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ミズナラ
水楢
ブナ科 コナラ属

 近縁の コナラ クヌギ より寒冷な気候を好み,鹿児島県の高隈山を南限に,北海道まで分布している落葉大高木 で,山地から亜高山帯にかけて自生している。
 ブナ と並んで落葉広葉樹林の主要樹種の一つである。ブナに比べると、やや明るい場所を好む。 樹高は,大きなものでは35mに達する。
 葉はつやのない緑で、コナラよりももっと波打つようなはっきりした鋸歯がある。
 5〜6月に長さ5cmほどの花を咲かせ、秋には実(ドングリ)が熟す。
 ミズナラ のドングリはタンニンを含み,そのままでは渋くて食べられないが,灰汁抜き(あくぬき) すれば食用になる。
 ミズナラのドングリは,ドングリの中では灰汁抜きが面倒なほうに入り,粉にしないで 水にさらすだけでは3か月たってもまだ渋みが残る。粗い粉にしてから水にさらすと期間が短縮され る。もっと短くするためには長時間煮てから水でさらすが,それでも処理には何日もかかる。
 縄文時代 には分布域の東日本で冬の保存食として重要であった。近年まで山村で食べられていたが, 現在はほとんど食用にされない。
 20世紀にシイタケの栽培が盛んになってからは,コナラと同様に 原木 などに利用されている。
 心材はくすんだ褐色。加工性・着色性に優れ,強度が大きく,重厚感がある。木材は高 級家具,建築材, 洋酒樽 などに利用されている。特に北海道のものが良質とされ,「道産の楢」(ジャパニーズオー ク)と呼ばれ,輸出もされ盛名を馳せた。
 近年では国産ウイスキーの熟成樽としても利用されており,オーク樽と全く異なる繊細 な風味を醸造出来る材として国際的に高い評価を受けている。


 2008.06.07 戦場ヶ原


 2014.05.31 榛名湖畔


 2015.06.03 戦場ヶ原


 2018.09.19 戦場ヶ原