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尾 瀬 ヶ 原

2019年(令和元年) 10月09日(水)-10日(木)



コース・タイム
10月9日(水)
 自宅(5:06) ⇒ 戸倉駐車場(6:52-朝食-7:35) ⇒(シャトルバス)⇒ 鳩待峠(8:00)
  鳩待峠(8:20) → 山の鼻(9:45-コーヒータイム-10:28) → 牛首三叉路(11:27-昼食-12:00) → ヨッピ橋(12:50) → 東電小屋(13:10-20) → 桧枝岐小屋(14:00-泊)
10月10日(木)
  桧枝岐小屋(7:40) → 竜宮(8:14) → 牛首三叉路(9:07-13) → 山の鼻(9:54-コーヒータイム-10:15) → 鳩待峠(12:00)
 鳩待峠(12:08) ⇒(シャトルバス)⇒ 戸倉駐車場(12:30-45) ⇒ やまびこ(12:50-昼食-13:45) ⇒ 金精峠 ⇒ 自宅(15:15)

同行者
 妻

 ほぼ恒例になった 秋の尾瀬 に行って来た。見晴の山小屋は,10月13日から27日にかけて,順次小屋を閉めてい く。毎年,その頃を狙って尾瀬に出かけている。この頃になると,ハイカーもぐっと減り, 静かな尾瀬 を味わうことができる。そこで,天気予報を見比べ,本州全体が,大陸から張り出した高 気圧に被われる,10月9日〜10日で出かけることにした。

10月9日(水)
 できれば,規制が解除された 鳩待駐車場 まで車で入りたかったので,早朝の暗いうちに宇都宮を発った。
 日光バイパスの正面には, 女峰山 がくっきりと見えた。


 細尾の交差点 まで来ると,うっすらと赤味を帯びた男体山が見えた。


 明智トンネルの出口からは, 朝日に輝く奥白根山 が見えた。


 戦場ヶ原 まで登ってきた。今朝はかなり冷え込んだらしいが,まだ霜は降りて無いようだ。


 金精道路 を上ってきて,見晴ポイントの駐車スペースで車を停めた。三岳の方から太陽が昇り, 男体山 がシルエットになった。


 できれば 鳩待峠 まで自分の車で入りたかったのだが,鳩待峠への分岐点には, 「一般車満車」 の表示が出ていた。仕方なくそこを右折し, 戸倉第一駐車場 に車を入れた。ここもかなりの車が停まっていた。
 車の中で朝食を食べ,身支度を調えた。
 今日の服装は,ボトムは春秋用のトレッキングパンツ  トップは,ファイントラックの フラッドスキンメッシュシャツ にダクロンの長袖シャツ 着て, 上には UNCO&BORORジャケット を着た。


 戸倉第一駐車場から シャトルバス に乗り,鳩待峠に向かった。このシャトルは 乗り合いタクシー なので,満員にならないと発車しないのだが,今日は登山者も多く,殆ど待たずに発車し た。


 鳩待峠駐車場 に着いた。3段になっている駐車場の最下段と中段が一般車の駐車場で,シャトルバスは, 中段から発着していた。見る限りでは,最上段は開いていたのだが,何らかの理由があって,そこに は停めさせないのだろう。
 良い天気なのだが, 気温が低い 上に 風が強い ので,とても寒い。帽子が飛ばされないようにあごひもを付けた。冬用のジャケットを着, 手袋をはめて出発した。


 シャトルを降りて,少し歩き, 鳩待峠休憩所 に着いた。先を急いでも時間を持て余してしまうので,ゆっくりと身支度を調えた。


 鳩待山荘の前 まで行くと, 至仏山の山頂 が見える。ちょうど,山頂だけが雲の影になっていた。


 登山口  と言ってもここからは登るのではなく,降る。


 大きな ダケカンバ も,まだ色づき始めたばかりで,緑と黄色が混じっている。


 川上川を挟んだ 対岸の山腹 もこれからもっときれいになる。昨年は10月15日に来たのだが,紅葉はもっと進んで いた。6日間の差だけでは無く,今年は 紅葉が遅れ ているという。


 川上川橋を渡った所に, マユミ の木があり,夏には花を,秋には実を楽しませてくれる。


 ヤマトリカブト  トリカブト属の同定は専門家でも難しいという。詳しい同定は無理だから,標高からヤ マトリカブトとした。


 オオウバユリ は,たくさんの実を付けていた。ストックで茎を軽くたたくと,たくさんの種子が飛び出 してきた。


 山の鼻 の,至仏山荘前のベンチで湯を沸かし,コーヒーを飲んだ。今日は寒かったので,温かな コーヒーが美味しかった。
 40分ほど休んで,尾瀬ヶ原に向かった。木道を少し歩いて 至仏山 を振り返った。


 望遠レンズで覗くと 登山道 が見えた。登山者の姿も見えた。


 エゾリンドウ  この花は,霜にやられると,花びらの先が霜焼けを起こして茶色になるのだが,花の先 がきれいなところを見ると, まだ霜は降りていない ようだ。


 イワショウブの実 が赤くなっている。


 これは,赤い実が全て落ちてしまい, がく だけが残ったもの。このままの状態で雪の降るのを待つ。


 この実は, オオマルバノホロシ  漢字で書くと 大丸葉保呂之  別名を 尾瀬茄子 と言う。 確かに,花は茄子によく似ている。


 原の川上川 を渡り,上田代に入ると,目の前が開ける。 燧ヶ岳 の姿が雄大だ。


 ズミ  尾瀬のズミは木は小さいが実はたくさん付ける。


 ヒツジグサ  私が初めてヒツジグサの紅葉に出会ったのは,大学3年の秋だった。 群青色の青空を写した水面に,赤褐色に紅葉したヒツジグサの葉が 浮かんでいる 姿は,50年以上経った今でも鮮明に記憶されている。


 紅葉を終えると,水がしみこんでいき,水中に沈んでいく。すると,程なく雪が水面を 埋めていく。


 逆さ燧  という案内があるところ。今日はきれいに写っている。


 今日は天気も良いので,朝から ヘリコプターによる荷運び が盛んだ。この時期に小屋の修理をする山小屋も多く,そのための材料も多いと聞く。
 写真には高空を飛ぶ旅客機も写っている。


 牛首三叉路 で,昼食にした。湯を沸かしカップ麺を食べ,コンビニで買ってきたおむすびを食べた。


 三叉路から竜宮に向かって少し行ったところで 木道の工事 が行われていた。登山者が減り,雪が降るまでの間が, 木道工事の絶好機 なのだ。ネットで包んであるものは,ヘリで運ばれた資材で,取り外した古い木材もまた, ヘリで運び出す。


 今日は天気も良く,時間にも余裕があるので, 東電小屋 の方を回ってみることにした。
 燧ヶ岳の左奥に見える山は,会津駒ヶ岳に続く尾根の最も手前の 大杉岳  大杉岳の左奥には,僅かに会津駒ヶ岳が見えている。



 上空に 別のヘリコプター がやってきた。ゆっくりと行ったり来たりしている。何かの取材なのか。帰宅して写真を 拡大したら,機体の横に NHK と書かれてあった。


 池塘の向こうに燧ヶ岳  まさに絵はがきにしたくなる景色だ。この景色が見られただけでも,このルートにして 良かった。


 ヨッピ橋 はヨッピ川に掛かる吊り橋だ。
 実は,朝から,左の 股関節 に違和感を感じていたのだが,徐々に痛みが出てきた。歩けないほどの痛みではないが, かなり痛くなってきた。


 ヨッピ橋を渡り, ヨシッポリ田代 を進むと, 東電小屋 に着く。かつて,東京電力が,尾瀬の社有地を管理するために建てたのが東電小屋の前身 だ。今でも,管理は,東京電力の子会社の 東京パワーテクノロジー が行っている。
 大学4年の秋 就職試験が終わった翌日,一人で,ザックを担ぎ,奥鬼怒から尾瀬に入った。初日は宇都 宮から 日光沢温泉 まで,翌日中俣沢を通って 長蔵小屋 へ。3日目にこの 東電小屋 に着いた。当時,この本館は無く,別館が建ってっているところに 小さな小屋 が建っていた。夕食後,囲炉裏の廻りに座り,いろいろな話を聞かせてもらった。そんな 思い出のある山小屋だ。もう一つ,結婚前の妻と二人で尾瀬を訪れたときに泊まったのもこの東電小 屋だった。
 日当たりの良いベンチに腰を下ろし,休憩にした。


 休憩後,今日の宿, 桧枝岐小屋 に向かって歩き出した。 拠水林の紅葉 がきれいだった。


 ヤマトリカブト


 東電尾瀬橋  以前は,東電橋と言い, 「一人ずつ渡ってください」 と注意書きがあるくらいに小さな橋だったが,立派に作り替えられた。
 尾瀬ヶ原の橋では,雪の重みから逃げるため,冬季には橋板を取り外すのが普通なのだ が,新しくできたこの橋では手すりだけを取り外し,橋板は取り外さない。雪の荷重に十分耐えられ るように作られているのだ。


 本当に今日は良い天気だ。朝のうち吹いていた風も止み,歩くと汗が出る。


 アシの穂  アシ 悪し に通じるからと, 良し に通じる ヨシ と呼ぶことになったという。


 今夜の宿, 桧枝岐小屋 に着いた。桧枝岐小屋は, ヒゲクマさん こと, 萩原英雄さん がオーナーの小屋で,見晴地区では 最も早く から 最も遅く まで開いている小屋だ。手作りの料理にも定評がある。


 16:30からの入浴タイムに真っ先で入り,汗を流した。風呂上がりにビールと行き たかったのだが,入浴前に既に2杯も飲んでしまっていたので,夕食まで我慢することにした。

 今夜の夕食人数は,私たちと同年配の 4人パーティー が1組,若い カップル が1組と, 中年男性 が1人,それに 私たち と言うことで,全部で9人だった。

 夕食を食べ,部屋で休んでいると, 日没の時間 になった。 背中アブリ山 (八海山)の稜線に日が沈んだ。あまりに 天気が良すぎると ,日没はあっけない。


 部屋に戻って,他にすることも無いので,布団に入った。
 いつの間にかうとうとし,何度か目を覚ましたが,朝までうとうと状態だった。

10月10日

 明るくなるのを待って外に出た。ベンチや木道に 霜が降りて いた。後でヒゲクマさんに聞いたところ, この秋一番 の冷え込みで,今朝は初めて 氷点下 になったという。
 条件が揃えば, 白い虹 が見られるのだが,今日は が少ないから,多分見られないだろう。この写真を撮ったのは 5時47分 。まだ夜は明けきっていない。


 至仏山の頂 に陽が当たってきた。  5時53分


 紅葉した葉に, が降りてきれいだ。


 早発ちの登山者 が歩き出した。 至仏山 に登るのだろう。
 至仏山に登るのならば,小屋の朝食をキャンセルするか弁当に変えてもらって,この時 間に歩き出すのが理想だ。


 妻が起きてきた。 至仏山 に朝日が当たっている。今日も良い天気だ。


 朝食を食べ,身支度をして 桧枝岐小屋 を出発した。見送ってくれた ヒゲクマさんと記念写真 腕を組むのがヒゲクマさんのお決まりポーズ。


 同宿だったカップル が私たちより前に歩き出した。この二人とは 山の鼻 まで前後しながら歩いた。


 木道は真っ直ぐに 至仏山 の方向に延びている。木道も痛みが出てきた。そろそろ替え時だ。


 振り返ると, 燧ヶ岳 の雄姿が見える。 燧ヶ岳と至仏山は並び立つ尾瀬の秀峰だ。


 竜宮小屋 を過ぎ,十文字を過ぎると, 「竜宮」 だ。 吸込み口を見るための木道が一部壊れていたのを修復していた。


 更に少し進むと, 下大堀川橋 だ。新しい橋を作っている。両側の橋脚がしっかりとできており, 橋桁 を取り付けるばかりになっていた。そのために, 10月15日 から 17日 までの3日間,ここは 通行止め になる。ヘリコプター輸送を伴う工事と表示してあったので,多分,橋桁は,どこかで組 み立てたものをヘリコプターで運ぶのだろう。橋につながる木道も,付け替えることになるから,橋 の前後にある現在の古い木道は,まだそのままだ。


 新しい焼き印 を見つけた。 「環境省 令和元年」 と言う意味だ。


 ヒツジグサ の写真は何枚も撮ったのだが,また撮ってしまった。正面の岩壁のある山は, 景鶴山


 山の鼻 で,休憩。ポットに湯をもらってきたので,それでコーヒーを飲んだ。
 いよいよここから登りだ。山の鼻は標高 1400m  鳩待峠は 1600m弱 だから,約200mほど登ることになる。
 妻は 心臓の病 を得てから,登りが苦しくなった。平地では普通に歩けるのだが,登りは,緩い登りでも 苦しくなってしまう。この,山の鼻から鳩待峠までの登りが限界のようだ。登山者の少ないこの時期 は,マイペースでゆっくりと登ることができる。


 川上川橋 から上流を見た。やはり,紅葉は遅れている。


 峠に向かう道の前半は 木道 のだらだら登り。後半は, 木製階段 による急登だ。
 山の鼻と鳩待峠の間には6カ所のベンチがある。上から,第1〜第6ベンチだ。今日は, そのうち4カ所で休憩した。


 木製階段が終わり, 石畳道 になると,峠は近い。


 鳩待峠 に着いた。 1時間45分 かかったが,上々のタイムだ。


 バスの乗車券を買い,駐車場に向かうと,シャトルバスが 直ぐに出る という。殆ど待たずにバスに乗れた。
 戸倉第一駐車場 に着いたのは12:30。身支度を解いて駐車場を出発したのは12:45。
 いつもの そば屋 で盛りそばと野菜天ぷらを注文した。いつもながら,ここの野菜天ぷらには驚かされる。 分量が多い上に,一つ一つも大きい。
 満腹になって日光を目指した。 紅葉シーズン には入っていたが,まだ最盛期ではなく,平日でもあり,時間的に早かったこともあって, いろは坂 まではスムーズだった。ところが,例によって,カーブだけ極端に遅い車があって,いろ は坂を降りきるまではのろのろ運転させられた。
 恒例の 晩秋の尾瀬 だったが,好天に恵まれ,その 素晴らしさを満喫 することができた。また来年も来たい。

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