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クロミノウグイスカグラ
黒実ノ鶯神楽
スイカズラ科 スイカズラ属

 中部以北の本州と北海道に分布し,亜高山帯から高山の,湿り気の多い草原に生育する 落葉低木で,丈は20〜100cm。葉は長さが2〜8cmで対生する。花は黄白色で短い柄の先に2個 下向きにつく。花冠は10〜16mmで5裂する。果実は粉白をおびた黒紫色に塾する。
 朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)では, クロミノウグイスカグラ についてこのように述べている。
 「クロミノウグイスカグラ L.caerulea L.ver. edulis Turcz.ex Herder はアジア東北部の寒い地方に広く分布する。日本では本州中部以北と北海道に野生し,特に 日光の戦場ヶ原 に多い。<倉田悟>」
 ところが,このように書かれた「 日光戦場ヶ原 」で クロミノウグイスカグラ がシカの食害の影響などであまり見られなくなってしまった。 
 戦場ヶ原・小田代原 は,標高1400mに位置する湿原で,特有の植物が生育しており,全国的に見ても貴重な 地域だ。ところが,近年になって野生のシカが増えだし,その食害によって植物がダメージを受ける ようになってきた。そこで,シカが湿原に入れないようにするため,栃木県は 1998年 に,小田代原の周囲を 電気ネットの柵 で囲んだ。その結果,急速に植物の生育に改善が見られた。そのことを受け, 2001年12月 に,環境省が1億4千4百万円をかけて 戦場ヶ原全体をカバーするネットを設置 した。しかし戦場ヶ原は,その中央を国道120号線が横断しており, 完全に封鎖することはできなかった ため,柵の中に侵入するシカが徐々に増え続けた。その結果,当初はかなりの改善が見られ たが,再びシカの影響を受けるようになってしまった。そこで,柵内に侵入したシカが増え過ぎない ようにするため,積雪期にシカの駆除を行い,現在では植生の回復が見られるようになった。
 北海道では,これを品種改良した ハスカップ が平地に植えられ,ジャムなどに加工されて販売されている。


 2012.06.03 戦場ヶ原


 2011.06.04 戦場ヶ原


 2010.05.22 戦場ヶ原


 2014.07.06 戦場ヶ原


 2009.07.04 戦場ヶ原