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サルオガセ
猿尾枷
地衣類 サルオガセ科 サルオガセ属

 サルオガセ (猿尾枷)は,樹皮に付着して懸垂する糸状の地衣。 きりも(霧藻) ともいう。植物学上では,サルオガセ科サルオガセ属の地衣類の総称。
 地衣類は,花の咲かない植物で,藻類と菌類の共生体。
 空気中の水蒸気を吸って生き,空気が澄んでいないと育たない。水分と光合成だけで成 長し,栄養を一切他から取ることはない。
 ブナ林など落葉広葉樹林の霧のかかるような森林の樹上に着生する。その形は木の枝の ように枝分かれし,下垂する。
 日本産地衣類の代表的なもので,日本には約40種。最も普通に産するものは ヨコワサルオガセ で,山地の樹木の幹や枝にぶら下がる。形は径約1mmの細い糸状で,枝分れして次第に細 くなり,全体として樹枝状になる。体軸は横に規則正しい環状の割れ目があり,中央には白色の丈夫 な中軸が通る。高山の針葉樹林帯に生じる ナガサルオガセ は,樹皮上に着生して長くたれ下がり,ほとんど枝分れせず,短い側枝を密生。サルオガ セ類はウスニン酸を含み,薬用にされる。
 一説によると,女のヒステリーと男の浮気止めに効くという薬草だが,効果については 保障しない。 中国の漢方書には多くの効能が書かれているが前述のような内容はどれも入っていないそ うだ。


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