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タカネビランジ
高嶺ビランジ
ナデシコ科 マンテマ属

 南アルプスと白山の高山の岩場に生える多年草。丈は5〜25cmで,茎の先端に1個の 花を上向きにつける。
 花期は7月下旬から8月下旬にかけて。株によって花期の変化が大きく,全体としてか なり長い期間花を楽しめる。花の大きさは25〜30mmで,花びらは5枚。がく筒や茎に毛が生える。 花の色は淡紅色(ピンク)で,生えている場所によって,色の濃さに変化がある。
 鳳凰三山 では濃く, 北岳 では色が薄い。特に,北岳の花色が白に近いものは シロバナタカネビランジ と呼ばれることがある。
 関東信越地方の山には,よく似た オオビランジ がある。オオビランジはタカネビランジの母種。オオビランジは全体的に大きく,がくが 無毛。
 タカネビランジは南アルプス周辺だけに分布する高山植物。高山植物は美しいものが多 いが,タタカネビランジほど派手で美しく見ごたえがある高山植物は少ない。高山帯の巨岩の割れ目 やザレ場に生え,花の最盛期には葉が見えないほど高密度に咲き,花だけをそこに置いたかのよう。 花色も白色からピンク色の濃いものまで変化に富んでいる。殺風景で無機質な岩場に不釣り合いな花 束が突如現れ,そこだけに優美な世界が広がっている。




 2004.08.27  鳳凰 地蔵岳