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ハクサンシャクナゲ
白山石楠花
ツツジ科 ツツジ属

 中部以北の本州と四国(石鎚山),北海道に分布し,山地上部から高山の林内に生育する。 亜高山帯の針葉樹林内に多い。丈は1〜2mになる常緑低木。葉は,長さ6〜18cmで縁は裏側に巻 く。裏には,淡褐色の軟毛が密生する。葉の基部は心形または円形。花は,蕾のときは淡紅色で咲く と殆ど白になり,花冠の内側に緑色の斑点がある。更に高度が上がると キバナシャクナゲ の領域になる。
 私がはじめて ハクサンシャクナゲ に会ったのは,学生の時に登った 奥白根山 だった。でも,当時は花には興味が無く,印象も薄く,記憶にも残っていない。
 次ぎに見たのは,たぶん,1980年に 奥穂高岳 に登ったとき, 涸沢 手前の雪渓の脇に咲いていたものだった。印象としては白よりも,薄黄色だったような気 がしている。もしかしたら, キバナシャクナゲ だったかもしれない。
 身近なところでは, 那須清水平周辺 シャクナゲ の群生が見られる。これは アズマシャクナゲ だ。一方, 日光白根山 (奥白根山)とその周辺でも群生が見られるが,これは ハクサンシャクナゲ だ。もっとも,全てチェックしたわけではないので, アズマシャクナゲ も混じっているかも知れない。


 2009.07.11  尾瀬沼


 2006.07.26  奥白根山


 2004.07.04  男体山


 2002.07.13  奥白根山

 長い間,アズマシャクナゲ ハクサンシャクナゲ をどのようにして見分けたらいいのか悩んでいた。高山植物の本に,「 葉の裏に茶色の毛が密生しているのがアズマシャクナゲ 」と書かれていたのを頼りに,葉の裏を見ていたが,どうもはっきりしない。決定的な違いが見いだせなかった。
 最近になって,植物図鑑を詳しく読み,決定的といえる違いを見つけた。それは, 葉の付け根の構造だった。 アズマシャクナゲでは,葉の縁が 流れるように葉柄に繋がっている。  アズマシャクナゲ(中禅寺湖畔)
 一方,ハクサンシャクナゲでは,葉の縁と葉柄が 90度以上の角度 で接している。 さっそく,山に登って実際の葉で確認すると,その違いは明確だった。長い間の疑問が解決した。  ハクサンシャクナゲ(女峰山)
 では,キバナシャクナゲ ではどうなのだろうか。
 キバナシャクナゲ は,シャクナゲの仲間では最も高いところに生育する種類で, ハイマツ と混生している場合などが多い。 この場合は背丈は低く,全体として小形になっているが, ハクサンシャクナゲと形で区別するのは難しい。
キバナシャクナゲでは,葉は全体に丸形で,葉柄は短く, 葉の縁とは流れるように接している。葉柄の形は アズマシャクナゲ に似ているが,両者は生育場所や,葉の全体的な形で区別することができる