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コウシンソウ
庚申草
タヌキモ科 ムシトリスミレ属

 日本固有種であり,国の植物レッドデータブックで 絶滅危惧II類 に指定されている。 1890年(明治23年)に三好学により栃木県の庚申山で発見され, 山の名前をとって コウシンソウ と命名された。 
 亜高山帯のほぼ垂直な岩壁に生え,葉の長さは7〜15mmで葉柄がある。
 現在知られている自生地は栃木県の 庚申山, 男体山, 女峰山 及び群馬県の 袈裟丸山 で,庚申山の自生地は国の 特別天然記念物 である。生育地はこれらの山の標高1200〜2200m付近の垂直な崖であり,環境は 常に霧が流れて寒冷多湿。夏でも気温が25度を上回ることはない。
 いくばくかの群落を形成するのは庚申山の数箇所のみであるが,群落自体が目立たない, 垂壁や崖等の危険な場所にある上,特に目印などはないため,観察のためには,群落の位置を知る者 の案内が必要である。
 植物体は葉がロゼット状に広がり直径は3cm以下。6〜7月に高さ5cm前後の花茎を伸 ばし,薄紫色の直径5〜10mmほどの花を咲かせる。
 近縁の ムシトリスミレ に似るが,一回り小型なこと,花の色がやや薄いこと,花茎はしばしば二股に分岐するこ とが特徴となっている。なお,花軸は開花時には横を向くが,結実すると上に反り返り,株の位置よ り上の位置に種子を押しつける。このため,一列に並んだ小群落を形成する事がある。
 秋になると中心部に芽が固く集まった冬芽を作り,春までの期間を休眠する。食虫植物 としての捕虫部は葉や花茎で,これらから分泌した粘液で小さな虫などを捕らえ,消化吸収して自ら の栄養分としている。





 2007.06.16 庚申山




 2006.06.10 庚申山


 2014.06.16 庚申山