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燕  岳

2012年(平成24年) 11月24日(土)-25日(日)


コース・タイム
11月23日(金)
 宇都宮(10:30) ⇒ 壬生IC ⇒ (北関東道,上信越道,長野道) ⇒ 安曇野IC(旧豊科IC) ⇒ 中房温泉(14:35-泊)
11月24日(土)
  登山口(7:30) → 第1ベンチ(8:30) → 第2ベンチ(9:10) → 第3ベンチ(10:00) → 富士見ベンチ(11:00) → 合戦小屋(11:55-昼食-12:25) → 燕山荘(14:20-15:00) → 山頂(15:35-40) → 燕山荘(16:10-泊)
11月25日(日)
  燕山荘(7:50) → 合戦小屋(9:00) → 富士見ベンチ(9:35) → 第3ベンチ(9:55) → 第2ベンチ(10:30) → 第1ベンチ(11:00) → 登山口(11:35)
 中房温泉駐車場(12:10) ⇒ 穂高上條(12:45-昼食-13:50) ⇒ 安曇野IC ⇒(吉井付近渋滞20分)⇒ 壬生IC ⇒ 自宅(17:20)

同行者
 forestさん,ドラ吉さん,Sさん夫妻,BAKUさん,HIBARIさん

 燕岳 燕山荘 は,毎年11月の勤労感謝の日を含む週末で営業を終える。この時期は,登山口の 中房温泉 までの交通も確保され,比較的簡単に雪山を味わうことができる山として,登山者に人気 がある。
 私も,そのような一人として,昨年もここを訪れた。昨年は forestさん に同行してもらい,素晴らしい景色を堪能することができた。 (レポ) 下山して別れると き, 「また来年も来ましょう」 と約束した。
 9月に forestさん から,11月の24,25ではどうかとメールが届いた。大喜びで返事を出した。以前か ら一緒に行きたいと思っていた ドラ吉さん にも誘いのメールを出した。 forestさん が笠ヶ岳で知り合った, Sさんご夫妻 も同行すると言うことで,5人で出かけることになった。天候が心配されたが,近づくに つれ徐々に良くなり,結果的には最高の天気になった。
 今年は,ドラ吉さんが, 中房温泉に前泊 するというので,私も一緒に泊めてもらうことにして,前日の昼前に宇都宮市の自宅を発 った。

11月23日(金 勤労感謝の日)
 自宅を出るときには,時折小雨の降る天気だったが,北関東道に入って足利辺りまで来 ると, 青空が見えてきた。

 しかし, 上信越道 に入ると,天気は再び悪くなり,フロントウインドウに 雨粒 が当たる ようになった。
 上信越道 を通るときに,いつも「素敵な橋だなあ」と思いながら通る この橋 は,通称 「碓氷ハープ橋」 正しくは 「上信越自動車道碓氷橋」 という。緩やかにカーブする橋のセンターラインを,逆Y字型の塔から伸びる多くのワイ ヤーで吊る姿は,とても優雅で美しい。今日は, 中房温泉 まで着けばいいし,その後は温泉に浸かってゆっくりするだけなので,いつもと違って気 持ちに余裕があり,運転も楽しい。

 中房温泉 に向けて山道を走っていると,対向車とすれ違うために停車した前の車に追いついた。こ の車には見覚えがあった。 「ドラ吉」 さんの車だ。パッシングを点け合図すると,ドラ吉さんも気づいてくれた。

 中房温泉 は,たくさんの湯船があり,連泊して温泉を楽しむのにはもってこいの宿だ。部屋は,2 人用の個室なので, あまり広くはない。  登山者用には,相部屋もある。45℃という熱い温泉に入ってから,ドラ吉さんが持参 した 「まぼろし」 と言うお酒をごちそうになった。

 食事 は,けっして豪華とは言えないが,美味しく頂いた。ビールを2人で2本,もう少し飲み たかったのだが,明日があるので,今日は我慢,がまん。



11月24日(土)
 宿の朝食 は7時からということで,これを食べていると, forestさん と約束した集合時刻の 7時20分 には間に合わない。そこで,朝食用におむすびを作ってもらい,これを部屋で食べて出発 することにした。
 おむすびは 山菜おこわ でしっかりと腹に溜まった。その他に ソイジョイが 2本。味噌汁はドラ吉さんからの差し入れ。


 昨夜, みぞれ が降ったらしく,外はうっすらと白くなった。宿を出るときにも 細かい雨 が降っていたので,いずれ上がるだろうとは思ったが, レインウエアを着て出発の準備をした
 準備をしている駐車場の脇を,良く知った顔が通った。 BAKUさん HIBARIさん だ。

 BAKUさんたち は,1日前に登る予定だったが,天候が悪かったため,日程を1日遅らせて今日になった のだという。BAKUさんたちも一緒に行動することになった。まもなく forestさん Sさんご夫妻 も到着した。
 私は, 輪カンとピッケル を車に積んできたのだが,荷を軽くするために置いていこうと思っていた。ところが,登 山口に集まったメンバーを見ると,皆, 輪カン,ピッケル を持っている。私も慌てて車に戻り,輪カンとピッケルを持ってきた。そんなことをして いたものだがら,出発が7時30分になってしまった。 結果的に, 輪カンの出番はなかった のだが,重いものでもなく,持っていても邪魔にはならなかった。

 歩き出す と間もなく,雪の上を歩くようになった。うっすらと積もった雪の下は,ツルツルに凍っ ている。 第1ベンチに着く前からアイゼンを着けた。

 合戦小屋 まで荷揚げするための 索道 をくぐると,間もなく 第2ベンチ だ。

 第2ベンチ  ベンチも雪を被っている。座るには雪をどけなければならない。

 ガスが切れて,青空が見え始めた。木の枝には 霧氷(雨氷?) が付いてきれいだ。

 富士見ベンチ  残念ながら富士山は見えなかった。

 陽が当たってくると暑い。 汗をかきながら斜面を登る。

 木立の間から, 雪を被った稜線 が見えてきた。

 トレース は,しっかりと踏み固められており,歩きやすい。ただし,トレースを外すと20〜30セン チ潜る。道を譲るためにトレースを外したときに,何度か深みにはまった。

 合戦小屋 に着いた。有名な スイカ はさすがにやっていなかったが, カップ麺 にお湯を注いで500円で販売していた。

 小屋の前の雪を踏み固め, 車座 になって昼食を食べた。 伊勢市から来られたSさん 差し入れの 「赤福」 をごちそうになったが,上品な甘さがおいしかった。ごちそうさまでした。
 風もなく,穏やかな天気で,小屋の前には多くのグループが集まり,大賑わいだった。
 合戦小屋 から 合戦の頭 までは, 急斜面をジグザグに登り ,一気に高度を稼ぐ。合戦小屋から上は,徐々に見晴らしが良くなってくる。と同時に風 も強くなるのだが,今日は穏やかで,風は殆ど無い。

 燕山荘が見えた  尾根伝いのルートにたくさんのパーティーが見える。

 槍ヶ岳 は,その穂先を雲の中に突き刺していた。槍ヶ岳を包む雲の流れは速く,あそこではかな り強い風が吹いていることが予想される。風だけは地域性があり,場所によって大きく異なる。

 雪質が変わり,アイゼンの音が, 「サクサク」 から 「ギュッギュッ」 に変わった。 急傾斜 をゆっくりしたペースで登る。

 最後の登り を前に一休み。

 馬の背を渡る  強風の時は危険な場所だが,今日は風もなく安心して歩ける。ただ,滑落にだけは細心 の注意が必要だ。

 槍ヶ岳 の雲がとれて姿を現した。

 燕山荘 までもう少し。

 ピークの左側を回り込むと, ゴリラ岩 が現れる。

 無事に 燕山荘 に着いた。今日は3連休の中日。山荘はかなり混雑していた。別棟の2階に入ったが,窓 は既に塞がれており,真っ暗だった。テーブルなどは,既に他のグループに占領されており,私たち のグループが集まれる場所はなかった。荷物を部屋に置き,山頂に行くために外に出た。


 燕岳 の勇姿が現れた。上空には 黒い雲 が浮いている。上空は荒れ模様だ。
 テント場には,色とりどりのテントが立っている。まるで ヨーグルトに混じったドライフルーツのようだ。

 風は強くはなかったが,頬に刺さる冷たさだった。我慢して 山頂を目指した。


 イルカ岩

 山頂標識 の上に三脚を立てて写真撮影をしていたカメラマンがいた。カメラマンの中には,特権で も得たかのように,どこにでも三脚を立てる人がいるが,少しは周囲の迷惑も考えて欲しい。声をか けて三脚を退けてもらって 記念撮影

 北燕岳

 シュカブラ  光線の具合がちょうど良く,きれいだ

 槍ヶ岳 は,再び雲の中に没していった。

 満足感をかみしめながら,頂上を後にして 燕山荘 に戻った。

 東の空に 半月 が架かっていた。


 夕食 はハンバーグ。熱燗のコップ酒も美味しかった。

 夕食後,燕山荘オーナーの 赤沼健至氏 のお話と, アルペンホルン の演奏があった。食堂には,越冬用の支柱が立ち,小屋締めの準備が進んでいた。




11月25日(日)
 日の出 の時刻は6時30分頃と聞いていたので,6時前に起きて身支度し,6時少し過ぎには外 に出た。まだ太陽は昇っていなかったが, 夜明けが近づいた薄明かりの中で,燕岳を始め,槍ヶ岳や裏銀座の山々 が白く輝いていた。 夢中で写真を撮ったが,暗さのために殆どが手ぶれを起こし使い物にならなかった。
 周囲は刻一刻と明るさを増し,写真に写るようになった。
 南東の方向に 富士山  その右隣に 南アルプスの山々 がシルエットで浮かんでいる。

 富士山の左には 八ヶ岳 が。

 八ヶ岳の左には 浅間山 が。

 小屋の前で,寒さをこらえながら 日の出を待つ 人たち


 太陽が顔を出した。

 シルエットだった 富士山 も, 雪の白さ が確認できるようになった。

 槍ヶ岳 もピンクに染まった。

 左のピークが 鷲羽岳  中央が ワリモ岳

 中央のピークが 水晶岳

 中央のくぼみの右が 立山(雄山)  左が 龍王岳

 燕岳 がモルゲンローテに輝いた。

 山荘に戻って 朝食  山では,食べることも大切な仕事。しっかり食べた。

 朝食後 は,荷物を片付け,小屋の前に出て,下山の準備をした。背後には 真っ白に輝く燕岳  今日は,朝から,全周360度見渡しても,全く雲が見えない。こんな良い天気の時に 下山しなければならないなんて残念。

 槍ヶ岳 も真っ白だ。

 燕岳 から大天井岳を経て槍ヶ岳に向かう 「表銀座通り」 がはっきりと見える。

 下山路

 振り返って 山荘を望む 降りてくる人の姿が見える。

 これは, 鹿島槍ヶ岳

 富士見ベンチ まで下ってきた。昨日は見えなかった 富士山 が,今日はよく見える。


 第2ベンチ の標識の上には可愛い 雪だるま が。


 燕山荘から 3時間45分 かけて,登山口へ降りてきた。

 forestさん が, みんなの写真 を撮ってくれた。



 お互いにお礼を言い合い,ここで解散とした。

 出かける前は体力に不安があったが,他のメンバーに迷惑をかけることもなく行ってこ られて,本当に良かった。数年に一度という週末好天に恵まれ,最高に幸せだった。 forestさん  ありがとうございました。来年もまた来たいですね。 Sさんご夫妻  また一緒に何処かの山に登りたいですね。 ドラ吉さん  またどこか計画しましょう。 BAKUさんHIBARIさん  本当にありがとうございました。特に,下山路の最も厳しいところをリードしていただ き,お陰様で,無事に下山できました。そして,そして,今更ながらに,HIBARIさんの 「晴女」 としての神通力に敬服いたしました。私にも,すこし分けてください。
 帰路,上信越道の吉井付近で渋滞に遭遇したが,大きな遅れはなく,無事に自宅に帰り 着いた。

付録1 私の今回の服装
 ファイントラック フラッドラッシュ スキンメッシュ
 mont-bell クリマブロック ロッシュジャケット
 LATERRA ジャケット
 LATERRA ジャケットは,途中で暑くなり,脱いでしまった。
 CWX
 mont-bell スーパーハイドロブリーズ インシュレーテッドパンツ
山小屋用  ダウンインナーパンツ,フリース上着,ダウンジャケット など

付録2 アイゼンについて
 私は6本爪 のアイゼンを持っていった。 Sさんご夫妻は10本爪 BAKUさんHIBARIさんは4本爪と12本爪 ドラ吉さんとforestさんは12本爪 を持っていった。私は,昨年は12本爪を持っていったが,このコースでは6本爪がベス トだと判断して,今回は6本爪にした。
 6本爪が10〜12本爪と大きく違うのは,前爪と踵爪がないことである。前爪がない ことでは,つま先の懸かりがなく,急斜面の登りではつま先が流れることがあるが,反面,前爪を引 っかけて躓くこともないので,普通路では歩きやすい。踵爪がないことでは,急斜面の下りで,踵を 打ち込む歩き方が出来ないが,足底全面を着くような歩き方をすれば,よほど雪が腐っていない限り 安全に歩ける。

付録3 ピッケルについて
 私もピッケルは持っていき, 燕山荘から山頂往復と,帰路の燕山荘から三角点まで に使用した。 燕山荘オーナーの赤沼さん も, 「ストックでは滑落の停止が出来ないから,冬山では必ずピッケルを持 参するように」 と言っていた。しかし,ストックでも上手く使えばある程度滑落停止が出来るし,ピッケ ルでも,使い方が出来なければ持っていても役に立たない。個人的感想から言えば, 今回のような気象条件であれば  必ずしもピッケルは必要なく,ストックで十分だったと思う。

 このレポの他に  BAKUさんドラ吉さんforestさん のレポもご覧下さい。

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