に戻る ダ ケ カ ン バ (カバノキ科)  


シラカンバ(表)

ダケカンバ(裏)
 ダケカンバ(岳樺)とシラカンバ(白樺)は高い山に育つ木の代名詞ともなっているが,私が山と関わったいろいろな場面に登場してくる。

 私が高校2年の夏休み,農学部の学生だった兄と2人で,25日間ほど,山奥で測量のアルバイトをやったことがある。山奥の朽ちかけた見張り小屋に2人だけで泊まり込み,自炊しながら,沢の断面図を作成するための基礎測量をやった。見張り小屋の場所は,奥鬼怒,川俣温泉の少し下流の鬼怒川に南方から流れ込む「門森沢」という沢がある。その沢を2kmほど上流に辿ると,西沢,中沢,日光沢という3つの沢に分かれる。その3つの沢の合流点付近に見張り小屋があった。この3つの沢の合流点下流にかなり大きな砂防ダムが造られていた。この工事をしたときの飯場と見張り小屋が残っていた。飯場の方はかなり痛んでおり,住める状態ではなかったが,見張り小屋の方は,屋根や羽目板はしっかりしており,雨露を凌ぐには十分だった。ふとん,鍋,釜,全て川俣温泉にある事務所から担ぎ上げた。食料も4,5日おきに事務所まで下り,自分たちで担ぎ上げた。今考えるととんでもない生活だったが,それをカバーするに十分な若さがあった。
 いつも歩いているコースに,太いダケカンバの木でできているハシゴがあった。木の表面は真っ白で,まだ新しく見えた。ハシゴは30度ほどの角度で,岸から砂防ダムの突堤上に向かって橋を架けるように渡してあった。ある日,事務所から食料などを担いで小屋に戻るとき,この橋を渡った。先に兄が渡り,私は少し間をおいて後に続いた。兄が渡りきり,私が丁度ハシゴの中央付近に来たとき,ボキッと鈍い音がしてハシゴが真二つに折れた。私は立った姿勢のまま5mほど下の河原に落ちた。一瞬何が起きたのか分からなかったが,直ぐに怪我をしなかったか,自分の体を点検した。左膝を打ったが,幸い歩けないほどではない。心配した兄が駆けつけてくれた。いくらか落ち着いて,2つに折れて一緒に落下したハシゴを見ると,表面は真っ白で真新しく見えるが,中は朽ちており,ぶかぶかの状態だった。これでは折れても仕方ないなと思った。

 
ダケカンバシラカンバ樹皮には油分が多く,簡単には腐らない。しかし,内部は,表面の様子とは関係なく腐れが進行しているのだ。ダケカンバやシラカンバの樹皮は,北海道では「ガンピ」と呼ばれ,焚き付けとして使っているという話を,かつて北海道の開発に入ったことがある私の両親から聞いたことがある。実際,私たちもダケカンバの皮をかまどのたき付けとして使ったが,濡れていてもマッチ1本で火を付けることができる。

 ダケカンバとシラカンバの見分け方は色々あるが,もし葉を近くで見ることができたら,
葉脈の数で見分けるのが最も良い。シラカンバでは6〜7対ダケカンバでは10〜13対である。葉の形では,楕円形に近いのがダケカンバ,葉柄に近い方が広がり,三角形に近いのがシラカンバ。葉の表面にロウを塗ったように光沢があるのがシラカンバ。生育している高度では,比較的低いところに生育するのがシラカンバで,高いところに生育するのがダケカンバであるが,混じっているところもあり,高度だけで判断するのは難しい。ダケカンバが更に高所に移ったものがソウシカンバ(壮士樺)である。