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思い出の山シリーズ 9
白  山
1984年(昭和59年) 8月6日(月)〜9日(木)
(作成日 2005年12月14日)


コース
第1日 8月6日(月)
 宇都宮 ⇒ 東京 ⇒(東海道新幹線)⇒ 名古屋(泊)
第2日 8月7日(火)
 名古屋 ⇒(高山本線)⇒ 高山 ⇒ 御母衣ダム ⇒ 平瀬温泉(白山館)
第3日 8月8日(水)
 白山館 ⇒ 白水湖
 白水湖 → 大倉山 → 室堂 → 御前峰 → 室堂 → 大倉山 → 白水湖
 白水湖 ⇒ 白山館
第4日 8月9日(木)
 白山館 ⇒ 御母衣ダム ⇒ 高山 ⇒(高山本線)⇒ 名古屋 ⇒(新幹線)⇒ 東京 ⇒ 宇都宮
 宇都宮−高山往復は電車利用 高山でレンタカー借用(3日間)

同行者
   松本,阿久津,渡辺,黒尾,三尾谷,安納

 1980年 から,夏休みを利用して,職場の仲間と泊付きで山登りをしている。同僚の松本先生が, 経験が豊富であり,彼が計画をして私たちを連れて行ってくれている。
 80年は, 奥穂高 へ登り,81年は 八ヶ岳 へ登った。82年は 谷川岳 へ登った。83年は,記憶にはないが何かの事情があって山登りはしなかった。
84 年には 白山 に登った。しかし,この登山は,あくまで「旅行のメイン」ではないということだった。 名目は, 「合掌造りの集落を訊ねる観光旅行」 だった。 白山 はそのついでに「チョット行ってみよう」ということだったのだが,白山はそんなに簡単 に登れる山ではなかった。


第1日 8月6日(月)

 今日は 名古屋 までの行程。JR(当時はまだ「国鉄」だったかな?) 宇都宮駅 に集合したのは午後4時30分。  上野行きの普通電車に乗り込むと,Kさんなどは,我慢できず,カップの日本酒を飲み 出した。

 名古屋駅前の居酒屋 で夕食兼宴会。山に登ることなど,頭の中からはすっかり消え,おおいに盛り上がった。


 この日は,駅前のビジネスホテルに宿泊。


第2日 8月7日(火)

 名古屋 から 高山 までは特急電車で車窓の景色を楽しみながらの旅。 高山駅 レンタカー を借り, 白川郷 へ向かった。国道158号で 松の木峠 を越え, 荘川村 で国道156号に入り,北上した。
 御母衣ダム は日本では珍しいロックフィルダムで,当時世界第2位の大きさを誇っていた。

 合掌造り が保存されている 「荻町集落」 は,高台からその全体が見渡せる。内部が公開されているものもあり,その一つに入って 見学することができた。

 建物の構造というものは,そこに住む人間の 生活様式 や, 生産活動 と深く関わっているものであり,生活様式が変化した中で,建物を維持していくというこ とはかなり困難なことなのだと言うことが分かった。 合掌造りは,大家族が住み,上層の階で養蚕を行っていた。1階が作業場であり,2階が 居住区で3階から上が養蚕場だ。


第3日 8月8日(水)

 いよいよ今日は 「白山」 」に登る。高山植物で 「ハクサン」 の名を頂いたものはたくさんある。当時は,それほど高山植物には興味がなかったのだが, かなりたくさんの花を写してきていた。
 2日間お世話になった 白川村白瀬温泉の「白山館」。 純日本的な旅館で心のこもったもてなしを受けた。白山館の現在の姿は 白山館のホームページ で見ることができる。9人のうち2人は都合(登山を逃げて?)で帰宅。白山へは 7人 で登った。

 登山口へ向かう途中, 山頂が望める場所 があった。「あそこまでいくのー?」と他人事のように眺めていたが,徐々に覚悟ができ ていった。

 登山開始は 午前7時。 先は長い。

 この登山では,ひとつの 「遊び」 を考えていた。それは, スイカを担ぎ上げ,頂上で食べよう というものだ。左の写真で中央のMさんが抱えているものがそれ。みんなで交代で持とう と言うことだったが,みんなそれどころではなく,ほとんど松本先生が持っていた。
 良く見ると登山口の看板に 「白山まで約8KM」 と書かれている。登山口の標高が1240m,山頂が2702mだから, 標高差は1400m以上 ある。これを日帰りするというのだから,決して楽な登山ではなかったが,そこは若さで 切り抜けた。

 アカモノ は,,正しくは イワハゼ と言い,「シラタマノキ」の仲間で,白い花が咲く。花が終わった後,赤色のがく片が成 長して果実を包み込み,「赤い実」となる。食べたことはないが,食べると美味しいという。

 高度を上げていくと,白山の南に位置する 別山 が見えてくる。かなり遠い。


 眼下には 白水湖 が見える。水がいつも白濁しているのでこの名前があるという。

 キヌガサソウ


 サンカヨウ(実)

 エンレイソウ


 ミヤマコウゾリナ

 ホタルブクロ  白花

 ハクサンコザクラ

 クロユリ



 イワギキョウ

 途中までは天気はよかったのだが, 室堂 に着く頃からガスに覆われてきた。 御前峰 に登る途中,ガスが切れて 室堂平 が少しだけ見えた。 



 白山(御前峰)山頂  山頂まで登ったのは5人

 山頂から 大汝峰 を望む(天候も悪く,時間もなかったので大汝峰までは行かなかった。)

 クルマユリ

 イワカガミ

 アオノツガザクラ

 山頂から 室堂 まで戻り,待っていた2人と合流し,下山を始めた。間もなく,雨が降ってきた。せっか く担ぎ上げたスイカを何処かで食べようとしたのだが,雨が降っていたのでは如何ともしようがない。
 一時,雨が上がったので,カッパを脱ぎ,ここで,担ぎ上げた スイカ を食べることにした。

 雪渓を吹き下ろしてくる風が冷たく,指先がかじかむほどだった。 ここで食べたスイカの 生温かな味 が,美味しかったことが記憶の中に残っている。
 シモツケソウ

 また,雨が降ってきた。再びカッパを着て,ひたすら登山口を目指し黙々と歩いた。

 エゾシオガマ

 オオカニコウモリ

  登山口 にたどり着いたのは 午後5時 を過ぎていた。全行程 10時間 (休憩を含む)の,かなり厳しい一日だった。
 下山後 「白山館」 にもう一泊し,帰路についた。


第4日 8月9日(木)

御母衣ダム を再度見学し, 高山駅 へ向かった。



 駅前でレンタカーを返し,時間があったので街に出た。しかし,この後, とんでもないハプニング が待っていた。

 上・下三之町 を散策し,適当に時間を潰し,駅に戻ったが,別行動だった 女性2人 がまだ戻らない。指定券を取った 特急電車 の発車時刻は迫ってきたが,2人の姿は見えない。切符は各自が持っているので,とりあ えず我々だけで先に行き, 名古屋駅で待つ ことにした。
 電車に乗っていると,車内アナウンスで呼び出しを受けた。車掌室に行ってみると,2 人からの電話だった。
 駅員のはからいで,そのままの乗車券で 次の特急 に乗ることができたので,名古屋駅で待っていて欲しいということだった。一時はどうな ることかと思ったが,2人にとっても我々にとっても,忘れられない思い出となった。
 ということで, 宇都宮駅 に着いたのは深夜だった。