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社 山 中退

2012年(平成24年) 12月16日(日)


コース・タイム
 宇都宮(6:30) ⇒ 歌ヶ浜駐車場(7:40)
  駐車場(8:10) → 狸窪(8:55) → 阿世潟(9:35) → 阿世潟峠(10:15-31) → 阿世潟(10:45) → 狸窪(11:35) → 駐車場(12:30)
 歌ヶ浜駐車場(12:50) ⇒ 宇都宮(14:00) 

同行者
 単独

 昨日は 職場の忘年会 だったが,事情があって欠席。今日は天気も良さそうなので, 社山 に登ることにした。社山は,とても手頃な山で,春夏秋冬いつでも楽しませてくれる。積 雪期でも,天候さえ良ければ初心者でもピークハントは可能だ。

 6時半過ぎに宇都宮の自宅を出て, 歌ヶ浜の駐車場 に着いたのは7時40分。  車の外気温計は 6℃ を示している。この時期の早朝は氷点下になるのが通常。この時期の気温としては,異様 に高い。



 中禅寺湖 の対岸には,今日の目標 「社山」 がピラミッドのような姿を見せている。それにしても風が強い。西側から中禅寺湖の湖面 を渡ってくる風が,まともに吹き付け,湖面に大きな白波を立てている。

 大きな波が,船着き場の 桟橋 に当たってしぶきを上げ,舞い上がったしぶきは,強い風に吹き付けられて,駐車場の中 央まで届いている。



 奥白根山 の周囲には 雲がかかっており,その真っ白な姿を見ることはできないかった。ここで,これだけの風 なのだから,稜線ではもっと強いだろう。社山へは稜線の登山道を登らなければならない。このまま 風が収まらなかったら,登頂は無理だろうが, 阿世潟峠 までくらいなら行けるだろうと判断して出かけることにした。

 半月峠方面に行く 中禅寺湖スカイライン (冬季は閉鎖)から別れて阿世潟へ向かう道は,しばらくは日陰を進む。このコースの核 心部はここなのではないかと思うくらいに, 凍結した路面 は滑って歩きにくく危険だ。今日は, 6本爪のアイゼン を持ってきたので,早めに付けて歩くことにした。歩きやすくなり,スピードも上がった。

 イタリア大使館別荘跡公園 を過ぎると, 社山 が一層近づいて見える。登れそうな気がするのだが,風は目に見えないから,行ってみな いと分からない。

 男体山 の姿もきれいに見える。風が強いと,空気中のゴミを吹き飛ばしてしまうから,クリアー に見える。

 狸窪(ムジナクボ) まで歩いていって驚いた。 ここにあった 民宿が姿を消していた  建物は取り壊され,何も残っていない。ただ,建物があった場所に大きな穴が開いてい た。


 狸窪 までは除雪されているのだが, ゲートの先は除雪されていない  積雪は20cm程度と多くはないのだが,トレースが踏み固められていないので,歩くと潜 り,とても歩きにくい。



 湖岸 に沿って歩くこの場所は,雰囲気があって,私の大好きな場所だ。

 ここまでくると,左右対称にすそ野を伸ばした, 男体山 のきれいな姿を見ることができる。男体山は,頂上まで木が生えているので 黒髪山 ともいう。また,その端正な姿から,別名 下野富士 とも言う。

 阿世潟 で,湖岸の遊歩道を離れ, 阿世潟峠 に向かって登り始める。 トレースはあるのだが,新しいものではない。 積雪は20cm程度 で,踏み込むと10cmほど潜る。

 少し登ってくると,背後に,木の枝越しに 男体山 が見える。
 ここは風は強くはないが,遠くで,ゴーッという大きな風の音がしたかと思うと,その 音が徐々に近づき,頭上の木の枝を揺らして,通り過ぎていく。その音が意外なほどに大きく,恐い。

 峠の手前 に路肩や法面の崩れたところがあったが,きれいに補修されていた。

 今年の4月に来たときには,崩れたままだったから,その後に補修工事が行われたのだ ろう。 これで安心して歩ける。

 阿世潟峠 に着いた。雪も少なく,陽射しが暖かそうだ。が,実はここは普段から風の強いところな のだ。増して今日は強風が吹き荒れている。

 ここに登ると,いつも真っ先に 富士山 を探す。少し霞んではいたが,その姿をしっかりと確認できた。肉眼ではもっとはっきり と見えたのだが,写真に写すとこの程度になってしまう。

 社山の方に登山道が延びている。ルンルン気分で歩けそうに見えるのだが,そうは簡単 ではなかった。もう少し進んでみようとしてこの尾根を進んだのだが, 身体が浮き上がるような強風 が繰り返し襲い,それ以上の進行を断念した。

 「風」を写真に撮るのは難しい  右から左に向かう風が,枯れ草を左になびかせている。今日は概ね西の風だ。東西に連 なるこの峠では,北風と南風が入れ替わって吹く。南風は冷たくないが,強烈で,身体を持って行か れそうになるほどの強さだ。一方,北からの風は,南風ほどの強さはないが,冷たい風で,頬が痛い。

 暖かなところで腰を下ろし,ゆっくりしようと思っていたのだが, 風の当たらないところなどどこにもなく  そそくさと,帰途についた。葉を落とした枝越しに 男体山 が見える。

 阿世潟 まで降りてくると,朝に比べて,幾分は風も弱まってきたようだった。私の大好きな湖岸 で,水際に行ってみた。水を飲みに来たと思われるシカの足跡があった。

 中禅寺湖唯一の島, 上野島 がよく見えた。

 白根山 を覆っていた雲がとれ,真っ白な頂が顔を出した。

 正午過ぎの時間になっても,日陰の路面は 凍結したまま だ。アイゼンを着けたまま歩いた。

 歌ヶ浜の駐車場 に戻ってきた。車が少し増えていた。

 相変わらず,風は強かったが,出発したときよりは少しだが収まっていた。

 社山 も陰が長くなってきた。

 私は何度も奥日光には来ているが, 中禅寺湖 がこんなに荒れたのを見たのはあまり無い。
 慣れた奥日光といえども, 天候の変化 を甘く見てはいけない。今日の場合も,もちろん,風の合間を見て進めば,時間はかかる が,登頂はできたかも知れない。でも私は,どの山であっても「登頂」にはあまりこだわってはいな い。 まして,日常的に登っている山ならばなおさらである。
 「山は,楽しくなければならない」 が私のモットーだから

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