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尾 瀬 学校キャンプ下見

2013年(平成25年) 6月27日(木)-28日(金)


コース・タイム
6月27日(木)
 宇都宮(5:30) ⇒ 戸倉第一駐車場(7:10-車1台デポ) ⇒ 大清水(7:30)
  大清水(7:40) → 一ノ瀬(8:41-49) → 三平峠(10:05-15) → 三平下(10:35-50) → 長蔵小屋(11:25-昼食・打合せ-55) → 沼尻休憩所(13:00-05) → 見晴弥四郎小屋(14:35-打合せ・泊)
6月28日(金) 
  弥四郎小屋(6:55) → 元湯山荘休憩所(7:15-25) → 三条の滝(8:25-35) → 元湯山荘休憩所(9:40-50) → 東電小屋(10:25-30) → ヨッピ橋(10:45) → 竜宮小屋(11:07-昼食・打合せ-50) → 山ノ鼻小屋(12:55-打合せ-13:25) → 鳩待峠(14:35-鳩待山荘打合せ)
 鳩待峠(14:50) ⇒(乗り合いタクシー)⇒ 戸倉第一駐車場(15:15) ⇒ 大清水(15:30) ⇒ 宇都宮(17:50)

同行者
 W先生,A先生

 今年も,7月23日から2泊3日で,中学1年生をガイドして 尾瀬 に行く。今回は, 引率の先生2人と一緒に 下見に出かけた。生徒は 沼山峠から入って,鳩待に抜ける。  下見は基本的に同一コースを歩かなければならないのだが,登山口までの往復の交通を 考えて, 大清水 から入ることにした。 大清水 から 長蔵小屋 までは生徒の歩くコースと異なるが,長蔵小屋以降は同一になる。

6月27日(木)

 戸倉第1駐車場 に車を1台デポしておき, 大清水 に向かった。ハイシーズンだが,平日なので, 大清水の駐車場 は空いており,休憩所前の駐車場に駐車できた。

 今朝方まで強い雨が降っていた のだが,今はすっかりと晴れ,強い陽射しが照りつけている。両側の木立が日陰を作って くれているので,歩くのは快適だ。


 タニウツギ がきれいに咲いていた。

 一ノ瀬休憩所 まで約1時間かかった。この林道歩きは,大清水から一ノ瀬まで, 約220m 登っており,楽な歩きではない。


 一ノ瀬から山道になる。靴底についた植物の種子などを落とすために 足拭きマットが 設置されている。

 雨上がりの登山道は, 爽やか で気持ちいい。


 岩清水 から 七曲がり という急斜面を15分も登ると稜線に出る。この稜線は,あまり見晴らしが良くない。そ の中で, ここ からはは南方の見晴らしが良い。

 林の中のだらだら登りをしばらく歩くと 三平峠 に着く。ここも,見晴らしは良くない。


 三平峠 から 尾瀬沼 に向かって少しくだったところに キヌガサソウ (衣笠草)が咲いていた。大きな豪快な花だ

 反対に, タケシマラン (竹縞蘭)は非常に小さい花で,写真の撮影にはいつも苦労する。


 尾瀬沼畔 三平下 には,休憩所と,山小屋がある。

 黄色い花は リュウキンカ (立金花) ミズバショウ(水芭蕉)と同時期に咲く花だ。


 ワセッサワ (早稲沢)湿原からは,尾瀬沼の向こうに雄大な 燧ヶ岳 が望める。

 薄青い小さな花は タテヤマリンドウ (立山竜胆) この花は,夜間や曇天時には花の先が閉じていて,日中に陽が当たると満開 になる。

 尾瀬 には何種類かのスミレがあるが,この ツボスミレ (坪菫)は花が最も小さい

 イワカガミ (岩鏡)は,葉に光沢があることから名前が付いた。

 イチリンソウ (一輪草)は,茎の先端に1個だけ花を付ける。

 コバイケイソウ (小梅ケイ草)(ケイはくさかんむりに惠)は一つずつの花もきれいだが,群生すると特にき れいだ。


 尾瀬では最も歴史のある 長蔵小屋  ここで打合せをして昼食を食べた。

 ウワミズザクラ (上溝桜)は シウリザクラ に似ているが,葉の基部の形などで区別できる。


 ツマトリソウ (端取草)は花びらが7枚

 コミヤマカタバミ (小深山方喰)


 コヨウラクツツジ (小瓔珞躑躅)は,花の形に特徴がある

 レンゲツツジ (蓮華躑躅)


 ミズバショウ (水芭蕉) 芭蕉とはバナナのこと。確かに,大きく成長した葉は,バナナの葉のようだ。

 ヒメシャクナゲ (姫石楠花)は殆どが咲き終わっていた。


 チングルマ (稚児車)も咲き残っていたのは僅かだ。

 沼尻の休憩所  今日は平日なので,売店の営業時間は11時から13時まで


 ムラサキヤシオツツジ (紫八汐躑躅)は尾瀬には多いが,日光には少ない。

 木道 を快適に進む。


 下田代 に到着した。ここには6軒の山小屋がある。


 弥四郎小屋 は, 尾瀬ヶ原 に最も近い山小屋で,ここからは尾瀬ヶ原を見渡せる。当日も今日もここに泊まる。

 弥四郎小屋 の前には,昔からの 「弥四郎清水」 がある。注ぎ口と水桶が新しくなった。

 ゴゼンタチバナ (御前橘) ゴゼンは白山御前峰から,タチバナは花の形からついた。


 至仏山 の山頂を覆った雲は取れなかった。

 ナナカマド (七竈)は,七回竈に入れても燃え残るという意味で付けられた名前だ。

 弥四郎小屋 に上がり,入浴,休憩。夕食後に,打合せ。7時半には床に入り,眠りについた。

 6月28日(金)
 外が徐々に明るくなってきた。目では見えるのだが,まだ,写真には写らない。 4時30 分 になったので,カメラを持って外に出た。
 尾瀬ヶ原も明るくなってきて,写真に写るようになった。 至仏山 はまだ雲の中だ。

 私 が尾瀬に宿泊する最大のねらいは, 尾瀬ヶ原の夕景と早朝の景色を見ること なのだ。でも天気が悪ければ見ることはできない。そんな気まぐれなところが,尾瀬の魅 力でもあるのだ。 燧ヶ岳 に架かっていた雲が昇り始め,雲の下部が赤く染まってきた。

 至仏山 に架かっていた雲も徐々に離れ,残雪の雪型を残した山肌が見えてきた。

 「太陽はどの辺りから昇るのですか?」 と,他のハイカーから聞かれたが,そう言えば,陽の昇るところはまだ見たことがなかっ た。 燧ヶ岳の山頂付近 から昇るようだが,そこにだけ雲が残っており,山頂から顔を出す太陽は見られなかった。


 尾瀬ヶ原 に陽が差してきた。

 今日の朝食  質素だが,これでも十分。

 下田代の弥四郎小屋を出て 三条の滝 に向かった。
 オゼタイゲキ (尾瀬大戟)は,花のように見える葉が,秋には真っ赤に紅葉する。


 温泉小屋 は,沸かし湯だが温泉に入れる山小屋で,美味しい食事とともに,人気も高い。


 元湯山荘の裏にある 休憩所  公衆トイレも近くにある。

 休憩所の少し先, 段吉新道 の分岐までは木道が新しくなったが, その先は道が悪い  今の尾瀬は木道が整備されたが,昔の尾瀬は泥との戦いだった。そんな昔を彷彿とさせ る道が続く。

 平滑の滝 (ひらなめのたき)は,大きな一枚岩を流れ下る。手前の木が育ってきて,眺めが悪くなっ た。

 この道は整備が必要 だ。この橋も傷んでいる。何とか渡ることはできるが,危険はある。

 ここは一本橋  水量が多いときは危険だ。固定橋を架けることは難しいのだろうが,もう少し安全に渡 れるようにしてもらいたい。


 ミヤママタタビ (深山木天蓼)の花が咲いていた。この実は, マタタビ の実と違って,猫が興味を示すことはないという。

 三条の滝 は,「三十丈の滝」が語源とも言われるとおり, 落差が,三十丈(約100m)ある。

 観瀑台の近くの コメツガ (米栂)が,赤い実を付けていた。

 東電尾瀬橋 が数年前に架け替えられ新しくなった。この先に 東電小屋 があるのでこの名前が付いた。下の川はヨッピ川(只見川)で, 福島県と新潟県の県境 になっている。

 鹿が泥浴びをするために掘り起こした 「ヌタ場」  湿原に大きなダメージを与えるので,問題となっている。

 ヤブデマリ (藪手鞠)の花は,5枚の花びらの1枚が小さい。

 東電小屋から15分ほど歩くと ヨッピ橋 だ。昔から交通の要所となっており,昔はワイヤーで吊っただけの,粗末な吊り橋が架か っていた。

 トキソウ (朱鷺草)は,品のある朱鷺色が特徴だ。

 竜宮小屋 は,中田代の 沼尻川 の畔にある小さな山小屋だ。生徒はここで昼食を食べる。その打合せをしてから,山ノ鼻 に向かった。

 カキツバタ (杜若)は,花びら(外花被)の中央に白い線がある。

 下ノ大堀川  このポイントから撮影したミズバショウの写真は,絵葉書やカレンダーにたくさん使わ れている。


 ナガバノモウセンゴケ (長葉ノ毛氈苔)は,尾瀬と鬼怒沼にしか生育していない希少種。

 山ノ鼻小屋  山ノ鼻地区にある3軒の山小屋のうちの1軒


 山ノ鼻小屋 で打合せを済ませて, 鳩待峠 に向かった。鳩待峠では, 鳩待山荘 で打ち合わせ後,乗り合いタクシーで 戸倉駐車場 に戻った。戸倉駐車場にデポしておいた車に乗り, 大清水駐車場
 大清水から金精峠を越えて宇都宮にもどった。

 今回の下見山行では, 「群馬県 尾瀬学校」 と書かれた腕章を付けたガイドに引率された,たくさんの小学生に出会った。
帰宅後,「尾瀬学校」について調べた。
 「尾瀬学校」とは,群馬県知事の発案(思いつき?)で2008年度にスタ ートした自然・環境教育のプログラムだ。群馬県内の小中学生全員を9年間の間に一度だけ尾瀬に行 って学ばせる事業で,児童生徒1人につき 5,000円,毎年1億円を予算化した。児童生徒8人に1人 のガイドを付けることにして,事前学習も義務づけた。原則日帰りで,ガイドには1日20,000円を支 給する。
 たいへんにすばらしいプログラムで,他県に住む我々としては,羨ま しい限りなのだが,必ずしも良いことばかりではないようである。混雑を考慮して平日に実施される のだが,多いときには 300人を超える児童生徒が尾瀬を訪れるので,山ノ鼻地区の混雑が問題となっ ている。鳩待峠に乗り入れるバスの数も増え,尾瀬に乗り入れる車を減らしていこうという方向にも 逆行する。たくさんのガイドも必要となるのだが,児童生徒を指導する適性のあるガイドが足りない。 急遽,講習会を開いてガイドを養成しているが,粗製濫造のそしりは免れない。「群馬県」と言うこ とから,入山口は鳩待峠だけ。宿泊する場合も,群馬県内の山小屋に限るようで,なんとなく県エゴ が見え隠れする。
 長年尾瀬の自然保護に関わってきた人たちの中には,群馬県の一方的 な運営に嫌気が差し,このプログラムに関わることを辞退た人も出ている。知事の思いつきからスタ ートしたこの事業であるが,実際に自然保護に関わっている人の意見をもっと取り入れ工夫すること によって,真に子供のためになる行事になっていくことと思う。そうなることを願っている。

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