の字 が書けない。


 薄い青色の タテヤマリンドウ とは別に,濃い青色をしているものがある。これは ミヤマリンドウ だ。タテヤマリンドウと混生しているところもあるが,ミヤマリンドウは日本海側に多く 分布する。

 このリンドウの仲間は,夜間には花を閉じ,日が差してくると花を開 く。 曇天のときは花を開かない。

 アザミ に似ているがこれは タカネヒゴダイ

 エゾシオガマ シオガマギク の仲間で唯一黄色い花をつける。

 ミヤマコウゾリナ は中部以北の本州に分布し,高山の礫地や草原に生育する。花の根本の 総抱が黒い のが特徴。 コウゾリ とは髪剃(コウゾリ)で 剃刀 のこと。葉でこすったときの感触が剃刀で剃るときの感触に似ているという。

 ミヤマコウゾリナ

 花の周囲や内側に白い毛が生えていないので,これは イワギキョウ

 これは,葉が モミジ のように深く切れ込んでいるので モミジカラマツ という。


 ミクリガ池温泉  立ち寄り湯もできる。

 ハイマツ の雌花。ハイマツの松ぼっくりは, ホシガラス の大好物。その食べ残しを ライチョウ が食べる。


 TVの撮影クルー がいた。 静岡放送 という腕章をつけていた。

 ミツバツチグリ  葉が三葉になっている。よく似た キジムシロ では葉が5〜7枚になっているので区別できる。

 コバイケイソウ の花は,小さな花の集まりだ。大規模な群生は開花すると見事だ。

 ミクリガ池温泉 の手前から左に折れて斜面を下り, 地獄谷 に向かった。発生する有害ガスの濃度が高いので注意するように,途中に設置されたスピ ーカーから,日本語の他に 英語と中国語 でアナウンスしていた。
 地獄谷 の縁を通過して回り込むと, ロッジ立山連峰 の建物が見えてきた。ここの温泉も名湯と言われ,キャンプ場の宿泊者が入りにくるそう だ。機会があったら私も入ってみたい。

 雷鳥沢野営場 にはたくさんのテントが張られていた。しかし,最盛期よりはずっと少ない。

 チングルマ も殆どが綿毛になっていたが,咲き残ったものが少しあった。

 アカバナ の仲間。咲いている場所から考えると, イワアカバナ か。


 キャンプ場からの 遊歩道 は,全て石畳と石の階段になっている。これは見事だ。

 ミヤマアキノキリンソウ は別名 コガネギク  今が最盛期 


 雷鳥荘  傾斜地に建っているので,北側にある玄関は 2階 
 雷鳥荘に泊まるのは今回が 3度目 だ。最初に来たのは,2008年4月で,アルペンルートの開通前に特別なツアーでここ を訪れた。そのときは,除雪が間に合わず,最上階の 3階の廊下の窓から出入りした

 部屋の窓からの眺め  一の越を挟んで雄山と浄土山

 夕方外に出た。 別山乗越 にある 剣御前小舎 が夕日を受けてすごく近くに見えた。でも,かつて,あそこまで登るのに2時間以上かか った。

 夕食 はとても美味しかった。料理もお酒もたくさん頂いた。

 部屋に戻ると,お酒の効果もあってすぐに寝てしまった。

 8月5日(金)
 翌朝は,日の出を見ようと,外に出た。 キャンプ場を覗くと,大きな団体が朝食の準備をしていた  良く見ると,持ち込んだ大型テントのいくつかはレジャーテントで,かなり重いものだ。 手分けして運んだのだろうが,大変だったろう。もっとも,その苦労が楽しみの基になると言うこと もあるのだから,若さとは素晴らしいものだ。

 太陽は, 真砂岳と別山の間 から昇った。この写真を撮ったのが 6時8分  稜線が高いので,天文上の日の出よりはずいぶん遅れている。いつものことなのだが, 日の出を待つ時間が長く,身体の芯まで冷えてしまう。諦めて部屋に入ればいいのだが,もう少し, もう少しと考えて,あきらめがつかない。この時も,ついに諦めて部屋に入ったのだが,窓の外に 光芒 を見て慌てて外に飛び出し,急いでシャターを切ったのがこの写真だ。
 今朝は雲一つ無い良い天気だ。

 ヘリコプター が盛んに荷揚げをしている。 雄山の山頂 に荷を降ろしていた。

 ヘリコプターは帰りも空では飛ばない。これは空になったドラム缶か。

 今日は,高山植物の観察をしながら,室堂ターミナルに戻り,帰途につく。
 ゴゼンタチバナ は,花の形が 橘(タチバナ) に似ているという。

 イワオトギリ は, オトギリソウ の高山形だ。

 ミクリガ池温泉の裏手 まで来ると, 劔岳の山頂 が顔を出してくる。 雷鳥荘の前 からでは,このようには見えない。

 ここから, ミクリガ池 の東をまわって, 室堂山荘 を目指した。ここは ミドリガ池  対岸に 立山三山 が見える。もう雲が湧いてきた。本当に天気が良いのは早朝の数時間だけだ。

 黄色い花は,マメ科の イワオウギ だ。オウギは ではなく中国の薬草 黄耆 からきている。

 黄色のシオガマは エゾシオガマ

 コバイケイソウ

 室堂山荘 は, 日本で最初に作られた登山者用の山小屋  その古い山小屋が修理復元されて,参観できるようになっている。


 「劔岳点の記」 にも登場する 玉殿岩屋(タマドノノイワヤ)
 玉殿岩屋は立山開山伝説の聖地で, 佐伯有頼(さえきありより) 阿弥陀如来 に立山の開山を命じられた場所とされている。ここにはこんな伝説が伝わっている。
 佐伯有頼が,山裾で熊を射,その熊を追って白鷹に導かれ山を登っ たところ岩屋からうめき声が聞こえた。中を覗くと胸に矢が刺さった阿弥陀如来が立っていた。

 アオノツガザクラ  花が 薄緑色 なのでアオという。 

 これは ツガザクラ  花は白から薄いピンク

 ミヤマダイコンソウ  葉が大根に似ると言うが,似ているのは 根生葉 で,実際には,大きな 茎葉 が目立つため,見た限りでは似ていない。

 ハクサンイチゲ

 シナノキンバイ

 好天の立山室堂に別れを告げ,10時30分発のトロリーバスで帰途に就いた。
 楽しかった思い出を胸にダムを渡る。

 順調に乗り継いで,12時には 扇沢の駐車場 に戻ってきた。

 昼食は,穂高町の 「上條」 で蕎麦を食べることにした。有名店なので,待たされることはある程度覚悟してやってき たのだが,1時間も待たずに食べることができた。
 昼食後は,一路宇都宮を目指した。
 5人で出かけたのは初めてだったが,楽しい思い出を作ることができた。できることな らば,次回も計画したいと思っている。

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