に戻る 「泉門池」と書いて「いずみやど」と読む



 奥日光戦場ヶ原に「泉門池」と言う場所がある。
 「
泉門池」と書いて「いずみやど」,または「いずみやどいけ」と読む。
 普通にはとても読めない。
 そこで,この「
泉門池」について,地名の意味などを少し考えてみた。

 地名のいわれなどを探るのは,一種の謎解きのようなものであり,とても面白い。


 まず国土地理院の2万5千分の1地形図では,次のように「
いずみやど」と仮名がふってある。

 「
泉門」に「いずみやど」と仮名がふってあるように見えるから,「泉門池」全体で「いずみやどいけ」と読ませようとしているようだ。
 ガイドブックなどでは,どのように扱っているのか調べたが,かなりばらついている。

 
昭文社のエリアマップ「日光」では,「泉門」の部分に「いずみがやど」と仮名がふってある。全体としては「いずみがやどいけ」と読ませているようだ。

 
「栃木の山120」(随想社)では「泉門池」全体に「いずみやどいけ」と仮名がふってある。

 宇都宮市の写真家
秋元満正氏の写真集「日光に咲く花」「続・日光に咲く花」では,もっとはっきり書かれている。「泉門池」全体にはっきりと「いずみやど」と仮名がふってあるし,次のような一文が撮影ノートとして載っている。

 「誰が名づけたか『いずみやど』地図には泉門池とある。これをいずみやどと呼ぶように仮名もつけていない。戦場ヶ原周辺で最も静寂な場所。湧き出す清水,繁茂する水草,水中に横たわる倒木,文字どおり自然そのままの光景である」

 秋元氏の説には申し訳ないが,いろいろな地図の表現などを総合すると,「いずみやどいけ」と読むのが妥当なようだ。しかし,私は「いずみやど」という言葉の響きが好きである。改まって「いずみやどいけ」という必要はないように思う。

 では,「
泉門」が,どうして「いずみやど」なのだろうか。そんなことを考えているとき,ふと,一つの考えが浮かんだ。これは,私が考えた一つの推理なのだが,自分としてはかなり満足している。

 それは「いずみ」は「いずみ」ではなかったのだろうかと言うことである。「
」と「」は,字体がよく似ており,間違って読まれたのではないかと言う推理である。「いずみかど」ならば,文字通りの意味である。「」と「」は,特に手書きの場合に読み間違われることは十分にあり得ることと思う。誰かが「」を「」と読み間違えたところ,その言葉の響きの良さと,意味の神秘さのために定着してしまったのではないかと推理した。

 「
泉門池」では,西側の斜面から大量の水が勢い良く湧き出しており,一時的に池に蓄えられた後,急カーブした湯川に流れ込んでいる。文字通り,泉が湧きだしている「かど」なのである。
 秋元氏は,
戦場ヶ原周辺で最も静寂な場所と言っているが,残念ながら,現在はかなり騒々しい場所となっている。訪れるハイカーの数も多く,残飯やごみなどによる汚染が心配されている。