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ヤマオダマキ
山苧環
キンポウゲ科 オダマキ属

 ほぼ全国に分布し,山地の林縁や草地に生育する。茎の高さは30〜100cmで枝の先 に,紫褐色〜淡黄色の花をつける。花の大きさは3〜4cmで,花弁がく片ともに5枚。葉は,2回3 出複葉で茎葉は互生。日本に自生する オダマキ は,この ヤマオダマキ と高山性の ミヤマオダマキ だけだ。 オダマキ(苧環) とは,紡いだ麻糸を丸めて玉にしたもので,花の形がそれに似ているという。
 長野県の小諸から鹿沢に抜ける途中の地蔵峠から高峰林道を高峰に向けて少し走ると, 池ノ平湿原に着く。そこで 「ヤマオダマキ」 と初めて出会った。八ヶ岳や浅間山塊のヤマオダマキは紫色が薄く,殆ど黄色に見える。 そのため,これを 「キバナノヤマオダマキ」 と呼んでいる。
 この花がとても気に入った私は,何とか持ち帰りたいと考えた。しかし,引き抜いて持 ち帰ることが許されないことぐらい,私でも分かった。考えながら車を走らせていると,湿原でなく ても,道ばたなどに自生していることに気がついた。 「ヤマオダマキ」 はいわゆる高山植物ではなく,低山にも自生しているのだ。
 しかし,たとえ道ばたでも,引き抜いて持ち帰ることはためらわれた。「そうだ,種子 を持ち帰って蒔いてみよう」。幸運なことに,高度の低いところに生えているオダマキは,花の時期 を過ぎ,実を結んでいるものもあった。私は,種子を持ち帰り,自宅で植木鉢に蒔いた。
 秋に蒔いた種子は,冬が過ぎ春になっても芽を出してはくれなかった。諦めかけていた 夏のはじめ,たくさんの小さな芽を出した。その年は花は咲かなかったが,かなり大きくなった。次 の年,可愛い花を咲かせてくれた。


 2002.07.13 奥白根山


 2007.06.30 戦場ヶ原


 2007.08.07 霧ヶ峰


 2015.05.26 佐渡