戻る
シラネアオイ (シラネアオイ科)

 シラネアオイ は, 1科1属1種 日本特産の種 であり,本州中北部と北海道に分布する。花びらのように見えるものは萼の変わったもの で花びらではない。 シラネアオイ シラネ 日光白根山 であり, アオイ の花のことである。(山と渓谷社「野草ハンドブック1春の花」)


弥陀が池 の北西にある 座禅山 の斜面は,かつては シラネアオイ の群生地だった。少なくとも, 1990年頃 まではこのような光景が見られた。しかし,その後3〜4年で 殆ど姿を消した。 毎年,その時期に,シラネアオイを見ることを楽しみに奥白根山に登っていたのだが, しばらく登るのをやめた。

1978年7月,座禅山南面のシラネアオイ

 最近になって, 電気柵 などを設置し, シラネアオイ 等の積極的な保護(復活)処置をスタートさせた。


 2002年の7月初め , 奥白根山 に登ったとき, 弥陀が池 の北岸で,道から離れた電気柵の中に 青紫色の花 を見つけた。もしかして シラネアオイ かもしれないと喜んだのだが,良く見ると, グンナイフウロ の花だった。残念だったが, グンナイフウロ が見られるようになったことは,環境改善が進んでいるという証拠でもあり,近いうちに シラネアオイ が復活するだろうと期待をもった。

 2003年6月末 奥白根山に登った。登る以前からシラネアオイが復活したという情報があり,期待して登 った。菅沼コースで,最後のカーブを曲がり, 弥陀が池 の畔に出たとき, 右側斜面の柵の中 に,紛れもない シラネアオイ を見つけた。僅か数輪の花だったが,うれしさがこみ上げた。よかった,ほんとうによか った。
 復活したシラネアオイ(2003年6月)


シラネアオイ の名前のもとになった 白根山 で, シラネアオイ が見られないと言うのは,なんとも悲しいことだった。かつての大群落を見た記憶が有る だけに早く復活することを願わずにはいられない。

 初めに シラネアオイ の危機が叫ばれたのは 盗掘 によるものだった。これによって生育場所が少なくなり,次に,増えすぎた シカの食害 が追い打ちをかけた。
シカ が増えたのも,もとを辿れば,人間の活動に原因があるので。過度な 森林伐採 により,シカの食料となる草が 一時的に増えた ことや,地球温暖化のためにシカの 冬季の死亡 が減ったことなどが原因と言われている。
 一度崩れてしまったバランスは,その平衡を取り戻すのに長い年月がかかると言うこと を今更ながらに認識しなければならない。