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フユイチゴ
冬苺
バラ科 キイチゴ属

 関東以西の本州,四国,九州に分布し,森林の下や林縁に生育する常緑のツル性小低木 で,地表を這う。
 葉は円形で浅く3裂する。表面は緑色でつやがあり,縁には細かい鋸歯がある。葉裏に は細かい毛があり,互生する。
 花期は9〜10月で,11月〜1月に熟する。 果実は木苺の形で食用になる。
 宇都宮市の西北部に 古賀志山 がある。地域の人にはよく知られた山で,子どもの頃からよく出かけ,遊んだ記憶がある。
 私が中学生の頃には,友だちと連れだって自転車で出かけた。その頃には,野ウサギや タヌキに出会うこともあった。ニホンザルもいたと言われていたが,私は出会ったことはなかった。 しかし,そのころは冬に登ることはなかった。
 数年前から,健康のために山歩きを再開し,冬でも近くの山に出かけるようになった。 冬のある時,歩いている足元に真っ赤に実ったイチゴがあった。さっそく,帰宅して図鑑で調べ, フユイチゴ であることを知った。
 鹿児島県の甑島(こしきじま)では,何もない冬に実を付け るので親孝行いちごと呼んでいる。 とも書かれていた。図鑑にはそれ以上は書かれていなかったが,以下物語を創作してみた。

 「ある島に働き者の若者がいた。彼は毎日野良に出てはたらき,家に帰っては病気の母の看病をし ていた。いくら働いても,暮らしは楽にはならず,母の具合は日に日に悪くなっていった。若者は, 弱っていく母に,母の好きな野いちごを食べさせようと,山に探しに出かけた。しかし,季節は冬, 野いちごは見つからなかった。諦めて帰ろうとした若者の足元に真っ赤な実を付けたイチゴが現れた。 彼は夢中でそれを摘んで帰り,母に食べさせた。母は元気を取り戻した。そのことを伝え聞いた村人 は,そのイチゴを,神様が,若者の親孝行に感じて与えてくれたものとして「親孝行イチゴ」と呼ぶ ようになった。」


 2016.03.13 古賀志山




 2014.11.15 古賀志山


 2013.12.07 古賀志山


 2008.10.18 尾瀬