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コウホネ
河骨
スイレン科 コウホネ属

 北海道南西部から九州にかけて分布し,平地の池や沼,溝に生育する。浅い池によく見 かけるが,流れの緩い小川に出現することもある。庭園の池で観賞用に栽培されることもある。
 根茎は白くて肥大しており,やや横に這い,多数の葉をつける。
 葉は水中葉と水上葉がある。いずれも長い葉柄とスイレンの葉の形に近いが,やや細長 い葉身をつける。水中葉は薄くてやや透明で,ひらひらしている。冬季には水中葉のみを残す。暖か くなるにつれ,次第に水面に浮く葉をつけ,あるいは一気に水面から抽出して葉をつける。水上葉は やや厚くて深緑,表面につやがある。
 花期は6〜9月に黄色の花をつけるが,花びらに見える5枚は萼片で,花の後は緑色に なる。花びらは小型の長方形で萼片の中にたくさんあり,外に向かって反り返る。
 和名の由来には複数の説がある。牧野はこれを河骨であるとし,川辺に生え,その根茎 が白骨のようだからとした。一般にはこれが流布しているようである。しかし園芸植物大事典による と日本最古の本草書『本草和名(ほんぞうわみょう)』には崔禹錫の『食経』よりの引用として「骨 蓬」という名を引き,その和訓として「加波保祢」を当てており,これは「カハホネ」と読める。こ のことから骨蓬の音便によってこの名が生まれたとみるべきという。
 日本では本属の根茎を薬草として「川骨(せんこつ)」と言うが、これもこの語に漢字を 当てたものと見られる。
 近縁種の オゼコウホネ は葉が小型で葉が水面から立ち上がらない。


 2010.08.08  出羽三山神社