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登 山 靴



 初めての山靴

 私が初めて 登山靴 と言うものに出会ったのは学生の時だった。当時 3000円 のお金を持って 「キャラバンシューズ」 でも買おうと思い, 宇都宮市内の 「オーハシ」 という 山靴専門店 へ行った。
 3000円で買えるキャラバンシューズは有ったのだが,そこの主人の薦めで 中古の革靴 を買うことになった。靴の程度は良く,しかも, 靴底をビブラムの新品に張り替えて3000円 にしてくれると言う。その当時,ビブラムがどういうものなのかも知らず, 「イタリア製でヨーロッパアルプスで鍛えられた靴底」 ということぐらいしか分からなかった。良いものなのだろうなという漠然とした期待感程度しかなかった。
 その写真を探したのだが,少しだけ写っている写真を見つけた。今はもう姿を見かけることはなくなったが,足首の革が折り返し になっているものだ。その靴はなかなかの くせ者 で,容易に私の足にはなじんではくれなかった。その靴でいろいろな山を歩いたが,山歩きは足にできる マメとの戦い でもあった。でも,その靴には絶対の信頼が持てた。大学を卒業して就職し,山に行く機会は減ったが,5年ほど履いていた。しかし 寄る年波には勝てず,現役を引退してもらった。

 次に買ったのが, 「ミズノ」軽登山靴 だった。価格は1万円で 革靴 だった。とても気に入ったのだが, 底がビブラムではない 。そこで,スポーツ店で買ったその軽登山靴をその足で 「オーハシ」 に持っていき, 底をビブラムに張り替えて もらった。張り替え賃が1万円だった。この靴は,それまで履いていた登山靴に比べると,とてもソフトで,直ぐに 足になじんで くれた。マメとの戦いにも終止符を打った。
 この靴は, 20年以上 も私と行動を共にしてくれた。といっても,そのころは年に1〜2回程度しか山歩きはできなかった。その代わり,手入れは良く 行った。山歩きをした後は,必ず 水洗い し, 陰干し した後, 保革油 をタップ塗って室内で 保管した。おかげで,20年以上立っても革は弾力性を失わず,十分な機能を果たしてくれた。しかし,この靴もさすがに痛みが 出てきて,水漏れがひどくなった。しかたなく,1999年の3月, Danner に履き替えた。

 現在,山靴はその性能と用途によって,いくつかのジャンル分けがされている。山靴風の運動靴や,ヒマラヤ用の高機能登山靴 は除外し,一般用に限定しても,布製の ソフトトレッキングシューズ ,革製の ハードトレッキングシューズ ,高山用の マウンテンシューズ などに分けられる。一昔前と異なり,これからは,目的に合わせていくつかの靴を使い分ける時代なのだ。


 Danner  (1999年5月購入)

 「ミズノ」のあとしばらく, ダナー(Danner) というメーカーの靴を履いた。 布製のソフトトレッキングシューズ で,私の足にはたいへん良く合い,気に入って履いた。その頃は雪のある山には行かなかったので,これで十分だった。

 もともと,私の足は「幅広甲高」で日本人の典型みたいな足だ。普段に履く靴でも,「4E」でないとうまく合わない。最近は 4Eの靴もたくさん出てきたが,以前は,足に合う靴を探すのがひと苦労だった。特に苦労したのが, サッカーのスパイクシューズ だった。
 かつて息子のサッカースポーツ少年団の手伝いを頼まれて,審判などをするために,スパイクシューズを探した。当時の店には, アディダスヤスダ のスパイクしかなく,足に合わない靴を我慢して履かなければならなかった。つま先に遊びがありすぎるスパイクシューズは,なん とも履きづらかった。その後つきあいで始めた ゴルフ では更に,やたらスタイルのいいスパイクシューズばかりで,私の足に合うものは店頭には無かった。足にあったものを誂えれば良 いのだろうが,そこまで金を掛ける気にもなれず,なんとか我慢して履いていた。

 すっかり 「ダナー」 に惚れ込んで, 妻にもダナーの靴を 買って履かせた。それまで妻は,聞いたこともないメーカーのハイキングシューズを履いていたが,ダナーに替えたら, 「坂道で滑らなくなった」 といって喜んでいた。履いてみて明らかな違いが有るというのだ。

 最近, ウレタン底の軽登山靴 において,突然 靴底が剥がれる と言う事故が起こっており,各メーカーが共同でPRのチラシを作った。それによると, 軽登山靴の寿命は5年程度 ということ。まだ,もう少しは履けると思うが, 次に布製の靴を買うのならばダナーに したいと思っている。

 このころから,戦場ヶ原を中心としたスノーハイクを始めた。スノーシューも購入し,雪道を楽しんでいるのだが,やはり,ソフ トトレッキングシューズには限界があった。防水には問題はないのだが,足が冷えて痛くなる。やはり雪道でも使えるハード トレッキングシューズが欲しくなった。

  2003年引退


 AKU Eiger (2003年4月購入)

 1999年5月に購入して4年間履いていた  Danner のソフトトレッキングシューズも随分くたびれてきた。
 そこで,2003年夏に 劔岳 に登るのを契機に,新しい靴を買うことにした。ソフトシューズは,足によくなじみ,履きやすいのだが,頼りなさがある。 劔岳 の岩を歩くことを考えて, 「ハードトレッキングシューズ」 を買うことにした。

 宇都宮市にも店舗がある イシイスポーツ のHPで情報を仕入れた。その他,いくつかのスポーツ用品店のHPも見た。 「sirio」 もHPを持っているので参考にした。
 自分の足が横広なのを考え, sirio の3Eタイプか4Eタイプ が良いかなと考えていた。
 aku の靴についてはイシイスポーツのHPでかなり詳しく載っていた。イシイスポーツでは,山靴をいくつかに分類して紹介している。 その分類で,ハードトレッキングシューズの 「アク ジャスパー」 ,ライトマウンテンシューズの 「アク バンフ」 ,あたりが良いかなと考えた。「バンフ」では, ワンタッチ式のアイゼン が装着できる。

 まず, イシイスポーツ宇都宮店 へ行き,店員に相談した。その店員の話によると, 「sirio」 の幅広タイプは扱っていないと言う。その理由は,幅の広すぎる靴を履くと,足のホールドが十分にできないため,靴の中で足が動 いてしまうのだそうだ。そのことが原因で,足首の捻挫など重大な事故が起こっているという。幅が広すぎなければいいのだ と思ったが,店に置いてないのでは,履いてみることはできない。その後,店員の薦める靴をいくつか履いてみたが,なかな かこれだと言うものがない。

 比較的良いと思ったのが, 「AKU Eiger」(アイガー) というモデルだ。このモデルは, 「マウンテンシュ−ズ」 に分類されるもので,トレッキングシューズよりグレードの高いものだ。もちろん防水性能は高く, ワンタッチ式のアイゼン が装着できる。派手なデザインが多い中で,落ち着いたデザインも気に入ったので,購入することにした。

 この靴を最初に履いて登ったのは,4月27日の 石裂山 だ。まず,第一の感想は,足首の固定が強く, 足首があまり動かな いことだ。斜面の登りでは,最も上のホックに靴ヒモを掛けないことで何とかなったが,下りでは靴底を斜面に付けるとひざが曲が ってしまい,なんとも苦しかった。もう一つ,致命的な問題があった。それは,最初から懸念されていたことだが, 靴の横幅がきつい と言うことだ。特に,つま先の形が尖っており,下りでは足が前にずれると力が全て小指周辺に掛かってしまう。

横幅の拡張
 保管しているとき,靴の内部に 木片 を挟み,小指のあたりの横幅を広げるようにした。これは,かなり効果がある。

 つま先に詰め物をした。
 素材は,やや固めの スポンジ (私はパソコンのマウスパッドを使った)を,つま先に合わせて切り,中敷きに固定した。こうすれば,中敷きを取り出せば,詰 め物も取り出すことができる。これは予想以上に効果があった。下りの時,体重が小指にだけかかるようなことはなくなり, つま先全体にかかるようになった。
 足首が固定され,保護されているということは, 安定感 とともに,足首の 疲労の軽減 に繋がる。
 劔−立山 の山行では,足元のトラブルは全くなかった。
 その後も,2005年春までこの靴をメインに履いた。夏山は勿論,少しずつ始まった 雪山へもこの靴で行った。
 靴底の摩耗が目立ってきたので,2006年5月,ソールの張り替えを行った。
 2005年に LOWA TAHOE GTX を購入してからは,無雪期には主にそれを履くようになり,出番は少なくなった。
 2012年6月,9年間の活躍にピリオドを打ち,引退した。


 Danner  (1999年7月購入)(妻用)
 この danner は,自分が先に買って履き,調子がいいので妻にも勧めたものだ。 布製のトレッキングシューズ にしては作りがしっかりしており,もちろん靴底は ビブラム だ。
 この靴を履く前には,妻は,3流メーカーのトレッキングシューズを履いていたのだが,この靴を履いて,明らかに違うと所が ある言った。それは,靴底が 滑らない と言うことだった。確かに,傾いた岩のフェースを登る場合など,靴底が滑らないと信じられることは大きな安心になる。
 私とほぼ同じ時期に購入したのだが,体重の差などもあり,靴底の減り加減は,私のものほどではない。しかし,そろそろ 耐用年数 にも近づき, 引退を 考えなければならない。

 sirio   (購入年度,型番不明)(妻用)
 この靴は, 義妹の形見 としてもらったものだ。義妹は私達夫婦と一緒に山歩きをしていたのだが,癌に侵され,急逝した。
 義妹は,一冬しかこの靴を履かずに逝ってしまった。
 妻にはやや大きいので,中敷きを厚めにして足に合わせている。
 冬専用として,スノーシューイングなどに使っている。 ワンタッチ式のアイゼンが装着できる ので,これに合わせて アイゼン を購入した。

 aku jasper GTX  (2005年3月購入)(妻用)
 1999年 から履いていた Danner の耐用年数が近づいてきたので,トレッキング用の靴を購入した。
 aku jasper は,ハードトレッキングシューズに属するモデルだが,履き心地はソフトで,布製の Dunner から履き替えても 違和感は少ない という。 2005年夏の鹿島槍ヶ岳 からこの靴を履いている。
2012年6月,購入から7年が過ぎたので,ソールを張り替えた


 LOWA TAHOE GTX    (2005年7月購入)
 2003年4月に購入した AKU Eiger が気に入り,ほとんどそればかり履いていた。そのため,靴底の減りが目立ち始め, ソールの張り替え を考えなければならなくなった。
 そこで, 夏山専用のブーツ を購入することにした。
 ネットなどでいろいろ調べた結果, sirio の3E+か4E+ を試し履きして見たくなり,ここならば在庫があるだろうと思い,宇都宮市の 「オーハシ」 に行った。「オーハシ」は,数十年前に,私の山歩きの原点となった「山靴」との出会いの店でもある。
 しかし,ここでも在庫はないというので,別のものを薦めてもらった。 店長の星野さん に相談にのってもらい,いろいろな話を聞き,納得して買ったのがこれだ。
LOWA TAHOE GTX というバックパッキング用の, スリーシーズン対応 の靴だ。
 まず,足入れの感触が良かった。指の付け根付近が絞ってあるので, 足指の圧迫感がない。  aku eiger では,どうしても足指,特に小指の先があたる。長時間歩くと痛みが出る。仕方のないことだと諦めていたのだが,この靴では, 小指の先に余裕がある。 この靴は,私の足に合っていると思った。
 この靴は, 奥白根山 で試し履きし, 鹿島槍ヶ岳 に履いていった。全体的な印象では,(どうしても aku eiger とのとの比較になってしまうが)靴全体が ソフト で,よく足になじんでくれる。反面,若干の 頼りなさ も感じるがこれは仕方のないことかも知れない。
 ひとつ,大きな問題が起きた。それは,足に マメ ができるということだ。左右の足の小指の腹にマメができた。 鹿島槍 では2日目にでき,3日目にはずいぶん大きくなった。山行を続けていたらたぶん潰れていたと思う。8月末の 八ヶ岳 でも,同じ場所に同じようにマメができた。前回のマメを潰した後に,新しい皮膚が完全できていなかったことが原因かも知れな かった。そこで,中敷きの,小指の部分を切り抜き,少し余裕ができるようにしたら,まめはできなくなった。
 2012年6月 aku jasper と同じく,購入から7年になるので, ソールを張り替えた。


 ZAMBELON PERMO GT ZA-980   (2012年6月購入)
 今まで,2003年4月に購入した AKU Eiger をメインにして履いていた。この靴は,本当によく働いてくれた。一緒に登った山はたくさんあり,思い出せばきりがない。
 2006年5月にソールを張り替えてから,早くも6年経った。ソールの寿命を考えると,そろそろ再張り替えを考えなければな らないが,アッパーの痛みも出てきたので,思い切って買い換えることにした。
 ネットで色々さがしてみたが,靴だけは履いてみないと分からない。ネットで調べたものを参考に,ICI宇都宮店に出かけた。

 最初に試し履きしたものがこれ ZAMBELON PERMO GT ZA-980  イタリア製だが,日本人の足型で作ったと言われるだけに,足入れ感が良い。今まで履いていたものより 1段階大きなサイズのもの を履いたのだが,土踏まずから甲にかけてのフィット感がとても良い。爪先にも余裕があり,これならば足の爪を痛めなくて済む だろう。 セミワンタッチアイゼン も付けられ,トップの皮厚も 2.4〜2.6mm と,冬季でも十分な厚さだ。年齢を考えると,もうこれから,冬用の新しい登山靴を買うこともないだろうから,大切に使おう。 (2012.6.11)

 TECNICA ACONCAGUA-GTX    (2016年5月購入)
 今履いている夏用の LOWA の TAHOE GTX は,2005年に買ったもので,2012年にソールの張り替えを行っている。しかし,その後4年が経ち,そろそろソールの再 張り替えの時期なのだが,アッパーの痛みも目立ち始めたので,思い切って買い換えることにした。
LOWA の TAHOE GTX は,オールレザーのかなりしっかりした靴だが,その分かなり重い。今回もオールレザーを考えたのだが,近年は素材の研究も進 み,レザーにこだわらなくても良いのではと思うようになった。
 今回選んだのは,テクニカというメーカーの,トレッキングブーツだ。テクニカという会社は知らなかったが,イタリアの会社 で,主にスキーブーツを作っている会社とのこと。アッパーは,スエードとファブリックで,オールレザーではないが,そ の分,かなり軽い。写真は,レースを取り替えてある。私は何時も,シューレースは,3mmの細引きと交換して使ってい る。山小屋で間違われることもないし,何より,確実な感覚が気に入っている。12月13日の奥白根山で初めて履いたが, 足には優しい作りで,足との相性は良い方だと思った。(2016.5.16)

 TECNICA ACONCAGUA-GTX    (2018年10月購入)(妻用)
 私が履いている テクニカ の登山靴を見て,私も軽い靴が欲しいと言うことで,宇都宮の ICIスポーツで,買うことにした。
 軽い靴はたくさんあったのだが,今ひとつ良いものが無い。
 そこで,結局,私のものと同じモデルのレディース仕様のものを購入した。
 それなりの値段だったが,しっかりしていて,信頼はできる。